投資信託を購入する方法の1つに「積み立て(以下、本記事では積立投資とします)」があります。
積立投資は、まとまったお金がなくとも毎月一定のタイミングで投資信託を購入する方法で投資初心者には向きの投資方法であるほか、長い時間をかけてじっくりお金を増やしていきたいと考えている方向けの投資方法です。
また、積立投資は、「再投資型」の投資信託(ファンド)を選ぶことで、さらに将来のお金が増やしやすくなるといった「合理的」なメリットも併せ持っています。
本記事では、積立投資で再投資型ファンドを選んだ方が良い理由について再投資型のメリット・デメリットを紹介しながら解説していきます。
1. 長期的な積立投資をする場合は、再投資型のファンドを選ぶべし!
積立投資で取り扱う投資信託には「分配型」と「再投資型」という2種類のファンドがあります。
「分配型」とは、投資信託の運用で得た運用益の分配金が毎月支払われることから、ちょっとしたお小遣いの代わりとしたり、生活費の一部として貰ったお金を充てることができるといったメリットがあります。
分配型の投資信託を選んでいる方からすると、毎月のお金を受け取ることで投資をしてお金を貰っている実感が得られたりする効果が期待できる一方、分配型の投資信託は長期的な資産形成には残念ながら向いていません。
<分配型>
分配型の仕組みや積立投資に分配型を選んではいけない理由につきましては、同サイト内の以下、記事から詳しく知ることができます。
「再投資型」とは、投資信託で得た運用益をそのまま再投資するタイプのものを言います。
購入した投資信託のほかに投資信託で得た運用益を上乗せして再投資することから、時間が経過してから得られるお金が分配型に比べて格段に違ってくる特徴があります。
これらの投資結果の違いにつきましては、「3.再投資型と分配型とで、最終的な資産形成にどれだけの差がでるかを計算してみた」で紹介していきます。
<再投資型>
実のところ、分配型の投資信託は多くの投資家に人気であるほか、実際に購入された投資信託ランキングなどでも上位に食い込んでいるのは間違いありません。
このような現状を見てしまいますと、投資信託の運用益が毎月貰える分配型の方が明らかに良いと思ってしまいそうですが、なぜ、再投資型が積立投資といった長期の資産運用に向いているのかについて、次項のメリットおよびデメリットを解説しながら話を進めていきます。
2. 再投資型と分配型のメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
再投資型 |
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|
分配型 |
|
|
上記表は、再投資型と分配型の主なメリットとデメリットを比較した内容をまとめたものになります。すでに気になっておられる方もいるかもしれませんが、積立投資が長期の資産運用に向いている理由に「複利のパワー」があげられます。
この複利のパワーとは、「複利効果」のことを表しており、毎月コツコツ購入した投資信託と投資信託で得た運用益を合わせて再投資することで、この合わせた原資を下にさらに大きな運用益をあげる仕組みです。
以下、複利運用のイメージ図を紹介しますが、「利子」という言葉を「運用益」に置き換えて解説を読んでいくとイメージがわきやすいでしょう。

仮に100万円の投資信託を年間10%の複利運用で増やす場合、初年度は預けた100万円に運用益がプラスされて110万円になります。その翌年は110万円(投資信託100万円+運用益10万円)に10%が加算されて、121万円(110万円+11万円)と増えていくイメージです。
つまり、再投資型で長期の時間をかけて積立投資を行うということは、分配型に比べて10年後、20年後、30年ごといった将来に受け取れるお金に大きく差がつくわけです。
なお、ここからは分配型のデメリットにかかる補足となりますが、分配金には「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」があり、普通分配金を受け取る都度、20.315%の税金が徴収されることを忘れてはなりません。
毎月分配金を受け取れるといった話ばかり独り歩きしている印象をどうしても受けてしまいますが、都度、20.315%もの税金を納めてお金を受け取っているわけで、長い目で見るとかなりのロスになっていることに気が付く必要があります。
また、分配金が出ているから自分が購入している投資信託は「好調」と考えることはできません。ざっくり言ってしまいますと、自身の元本を「分配金」と銘打って分配されることがあるということも理解しておかなければならないのです。
