投資信託を毎月積立方式で購入して資産運用する積立投資において、銘柄選びは重要なポイントになるのは間違いありません。
この理由として、投資信託は、金融商品に対する投資であり絶対に利益をあげられるものではないため、実際に販売されている数多くの投資信託から、良いものと悪いものを見極めるためには、個別の銘柄ごとに運用実績や指標を確認していく必要があるためです。
とはいえ、運用実績や指標の見方は難しそうでよくわからないと思われる方が多いのが現状であると思います。
そこで本記事では、積立投資をする投資信託の運用実績や指標の見方について解説を進め、良い銘柄、悪い銘柄を見極めるための方法についてわかりやすく解説を進めていきます。
1. 投資信託の運用実績を確認するための3つのポイント
はじめに、購入する投資信託の運用成績を確認するための3つの指標として「トータルリターン」「標準偏差」「シャープレシオ」のそれぞれについて解説をしていきます。
基準価額の変化率である「トータルリターン」
トータルリターンとは、過去における一定期間の投資信託の運用利回りを表した数値のことで、投資信託の分配金を含めたすべての運用損益を合算するために「本当の収益が分かる」指標になります。
トータルリターンの数値は、「大きければ大きい程、優れている」といった見方になり、逆にマイナスである場合は、その投資信託は、運用益ではなく運用損を出しているといった見方になります。
過去の運用実績と将来の運用実績が引き続き良くなるといった保証はありませんが、投資信託を選ぶ上でトータルリターンの数値を確認しておくことは、良い投資信託を選ぶために極めて重要であると考えることができます。
値動きの大きさを表す「標準偏差」
標準偏差とは、「リスク」のことを言い、いわば、将来予測が不可能であることを表します。
たとえば、投資信託の価値にあたる基準価額が、将来どのような推移をするのかは誰にもわかりませんが、保有している投資信託の本日の基準価額は12,000円、明日の基準価額は15,000円、明後日の基準価額は10,000円などのように、金額の値動き(バラツキ)が大きければ大きい程、標準偏差(リスク)が高いと判断されることになります。
いわゆる「ハイリスク・ハイリターン」は、標準偏差(リスク)の値動きが高ければ高い程、生じることとなり、一方で「ローリスク・ローリターン」は、標準偏差(リスク)の値動きが低ければ低い程、生じることになります。
投資信託で安定した資産運用を行いたい場合は、標準偏差(リスク)ができる限り低いものを選ぶようにすることが1つのポイントになります。
投資信託の効率性の高さを表す「シャープレシオ」
シャープレシオとは、投資信託の指標として必ず用いられている数値の1つであり、資産運用の効率性を示す数値のことを言います。
シャープレシオの数値は、「高ければ高い程、良く」、先に解説した標準偏差(リスク)の割にリターンが高いか低いかといったものを示しているため、この数値が高い程、運用成績が優れていると判断されます。
2. 注意!運用実績だけで投資信託を選ぶべきではない!
投資信託の運用実績を確認するための3つのポイントとして、「トータルリターン」「標準偏差」「シャープレシオ」のそれぞれについて解説をさせていただきましたが、これらの運用実績のみで、その投資信託が必ずしも良い銘柄とは言い切ることはできません。
この理由として、たまたま、運用実績を比較した時だけ一時的に運用成績が良かっただけの可能性もあるほか、投資信託でより確実な資産形成をするためには、銘柄選びの基本的な部分を確認しておくことが重要であるためです。
そこで次項からは、投資信託を選ぶときにチェックして欲しい項目を6つに分けて、それぞれ個別に解説を進めていきます。
3. 投資信託を選ぶときにチェックして欲しい6つの条件
積立投資をするための投資信託を選ぶときには、「トータルリターン」「標準偏差」「シャープレシオ」などの運用実績に加えて、以下6つの条件について確認しつつ、銘柄を選択するように心掛けていただくことをおすすめ致します。
これらの条件は、初めて積立投資をはじめる方からベテランの方まですべての方に共通する項目であるだけに留まらず、将来の資産形成金額に大きな影響を与えることになります。
ノーロード&信託報酬が安いか?
