投資を行う上で、投資目的を持って始めることや「ポートフォリオ」をあらかじめ考えてから始めるべきであるとよく言われます。
そもそも、ポートフォリオとは、投資をする際の「資産配分=資産の組み合わせ」のことを指し、たとえば、つみたてNISAを活用して、インデックスファンドを積立投資するのであれば、信託報酬などのコストが低い商品を組み合わせてポートフォリオを作るのが望ましいとされています。
詳しい解説につきましては、本記事中で進めさせていただきますが、ポートフォリオには、定まったルールやマニュアル的なものはなく、あくまでもご自身の投資目的や資産運用の考え方によって柔軟に変化させるものであることをあらかじめお伝えし解説を進めます。
1. つみたてNISAのポートフォリオを考える前に最低限押さえておかなければならないこと
つみたてNISAのポートフォリオについて解説を進めていく前に、最低限押さえておかなければならないこととして、つみたてNISAで投資をすることができる金融商品について触れておきたいと思います。
なお、本項の解説は、少し長くなってしまいますが、非常に重要な内容になりますので、読み飛ばさず最後まで目通しされることをおすすめします。
つみたてNISAで投資をすることができる金融商品とは、「金融庁が指定している投資信託もしくはETF(上場投資信託)」に限られ、かつ、以下のイメージ図のような細かな規定が設けられています。
出典:金融庁 つみたてNISAの概要 つみたてNISAとはより引用
出典:金融庁 つみたてNISA対象商品の概要について(2018年4月23日時点)より引用
平成30年4月23日時点で、金融庁が指定している投資信託やETFは145本であることが確認でき、つみたてNISAでポートフォリオを組むということは、この145本の中から投資する商品を選んで組み合わせていかなければならないことを意味します。
すべての金融機関で、すべての商品を取り扱っているわけではない
つみたてNISAでは、平成30年4月23日時点で145本の商品から投資する商品を選んでポートフォリオを考えなければなりませんが、すべての金融機関で、すべての商品(ここでは145本)を取り扱っているわけではない点についてもあらかじめ知っておかなければなりません。
金融機関名 | 総取扱本数 | パッシブ運用 | アクティブ運用 |
---|---|---|---|
SBI証券 | 131本 | 120本 | 11本 |
楽天証券 | 128本 | 117本 | 11本 |
マネックス証券 | 109本 | 99本 | 10本 |
カブドットコム証券 | 0本 | 0本 | 0本 |
松井証券 | 70本 | 63本 | 7本 |
野村證券 | 6本 | 4本 | 2本 |
大和証券 | 15本 | 14本 | 1本 |
三菱東京UFJ銀行 | 10本 | 9本 | 1本 |
みずほ銀行 | 5本 | 5本 | 0本 |
三井住友銀行 | 3本 | 3本 | 0本 |
ゆうちょ銀行 | 8本 | 6本 | 2本 |
たとえば、SBI証券でつみたてNISAを始めると仮定し、つみたてNISAのポートフォリオを考える場合、取り扱いされている131本の中から投資商品を組み合わせてポートフォリオを作るイメージになります。
一方、つみたてNISAで投資をすることができる商品が少ない金融機関を選んでしまいますと、数が少ない分、ポートフォリオで組み入れする商品が限定されることになるため、ご自身が思い描いたポートフォリオを作るのが難しくなると考えられます。
また、つみたてNISAは、複数の金融機関で口座を開設して始めることはできず、1つの金融機関のみになりますので、安易な金融機関選びは大きな誤りであり、この注意点については、あらかじめ押さえておく必要があります。
出典:金融庁 つみたてNISAの概要 つみたてNISAとはより引用
2. つみたてNISAをやるときには、どのようなポートフォリオを組むべきか?
