つみたてNISAは、平成30年1月より始まった新たな少額投資非課税制度のことをいい、人生三大資金と呼ばれる「教育資金」「住宅資金」「老後資金」に備えるためにお金を貯めながら増やすことができる特徴があります。
つみたてNISAでお金を貯めながら増やす仕組みというのは、金融庁が指定した「投資信託」もしくは「ETF(上場投資信託)」を「一定金額」ずつ「積立方式」で「20年間」続けていくことで成せるものになります。
本記事では、人生三大資金の内、「住宅資金」に焦点をあて、つみたてNISAを活用した賢い住宅資金を作り出す方法について解説を進めていきます。
1. つみたてNISAだけで住宅資金を「全額」作ることはできない
解説の初めから結論を申し上げることになりますが、つみたてNISAだけで住宅資金を「全額」作ることは、つみたてNISAの仕組上、残念ながら達成することはできません。
この理由として、つみたてNISAは、1年間あたりの投資上限金額が決まっており、「年間40万円(月額約33,000円)まで」となっていることが、1つ目の理由としてあげられます。
また、つみたてNISAは、金融庁が指定した「投資信託」もしくは「ETF(上場投資信託)」のみが投資対象となっており、原則として「毎月」などのように、あらかじめご自身が設定した日ごとに一定金額を積立ながら行わなければならないことになっています。
そのため、たとえば、「毎月10日に10000円ずつの買付」などのようなイメージで、あらかじめ買付日と買付金額を設定しなければなりません。
これらの理由を組み合わせて、資産運用をシミュレーションし、かつ、ハイリスク・ハイリターンでの資産運用を試みて無事成功した概算結果が以下の通りです。
出典:楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
つみたてNISAは、月額約33,000円までの資産運用で利回り8%のハイリスク・ハイリターンの資産運用を行い、つみたてNISAの最大非課税期間20年をフルに活用できたとしても2,000万円には届いていないことが確認できます。
住宅購入は、個々によって購入金額が異なることになりますが、約1,943万円では、ご自身が納得した理想の住宅購入をすることは難しいことがわかります。
2. つみたてNISAで住宅購入資金の一部(頭金)を作ることが大きなポイント
前項の解説より、つみたてNISAだけで住宅購入資金を生み出せないことがわかりましたが、大切なことは、つみたてNISAで住宅購入資金の一部(頭金)を作ることが大きなポイントになります。
頭金とは、「住宅購入のための自己資金」のことをいい、たとえば、住宅購入にあたり多くの方が申し込みをする「住宅ローン」は、現在、頭金が無くてもお金を借りられますが、実のところ、ある程度まとまった頭金を有していることで、多くの金融機関では、住宅ローンの金利を引き下げてくれる優遇サービスを設けています。
参考までに、SBI証券と同じグループにあたる住信SBIネット銀行で取り扱っている長期固定金利の住宅ローン「フラット35s」では、「頭金が1割あるか、ないか」で金利差を設けており、その内容は以下の通りです。
頭金が1割以上ある場合(新機構団信付き)
借入期間 | 金利Aプラン金利Bプラン | 当初期間経過後 |
---|---|---|
15年~20年まで | 年1.07% | 年1.32% |
21年~35年まで | 年1.15% | 年1.40% |
頭金がない場合(新機構団信付き)
借入期間 | 金利Aプラン金利Bプラン | 当初期間経過後 |
---|---|---|
15年~20年まで | 年1.51% | 年1.76% |
21年~35年まで | 年1.59% | 年1.84% |
参考:住信SBIネット銀行 フラット35S 平成30年2月金利
住宅ローンを申し込む際、頭金がない方が高い金利を適用されてしまいますので、できる限り頭金を用意しておいた方が良いといった考え方になります。
たとえば、3,500万円の住宅を購入する予定がある場合、頭金(自己資金)として、1割にあたる350万円を持っているか、持っていないかで金利が異なることを意味し、これを総返済金額に置き換えると一目瞭然です。
※金利Bプラン(金利引き下げ期間5年)が適用されるものとします
※元利均等返済・ボーナス払い無しとします
※借入期間(返済期間)は、35年とします
借入金額3,150万円 頭金が1割以上ある場合(新機構団信付き)
借入期間 | 金利Bプラン | 当初5年期間経過後 | 総返済金額 |
---|---|---|---|
35年 | 年1.15% | 年1.40% | 38499060 |
借入金額3,500万円 頭金がない場合(新機構団信付き)
借入期間 | 金利Bプラン | 当初5年期間経過後 | 総返済金額 |
---|---|---|---|
35年 | 年1.59% | 年1.84% | 45965520 |
頭金があるかないかの違いは、「7,466,460円(45,965,520-38,499,060)」という多額のお金を多く支払うのか、支払はなくて済むのかといった違いが生じていることがわかります。
つみたてNISAで頭金(自己資金)を準備するイメージ