一般に、投資信託を購入する場合、購入する都度、「購入時手数料(販売手数料)」といったものを、証券会社等に支払わなければなりません。
そのため、積立投資のように毎月投資信託を購入して資産運用する場合、その都度、「購入時手数料(販売手数料)」といった無駄なお金を支出しなければならないため、大原則として、投資信託の銘柄は、「ノーロードのものを選ぶ」ことが重要です。
「ロード」とは、「購入時手数料(販売手数料)」のことを表しており、直訳しますと、購入時手数料(販売手数料)がかからない投資信託となります。
つまり、積立投資で効率的な資産運用やより確実な資産形成をしていくためには、ノーロードの投資信託を選ぶことが必須です。
また、信託報酬もとにかく低いものを選ぶようにしたいものです。
購入時手数料(販売手数料)や信託報酬は、私たち投資家にとって「ロス以外の何ものでもない」ため、このようなロスをできる限り少なく抑えることが重要になります。
償還時期は無期限か?
投資信託には、「償還時期」というものがあり、ざっくり解説しますと、資産運用できる期間が有期限なのか無期限なのかということを意味します。
積立投資は、長期間をかけて資産運用することで資産形成をする投資手法になりますので償還時期が無期限(エンドレス)で自分が積立投資を止めたい時にいつでも止められる状況であることが望ましく、長期の積立投資をするときには欠かせないポイントです。
なお、積立投資をいつでも止められるタイミングというのは、「投資目標を達成した時」「保有している投資信託の売却益が確実に生じる時」などが一例としてあげられます。
再投資型のファンドか?
投資信託には大きく「分配型」と「再投資型」があり、積立投資で長期の資産形成をより確実に築くためには「再投資型を選ぶこと」が必須です。
再投資型を選ぶ1番の理由は、積立投資で資産運用した運用益と元本を併せて再投資を長期的に続けていくことで、「複利効果=複利のパワー」によって、お金が殖えるスピードが格段に早くなるためです。
純資産総額が30億円を超えているか?
投資信託における「純資産総額」とは、投資信託の時価総額のことを言うことから、その銘柄の現在の全体的な価値を表しています。
実際に投資信託を選ぶ場合には、選んだ銘柄における投資信託の純資産総額が「30億円を超えている」のを1つの基準に検討してみるべきでしょう。
実際のところ、こちらに関しましては、有識者の間でも意見が割れることもあり、純資産総額が50憶円を超えていることと明示している場合もあり、どのくらいが確実に良いといったことはありませんが、少なくとも「純資産総額が大きければ大きい程、良い」といったことは確かです。
なお、投資信託の選んだ銘柄の純資産総額の推移は、証券会社やネット証券をはじめ、投資信託の評価機関などのホームページで無料確認することができますが、できる限り「右肩上がりになっていること」が理想です。
運用実績が3年以上あるか?
選んだ投資信託で安定した資産運用をしていくためには、できる限り運用実績が長い方が望ましいとされ、これは、運用実績が長い程、安定した資産運用ができると考えられるためです。
選んだ銘柄の運用実績は、最低でも3年以上あることが望ましく、歴史が浅い銘柄は、避けておくことが賢明でしょう。
3-6.自動積立をすることができるか?
こちらは、さほど懸念するような項目ではありませんが、積立投資は、毎月一定金額もしくは一定数量の投資信託を購入して資産運用する投資手法になりますので、とにかく「継続」することが求められます。
そのため、投資信託を購入し忘れたといったことが無いように「自動積立」をすることができるのか念のため確認しておく必要があります。
選んだ銘柄によっては、自動積立や積立投資の対象外である場合がありますが、積立投資を行う場合、その大半は自動積立が可能で、かつ、毎月決まった希望の日に希望の口座などから積立投資できる場合がほとんどです。
4. 投資信託は本当にランキングで選んではいけないのだろうか?