特別分配金という名の分配金が正に「それ」であり、特別な分配金と多くの投資家から誤解を招かれることを防止するために現在では「元本払戻金」とされていることは確実に押さえておくべきでしょう。
3. 再投資型と分配型とで、最終的な資産形成にどれだけの差がでるかを計算してみた
ここでは、具体的に再投資型と分配型で、どれだけ資産形成に差が出るかを計算してまとめてみました。なお、シミュレーションは、100万円を年率7%で運用できた場合となります。
年数 | 再投資型 | 分配型 | ||
---|---|---|---|---|
運用結果 | 分配金 | 残投資額 | ||
1年 | 107.0万円 | 107.0万円 | 5.4万円 | 101.7万円 |
2年 | 114.5万円 | 108.8万円 | 5.4万円 | 103.3万円 |
3年 | 122.5万円 | 110.9万円 | 5.5万円 | 105.4万円 |
4年 | 131.1万円 | 113.2万円 | 5.7万円 | 107.5万円 |
5年 | 140.3万円 | 115.4万円 | 5.8万円 | 109.7万円 |
6年 | 150.1万円 | 117.7万円 | 5.9万円 | 111.8万円 |
7年 | 160.6万円 | 120.1万円 | 6.0万円 | 114.1万円 |
8年 | 171.8万円 | 122.5万円 | 6.1万円 | 116.4万円 |
9年 | 183.8万円 | 124.9万円 | 6.2万円 | 118.7万円 |
10年 | 196.7万円 | 127.4万円 | 6.4万円 | 121.1万円 |
11年 | 210.5万円 | 130.0万円 | 6.5万円 | 123.5万円 |
12年 | 225.2万円 | 132.6万円 | 6.6万円 | 126.0万円 |
13年 | 241.0万円 | 135.2万円 | 6.8万円 | 128.5万円 |
14年 | 257.9万円 | 137.9万円 | 6.9万円 | 131.0万円 |
15年 | 275.9万円 | 140.7万円 | 7.0万円 | 133.7万円 |
16年 | 295.2万円 | 143.5万円 | 7.2万円 | 136.3万円 |
17年 | 315.9万円 | 146.4万円 | 7.3万円 | 139.1万円 |
18年 | 338.0万円 | 149.3万円 | 7.5万円 | 141.8万円 |
19年 | 361.7万円 | 152.3万円 | 7.6万円 | 144.7万円 |
20年 | 387.0万円 | 155.3万円 | 7.8万円 | 147.6万円 |
21年 | 414.1万円 | 158.5万円 | 7.9万円 | 150.5万円 |
22年 | 443.0万円 | 161.6万円 | 8.1万円 | 153.5万円 |
23年 | 474.1万円 | 164.9万円 | 8.2万円 | 156.6万円 |
24年 | 507.2万円 | 168.1万円 | 8.4万円 | 159.7万円 |
25年 | 542.7万円 | 171.5万円 | 8.6万円 | 162.9万円 |
26年 | 580.7万円 | 174.9万円 | 8.7万円 | 166.2万円 |
27年 | 621.4万円 | 178.4万円 | 8.9万円 | 169.5万円 |
28年 | 664.9万円 | 182.0万円 | 9.1万円 | 172.9万円 |
29年 | 711.4万円 | 185.7万円 | 9.3万円 | 176.4万円 |
30年 | 761.2万円 | 189.4万円 | 9.5万円 | 179.9万円 |
たとえば、100万円を年率7%の再投資型で運用した場合、30年後には「761.2万円」になることが確認できます。
一方、分配型の場合、30年間受け取った分配金の合計216.3万円に現在の残投資額179.9万円を合わせた「396.2万円」が30年間における投資金と運用益の合計金額となります。
結果、再投資型と分配型では30年間で365万円の差が生じることが確認できることから、長期間に渡って資産形成をするには、分配型よりも再投資型の方が明らかに良いことが分かります。
4. 再投資型の投資信託を選ぶときのポイント
これまでの解説で「再投資型」の効果がご理解できたと思いますが、実際に再投資型の投資信託を選ぶときには、どのような点に気をつけるべきなのか?気になる皆さまは多いことでしょう。
実のところ、再投資型の投資信託は、分配型と比べても販売されている投資信託の数は少ないのが現状ですが、このような事情を踏まえて、以下2点を踏まえた投資信託を選ぶことをおすすめ致します。
無分配金である(もしくは決算回数年1回で、毎年分配金を出していないもの)
