つみたてNISAは、平成30年1月より始まった新たな少額投資非課税制度のことをいい、金融庁が指定した「投資信託」もしくは「ETF(上場投資信託)」で資産運用することが決められている特徴があります。
つみたてNISAは、これらの金融商品を毎月一定金額ずつ積立投資するのが原則的な投資方法となっておりますが、保有したこれらの金融商品は、ご自身の考えに合わせて、いつでも売却し現金化することが可能な特徴も併せ持っています。
一般に、つみたてNISAのような積立投資では、長い時間をかけて少しずつ利益を上げるタイプの資産運用になるため、1年や3年といった短い期間でまとまったお金を準備することはできません。
このようなことを踏まえまして本記事では、つみたてNISAを活用した資産形成から保有している投資信託やETF(上場投資信託)を売却するまでの売却戦略について考えていきたいと思います。
1. つみたてNISAで資産形成される仕組みを知る
冒頭では、つみたてNISAのような積立投資では、長い時間をかけて少しずつ利益を上げるタイプの資産運用になることをお伝えさせていただきました。
そこで、まずは、つみたてNISAを非課税期間にあたる最大20年間に渡って行った場合に、どのような推移でお金が増えていく(資産形成される)のか、その仕組みについて知るところから始めていきましょう。
つみたてNISAで20年間投資を続けた場合の資産額を計算してみた
毎月33,333円(年間投資上限40万円を12ヶ月で割った金額)を20年間投資し、利回り3%で運用できた場合の資産額は以下の通りです。
年数 | 累計投資額 | 資産形成金額 | 利益 | 年数 | 累計投資額 | 資産形成金額 | 利益 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1年 | 399,996円 | 401,491円 | 1,495円 | 11年 | 4,399,956円 | 5,153,220円 | 753,264円 |
2年 | 799,992円 | 815,193円 | 15,201円 | 12年 | 4,799,952円 | 5,711,450円 | 911,498円 |
3年 | 1,199,988円 | 1,241,478円 | 41,490円 | 13年 | 5,199,948円 | 6,286,660円 | 1,086,712円 |
4年 | 1,599,984円 | 1,680,730円 | 80,746円 | 14年 | 5,599,944円 | 6,879,366円 | 1,279,422円 |
5年 | 1,999,980円 | 2,133,342円 | 133,362円 | 15年 | 5,999,940円 | 7,490,099円 | 1,490,159円 |
6年 | 2,399,976円 | 2,599,720円 | 199,744円 | 16年 | 6,399,936円 | 8,119,408円 | 1,719,472円 |
7年 | 2,799,972円 | 3,080,283円 | 280,311円 | 17年 | 6,799,932円 | 8,767,858円 | 1,967,926円 |
8年 | 3,199,968円 | 3,575,464円 | 375,496円 | 18年 | 7,199,928円 | 9,436,032円 | 2,236,104円 |
9年 | 3,599,964円 | 4,085,706円 | 485,742円 | 19年 | 7,599,924円 | 10,124,528円 | 2,524,604円 |
10年 | 3,999,960円 | 4,611,467円 | 611,507円 | 20年 | 7,999,920円 | 10,833,966円 | 2,834,046円 |

表にまとめた利益額を見ていただくと一目瞭然なのですが、つみたてNISAは、長い時間をかけて継続して積立投資をすることによって、少しずつ利益も積み上がって増えているのがわかり、このようなイメージで資産形成される特徴があります。
そして、つみたてNISAは、20年間に渡って、投資で得た利益に対して税金がかからない制度であることから、手にすることができた利益額は、丸々自分の手元に残すことができることも確実に押さえておかなければならないポイントといえるでしょう。
2. つみたてNISAは、途中売却(解約)がいつでもできる
つみたてNISAは、金融庁が指定した「投資信託」もしくは「ETF(上場投資信託)」のいずれかの金融商品を活用した資産運用にあたることから、これらの金融商品の特性上、いつでも途中売却(解約)が可能であり、現金化することができます。