本記事の冒頭では、つみたてNISAを活用して、インデックスファンドを積立投資するのであれば、信託報酬などのコストが低い商品を組み合わせてポートフォリオを作るのが望ましいことをお伝えしました。
先に解説をさせていただきましたように、つみたてNISAは、金融庁が指定した投資信託もしくはETFのいずれかでの投資になりますので、iDeCo(個人型確定拠出年金)とは異なり、元本が保証されている定期預金や保険といった金融商品で資産運用をすることはできません。
そのため、無理のない継続してつみたてNISAをできる範囲内で投資金額を決定し、ポートフォリオを考えることが大切です。
つみたてNISAで長い期間をかけて投資ができる方は、「株式投資信託」のみで
つみたてNISAは、最大で20年間、投資で得た利益に対して税金がかからない制度であるため、つみたてNISAで長い期間をかけて投資ができる方は、より多くの利益を上げやすい「株式投資信託」のみのポートフォリオを組んでみることをおすすめします。
たとえば、日本国内の株式投資信託30%、先進国の株式投資信託50%、新興国の株式投資信託20%などのように、それぞれの国へ分散投資することでリスクとリターンを分散することが可能です。

仮に、つみたてNISAで毎月10000円ずつ投資をするとし、ポートフォリオについて、日本国内の株式投資信託30%、先進国の株式投資信託50%、新興国の株式投資信託20%と決めた場合、日本国内の株式投資信託3,000円、先進国の株式投資信託5000円、新興国の株式投資信託2,000円の投資をすれば良く、そのような商品を選んで投資をすれば良いといったイメージです。
ちなみに、筆者の場合ですと、先進国にあたるアメリカの株式投資信託のみに投資しており、つみたてNISAにおけるポートフォリオは、先進国の株式投資信託100%です。
「ポートフォリオを考えていないのでは?」といったツッコミが聞こえてきそうですが、世界経済の中心は、先進国であるアメリカでありますから、長い時間をかけて少しずつ世界経済が成長した時に、10年後、20年後にその成長した果実を直接大きく受けられると筆者は考えており、決してポートフォリオを考えていないわけではありません。
冒頭でもお伝えさせていただきましたように、ポートフォリオには、定まったルールやマニュアル的なものはなく、あくまでもご自身の投資目的や資産運用の考え方によって柔軟に変化させるものでありますから、複数の投資信託へ必ずしも分散させることが得策とは言い切れないのです。
つみたてNISAで安定した投資を求めている方は、「バランスファンド」のみで
つみたてNISAで安定した投資を求めている方は、「バランスファンド」のみで資産運用をするのがわかりやすく、ポートフォリオを難しく考える必要もなくおすすめです。
バランスファンドとは、1つのファンド(投資信託)で全世界の株式・債券・REITに投資できる投資信託のことをいい、1つのファンド(投資信託)で多くの資産へ分散投資することによって、株式や債券などといった金融商品の良い部分と悪い部分が相殺されることになるため、実際に得られるリターン(収益)が、より安定するといったメリットが得られます。
また、バランスファンドに投資をすることによって、わざわざポートフォリオを考える手間も省かれ、まずは、ご自身がつみたてNISAで投資をするバランスファンド1つに投資をして様子を伺ってみるのが得策です。
参考:つみたてNISAでオススメのバランスファンドを紹介
3. つみたてNISAのポートフォリオは、年代別に考えるものではない
つみたてNISAは、年齢が20歳以上であれば誰でも無料で口座を開設して始められる投資制度になりますが、iDeCo(個人型確定拠出年金)のように投資をすることができる期間が60歳までといったような縛りがありません。
そのため、何歳からつみたてNISAを始めたとしても、最大で20年間に渡って投資で得た利益に対して税金がかからないといった恩恵が受けられることを意味するわけでありますから、つみたてNISAのポートフォリオは、年代別に考える必要は基本的にありません。
つみたてNISAのポートフォリオを考える上で大切なことは、年代別に考えることではなく、つみたてNISAで投資をする目的や目標金額を明確にし、それらを達成するためには、どのようなポートフォリオを組むべきなのか考えることが大切なのです。
たとえば、20代や30代といった子育て世帯の方で、つみたてNISAを活用して将来の子どもの教育資金を準備したいのであれば、お金が必要になるまでの期間を現在から逆算するとポートフォリオも組みやすくなります。