再投資型の投資信託を選ぶときのポイントの1つ目は、「無分配金である(もしくは決算回数年1回で、毎年分配金を出していないもの)」であることがあげられます。
「再投資型」といっても、日本国内では投資信託の分配金を一切出さない商品は販売を禁止されています。そのため、信託会社は「年1回分配金を出すとしつつも、満足できる運用成績を出せませんでした・・・再投資します」というようなスタイルで再投資型の商品を販売しています。
再投資型を探すのは、かなりわかりにくいのですが、そこでチェックしていただきたいのが「年1回決済で、毎年分配金を出していない」という商品です。
たとえば、ニッセイ-ニッセイ日経225インデックスファンドのような商品だと、


決算頻度は「年1回」としつつも、過去13年間、分配金を出さずに、再投資に回し続けていることが確認できます。再投資型の投資信託を選ぶ際は、このような商品を選ぶようにしてください。
償還期限が無期限のもの
再投資型の投資信託を選ぶときのポイントの2つ目は、「償還期限が無期限のもの」であることがあげられます。
この「償還期限」というのは、いつまでこの投資信託に投資し続けることができるのか?という期限のことを言い、たとえば、これが10年であれば、10年目には保有している投資信託が必ず売却されることになります。
そのため、いくら再投資型であっても長期的な資産運用をすることができないことになることから、理想としている運用益が得られなくなってしまう懸念が生じるほか、そもそも運用損になってしまう場合も十分あり得ます。
このような事態を回避するほか、運用益が生じている時点で投資信託を売却するためには、「償還期限が無期限のもの」を選んで、常に自分が有利な状況を作り出しておくことが必要です。
例:ニッセイ-ニッセイ日経225インデックスファンド
再投資型のファンドを選ぶときには、この2点を必ず押さえるようにしておきたいものです。
5. 再投資型と分配型はどちらが人気の投資信託なのか?
再投資型について詳しく解説をしてきましたが、実のところ、日本では再投資型よりも毎月分配型の投資信託の方が人気はあります。
この理由としては「毎月報酬を得られるという安心感がある」「銀行・証券会社がオススメしているから」「表面的な利回りが高いから」という3つの理由が主に考えられます。
しかしながら、人気によって投資信託を選ぶべきものではないことは言うまでもなく、あくまでも「投資目的」によって再投資型、分配型のどちらにするのかを選ばなければなりません。
短期的に見れば、再投資型と分配型のトータルの資産額に差はあまりなく、毎月お金が少しずつ手に入ることの安心感もあるため、分配型のほうが良いように感じてしまいますが、長期的に考えるのであれば、再投資型のほうがより多くの資産形成をすることが、これまでの解説からご理解できていると思います。
このように、「短期的」「長期的」といった投資期間と「いくら得たいのか」といった目標金額によって再投資型、分配型は選ぶべきであり、人気や毎月お金が得られるといった目先の利益だけに捉われて決めてしまってはいけないわけです。
6. まとめ~積立投資をするなら再投資型のファンドを選ぼう!再投資型のメリット・デメリットを紹介~
本記事では、積立投資で再投資型ファンドを選んだ方が良い理由について再投資型のメリット・デメリットを紹介しながら解説させていただきました。再度、再投資型におけるメリットとデメリットを紹介します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
再投資型 |
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|
本記事の結論として、再投資型は複利のパワーを活かした長期的な資産形成が目的であることから、たとえば、20代や30代で子供の学費や、老後の資金のために資産形成をするといった投資目的があるのであれば、長期的な時間を有効活用することができる再投資型を選ぶべきでしょう。
一般に分配型は、退職金など一定金額を確保した高齢の方が、毎月お小遣い感覚や年金にプラスαでお金を用意したいといったケースのほか、やはり定期的に分配金を得たいというケースで購入されていることが多い傾向にあります。
いずれの方法を選択することも投資家の皆さま自身の考えによるところとなりますが、投資目的をしっかりと定めた上で最適な投資方法を選択するようにしていただきたいと思います。
長い時間をかけて、より確実な資産形成をしっかりと行いたい場合は、目標金額を明確に定め、「積立投資」を「再投資型」でコツコツ実行することをおすすめ致します。
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