投資信託を選ぶ上で大切なこととして、運用実績を確認するためのトータルリターン」「標準偏差」「シャープレシオ」といった3つの指標と6つの基本的な条件について解説を進めてきました。
これらを忠実に守ることができたとするならば、積立投資で理想の資産形成ができる可能性が高くなると考えられますが、多くの証券会社等では、投資信託にランキングを付けて投資家の皆さんに売れ筋商品を公開しているのを目にしたことがある方も多いと思います。
はたして、このランキングは本当にあてにして銘柄選びをすることは良いものなのでしょうか?
多くの書籍等では、このようなランキングをあてにした銘柄選びについてはNGであることを解説しておりますが、管理人としては、一概にそうとは言えない部分もあると思います。
参考 SBI証券 投資信託 販売金額人気ランキング 集計期間:2017/9/1~2017/9/29
上記は、ネット証券で有名なSBI証券の投資信託販売金額人気ランキングを1位から5位まで抜粋した一例となりますが、これらの銘柄の中には、SBI証券だけではなく、他の証券会社におきましても上位にランキングされているものがいくつか含まれています。
このような結果から考えられることは、ネット証券のように自分で投資信託の銘柄を自己責任の下で選ぶ場合、少なくとも良い投資信託の銘柄が、ランキングの上位に含まれていても不思議なことではないということです。
語弊の無いように申し添えておきたいと思いますが、あくまでもランキングの参考になるのは、ネット証券のように自分で投資信託の銘柄を自己責任の下で選ぶ場合であり、たとえば、銀行や証券会社などで対面販売されている投資信託はこの場合にあてはまらないことも伝えておきたいと思います。
この理由として、銀行や証券会社など、対面で投資信託を取引する場合、少なくとも、会社で販売を推している銘柄がある以上、販売ランキング等は、投資家ではなく自社の販売のためにあると考えることができるためです。
当然、ネット証券にも同じことが言える部分もあるとは思いますが、ネット証券で投資信託を選ぶ方は、すべて「自分自身で銘柄を選ぶ」といった共通の条件の下で選んでいるため、少なくともおかしな銘柄を多くの方が吟味して選んでいるとは考えにくいと推測することもできるのではないでしょうか?
このような理由から、ネット証券のランキングは、投資信託選びの参考になると考えることもできるため、ケース・バイ・ケースで賢く活用してみるのも悪くはないと管理人は考えています。
5. まとめ ~積立投資をする投資信託の運用実績の見かたを紹介。実績だけには惑わされるな~
これまでの解説から、積立投資で資産運用する銘柄選びに必要な点について、以下、箇条書きでまとめて再度紹介していきます。
- トータルリターンの数値は、大きければ大きい程、優れている
- 標準偏差(リスク)は、低い程、安定した資産運用が可能(ただし、リターンも低い)
- シャープレシオの数値は、高ければ高い程、良い
- 銘柄は、ノーロードで信託報酬が低いものを選ぶ
- 銘柄の償還時期は無期限のものを選ぶ
- 銘柄は、再投資型を選ぶ
- 銘柄の純資産総額は、できる限り高いものを選ぶ(30億円を超えていることが理想)
- 銘柄の運用実績ができる限り長いものを選ぶ(3年以上が理想)
- 自動積立をすることができる銘柄を選ぶ
積立投資で銘柄を選ぶ際には、時間や手間がかかることは確かではありますが、上記で紹介した内容を参考に、運用実績の読み取り方を知り、投資信託の銘柄を選ぶことは、結果として理想の資産運用や資産形成ができる結果に繋がると考えられるでしょう。
ちなみに、積立投資の始め方は以下のページで詳しく解説しています。
これから老後の生活費など、将来のために資産形成を始めようと考えている方は、ぜひ読んでくださいね!
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