では、つみたてNISAで長い間、資産運用することによって保有している投資信託やETF(上場投資信託)を売却するまでの売却戦略とは、いったいどのように考えるのが得策なのか?本項では考えてみたいと思います。
売却戦略その1 つみたてNISAを始める目的を明確に持って、目的が達成できた時に売却する
つみたてNISAは、長期の投資であり、投資信託等で資産運用をする仕組みになっていることから、基本的には、将来目標を立てた上で行うべき投資になります。
ここで言う将来目標とは、一例として以下のようなものをいいます。
- 子どもの教育資金を準備するまでに20年間で1000万円準備する
- 将来の老後資金の一部や住宅のリフォーム費用として20年間で1,500万円準備する
- 預金にお金を寝かせておくよりであれば、少しでもお金が増えるように低リスク・低リターンで長い時間をかけて資産運用しておこう
3の目標は漠然とした投資目的になっていますが、お金を効率的に増やすといった意味ではとても大切な考え方にあたります。
なお、1や2のように、つみたてNISAを始める目的を明確に立てている場合は、その時期が到来した時に売却をする場合と目標金額が達成できた場合に売却をする場合の2つのパターンが考えられます。
これら2つのパターンは、どちらで売却しても問題なく、あくまでも難しく考えずに、投資目的や投資目標が達成できた時に売却すると考えておくことで足ります。
売却戦略その2 こまめに売却せず、基準価額が大きく下がった時に売却しない
つみたてNISAは、投資信託等を長い時間をかけて資産運用することで大きなお金が形成できる仕組みになっていることから、たとえば、投資信託の基準価額が上がったことによって運用益が発生したからといった理由でこまめに売却することは決して得策とはいえません。
この理由として、つみたてNISAは、毎月の投資元金と投資で得た運用益を再度、資産運用することによって、「複利効果」と「長期間」を有効活用することで、大きなお金が形成される特徴があるためです。
つまり、お金を大きく育てるためには、前述した「複利効果」と「長期間」という条件が不可欠であり、どちらも有効活用しなければ、大きな資産を成し得ることはできないわけです。
併せて、最もやってはいけないこととして、投資信託等の基準価額が大きく下がったからといって、「動揺して売却すること」があげられます。
つみたてNISAは、毎月一定金額ずつ投資信託等を買付するといった原則的な方法に則って資産運用をしなければならないルールがあるのですが、いわゆる「定額購入=ドルコスト平均法」は、価格が高い時は少量を、価格が低い時は大量に投資信託等を買付できる特徴があります。
仮に、投資信託等の基準価額が大きく下がった時というのは、大量に投資信託等を買付できることを意味し、「長い時間」をかけて基準価額が元に戻り、そのまま徐々に上昇したとするならば、価格が大きく値下がりした当初に大量に購入した投資信託等が運用益に大きく直結することになるわけです。
正に、ピンチはチャンスというわけです。
なお、こちらの売却戦略に関するリスクヘッジ対策は、後述する「2-3.売却戦略その3 リスクヘッジ対策として、投資目的の時期が到来する前に売却する」で解説をしています。
売却戦略その3 リスクヘッジ対策として、投資目的の時期が到来する前に売却する
つみたてNISAで長い時間をかけて資産運用を続けたことによって、当初設定した投資目的や投資目標金額にある程度近づけていると思いますが、お金が入り用な時期を目前に投資信託などの価格が大きく下がることによって、運用益を大きく減らしたくないと考えるのが普通だと思います。
そこで、あえてリスクヘッジ対策として、投資目的の時期が到来する前に保有している投資信託等を売却して「利益確定」しておくことも、有効な売却戦略の1つといえます。
もちろん、今後、さらに値上がりする期待が持てるものの、つみたてNISAを始める目的を達成することが最優先であることを踏まえますと、値下がりすることで利益を減らすよりも得策かつ確実な選択肢であり、賢い売却戦略にあたると考えられます。
売却戦略その4 シンプルに「一点集中買い」で大きく資産を増やしてから売却する
つみたてNISAなどのような長期投資では、一般に、投資目的、投資目標、投資戦略、資産配分が重要だといわれますが、初めてつみたてNISAを始める方にとってみますと、「難しいことは度外視してシンプルにお金を増やしたい」といった考えの方もおられるはずです。
そのような方は、あえてシンプルに「一点集中買い」で大きく資産を増やしてから売却する方法を検討してみるのも良いでしょう。
一般に、投資をするには、投資戦略にあたる「アセットアロケーション」や資産配分にあたる「ポートフォリオ」を組むことが大切と言われますが、要は、つみたてNISAを始めることによって、投資目標金額や投資目的が果たせれば良いといった最終的な目標は、投資戦略を立てないとしても、資産配分を考えないとしても同じなはずです。