参考:楽天証券 積立かんたんシミュレーションより
上記シミュレーションは、子どもが誕生して、国公立の大学への教育資金として800万円を18年間でつみたてNISAを活用して準備したいと考えた場合、1ヶ月あたり30,000円の積立投資であれば、「利回りが2.3%」以上であれば用意できるといった見方になります。
いわゆる、ローリスク・ローリターンで準備できることが確認でき、つみたてNISAのポートフォリオを考えた時、利回りが2.3%以上のバランスファンドを活用して安定かつより確実に投資を行うことが得策といった考え方もできるでしょう。
今度は、現在10歳の小学生の子育てを奮闘している親御さんが、大学等へ入学する際の初年度の学費等として300万円の教育資金を準備しておきたいといったイメージでシミュレーションしてみます。
参考:楽天証券 積立かんたんシミュレーションより
現在10歳の子が大学等に必要な学費を準備するには、約8年間といった期間で準備する必要があり、仮に、1ヶ月あたり25,000円ずつ、つみたてNISAで投資をするならば、ミドルリスク・ミドルリターンと呼ばれる利回り5.3%以上の投資商品を選ぶことで目標金額を達成することができます。
年齢が40代や50代といった場合であったとしても、これまで紹介したような考え方で投資目的や投資目標金額をあらかじめ明確にした上でつみたてNISAを始めれば、どのくらいの利回りが必要なのか簡単に導き出すことができます。
後は、その利回りを達成できるような商品を選ぶことができれば、ご自身が思い描いているポートフォリオは簡単に完成されることになります。
4. つみたてNISAのポートフォリオは、リスクとリターンを考えて組もう
つみたてNISAのポートフォリオは、ローリスク・ローリターン、ミドルリスク・ミドルリターン、ハイリスク・ハイリターンといったご自身が思い描いているリスクとリターンの関係性や毎月の投資金額、投資期間、投資目標金額などを考えて組む必要があります。
とはいえ、つみたてNISAのポートフォリオを前項で紹介したような簡単な方法ではなく、より詳細にポートフォリオを組みたいと考えている方もおられると思いますので、以下、参考までに紹介しておきます。
ツールを利用して、自分が想定するポートフォリオのリスク・リターンを調べる
こちらは、詳細なポートフォリオの組み方になりますが、ツールを利用して、自分が想定するポートフォリオのリスク・リターンを調べることによって、適したポートフォリオを組むことが可能です。
以下、同サイト内で、つみたてNISAのポートフォリオの組み方について詳細に解説している記事がありますので、本記事では紹介のみに留めさせていただきます。
参考:積立投資をはじめるまえにはポートフォリオを組むべし!ポートフォリオの組み方を解説
5. まとめ
つみたてNISAを始める上で、ポートフォリオを考えることは、目標としている金額をより確実に準備するために必要なことであるのは確かです。
一方、シミュレーション例で紹介しましたように、つみたてNISAで投資する期間や目標としている金額、その他の事情は、すべての方の条件が全く異なるわけでありますから、本記事の冒頭でお伝えさせていただきましたように、ポートフォリオには、定まったルールやマニュアル的なものはなく、あくまでもご自身の投資目的や資産運用の考え方によって柔軟に変化させるものであることを改めてご理解いただく必要があります。
ポートフォリオは、必ずしも複数の商品へ分散させなければならないわけではなく、つみたてNISAで投資をすることができる1つのバランスファンドを選ぶことや、ご自身の投資目的と合致していれば、難しくポートフォリオを考える負担も大きく減ることは確かです。
つみたてNISAで将来得られるお金は確定しているわけではありませんから、ポートフォリオを定期的に見直す必要性も考えられますが、最初は、気負うことなく、シミュレーション例で紹介したような簡単な方法で「利回り」を確認し、それに合った投資商品を探してみることをおすすめします。
最後に、つみたてNISAで積立投資ををスタートするためには、金融機関で専用口座を開設する必要があります。
以下のページで「どの会社で口座開設をして、つみたてNISAをスタートすべきか?」を解説していますので、ぜひ、こちらも呼んでくださいね!
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