ざっくり申し上げてしまいますと、シンプルに「一点集中買い」で大きく資産を増やす方法も一種の投資戦略にあたり、必ずしも複数の商品に投資をして資産配分することが正しいとは言えない訳です。
つみたてNISAは、毎月約33,000円程度までしか積立をすることができないわけでありますから、たとえば、5000円ずつのように少額のお金を複数の商品へ投資することによって、安定感は得られる一方で、大きく資産を増やすのは難しくなることも知っておかなければなりません。
お金を大きく育てるためには、すでに解説した「複利効果」と「長期間」という条件が必要なほか、「投資金額」が大切なわけでありますから、この辺も考慮した売却戦略が重要になります。
3. 売却して余った資産は、再度投資することで有効活用しよう
仮に、つみたてNISAの売却戦略を活用し、売却して余った資産は、引き続き再投資することで、できる限り有効活用したいものです。
つみたてNISAは、投資で得た運用益について20年間、税金がかからない制度になっておりますが、20年後は、いったん課税口座と呼ばれるところへ移換される仕組みになっています。
しかし、課税口座に移換された場合であったとしても、現在のNISAと同じように、これまで、つみたてNISAで資産運用してきた資産が値上がりした場合であったとしても、課税されることはないわけですから、引き続き資産運用しながらお金が育つのを待つのも有効な活用方法であると考えられるわけです。
4. つみたてNISAにおける途中売却の注意点
本記事の最後に、つみたてNISAにおける途中売却の重要な注意点について解説をしておきたいと思います。
参考:http://www.tantonet.jp/qa/3090
つみたてNISAでは、仮に、年の途中で保有している投資信託等を売却した場合、その売却した金額は、非課税枠の範囲から使用されることになるため、結果としてその分だけ非課税枠や投資額が復活することはありません。
つまり、つみたてNISAでは、いつでも売却して現金化することはできますが、一度売却をした場合、その年の売却した分の非課税投資枠は引き続き利用することはできないことを意味します。
つみたてNISAの売却戦略において、まめに売却することはお金が育たないため、行わないようにすることを推奨致しましたが、まめに売却をするということは、その分の非課税投資枠が減ることも意味しますので、尚更、注意が必要であるとも言えるでしょう。
また、つみたてNISAでは、「スイッチング」をすることができないルールもありますので注意が必要です。
スイッチングとは、預け替えとも呼ばれ、たとえば、A投資信託を20万円分売却し、その売却したお金でB投資信託を20万円分購入するといったことはできないことを指しています。
そのため、現在、つみたてNISAで資産運用している投資信託等よりも理想的な商品があった場合は、つみたてNISAで投資する商品を変更する方法や投資金額を変更する方法などで対応をする工夫が求められます。
このように考えますと、つみたてNISAを始める際は、投資する商品選びがとても重要出ることがご理解できるのではないでしょうか。
5. まとめ
本記事では、つみたてNISAを活用した資産形成から保有している投資信託やETF(上場投資信託)を売却するまでの売却戦略について解説をさせていただきました。
つみたてNISAは、投資戦略や資産配分に確実かつ明確なルールといったものはありませんので、あくまでも、ご自身がつみたてNISAを始める投資目的や投資目標金額を確実に達成できるようにするためには、どのような売却戦略を駆使したら良いのか考えることが大切です。
また、つみたてNISAは、長期投資にあたることから、基本的には20年間といった非課税期間を有効に活用して資産運用を継続するべきであることは確かです。
ただし、つみたてNISAで資産運用をすることができる投資信託等は、必要なときにいつでも売却して現金化することができるわけですから、普段の貯蓄や家計状況などと相談しながら、必要な時は、無理せず売却する柔軟な考え方を持つことも時には必要でしょう。
つみたてNISAで、いかにお金を育てられるのかは、ご自身の売却戦略が大きく左右すると言っても決して過言ではないのです。
最後に、つみたてNISAで積立投資ををスタートするためには、金融機関で専用口座を開設する必要があります。
以下のページで「どの会社で口座開設をして、つみたてNISAをスタートすべきか?」を解説していますので、ぜひ、こちらも呼んでくださいね!
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