住宅ローンの頭金をつみたてNISAで準備するといかに大きな効果があるのか、ご理解いただいたところで、実際につみたてNISAで頭金(自己資金)を準備するイメージを知りたいといったユーザーの皆さまも多いと思います。
そこで以下、参考となりますが、つみたてNISAを活用して頭金(自己資金)を準備する資産運用例を1つ紹介させていただきます。

1ヶ月あたり積立金額 | 利回り | 年の経過 | |||
---|---|---|---|---|---|
30,000円 | 5% | 5年後 | 10年後 | 15年後 | 20年後 |
2,040,182円 | 4,658,468円 | 8,018,668円 | 12,331,010円 |
たとえば、住宅購入を5年後に考えているとした場合、つみたてNISAを1ヶ月あたり30,000円ずつ利回り5%(ミドルリスク・ミドルリターン)で始めた場合、5年後には「2,040,182円」のお金を準備することができるといったイメージになります。
仮に、3,000万円の住宅購入をするとした場合、100万円程、足りませんが、つみたてNISAで作ったお金と貯金などでまかなうことができないか?といった考え方もあります。
他に考えられる方法として積立金額を1ヶ月の最大金額にあたる33,000円に上げる、リターンをハイリスク・ハイリターンに切り替えるなど、それぞれに合った工夫の仕方を実行することで、住宅購入資金の頭金を準備することが可能です。
3. つみたてNISAで将来の住宅修繕積立金を準備することも可能
念願の住宅購入をしますと、固定資産税や都市計画税といった税金の納付をはじめ、火災保険料やその他の維持管理費用といったものが定期的に発生することになります。
購入した住宅は、年が経過するにつれて、経年劣化することになりますが、この時のために修繕費用をあらかじめ貯めておく修繕費用積立金としてつみたてNISAを活用することも可能です。
おそらく、住宅購入をされた世帯の多くは、住宅ローンを返済しながら子どもの教育費用もかかると思われますが、住宅修繕積立金は、今後20年や30年後といった長い期間が経過した時に必要になるものであるからこそ、無理のないつみたてNISAの活用が大きなポイントになるでしょう。
出典:楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
つみたてNISAは、途中で金額変更をすることができますので、決して無理をせず、1ヶ月の積立金額は低めに設定しても良いと思われますが、あくまでも、つみたてNISAを活用して住宅修繕積立金に備えるといった目的がぶれないようにしておきたいものです。
4. 住宅ローンの繰り上げ返済資金として準備することも可能
先に、つみたてNISAを活用した頭金(自己資金)の準備をすることで、総返済金額が大きく抑えられることを解説させていただきましたが、現在抱えている住宅ローンについて、まとまったお金を一時的に返済することで総返済金額を抑える「繰り上げ返済資金」として、つみたてNISAを活用することも可能です。
つみたてNISAを活用して住宅ローンを繰り上げ返済するイメージは、以下の通りです。

1ヶ月あたり積立金額 | 利回り | 年の経過 | |||
---|---|---|---|---|---|
10,000円 | 3% | 5年後 | 10年後 | 15年後 | 20年後 |
646,467円 | 1,410,908円 | 2,269,727円 | 3,283,020円 |
住宅ローンは、住宅ローン残高が多ければ多い程、繰り上げ返済の効果が高いとされておりますが、ここでは、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の恩恵がすべて無くなる10年後につみたてNISAで形成した140万円を繰り上げ返済したものとしてシミュレーションしてみます。
住宅ローンの借入条件
- 借入金額 3,500万円
- 固定金利 1.5%
- 返済期間 35年
- 返済方法 元利均等返済(ボーナス払い無し)
- 1ヶ月あたりの返済金額 82,026円
内容 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
---|---|---|
1ヶ月の返済金額 | 82,026円 | 76,427円 |
繰り上げ返済の効果 | 606,796円 | 279,746円 |
住宅ローンの繰り上げ返済には、返済期間を短縮させる「期間短縮型」と1ヶ月あたりの返済金額を軽減させる「返済額軽減型」の2つの方法があり、いずれの方法も選ぶことができます。
つみたてNISAで資産形成したお金を繰上げ返済にあてることによって、期間短縮型の場合、返済期間を2年短縮させることができ、606,796円の利息を支払わなくても済む結果となり、返済額軽減型を選んだ場合、1ヶ月あたりの返済金額を約5,599円少なくさせられる効果が得られます。
このように、ご自身がその時々の状況によって賢く繰り上げ返済を活用することが、つみたてNISAを利用することで可能になるわけです。
5. 夫婦でそれぞれ計画的につみたてNISAを始められると、なお効率的
つみたてNISAは、1人1口座までしか開設することができないほか、1ヶ月あたりの投資金額を約33,000円までに抑えておかなければならないことから、将来の住宅資金を考えた時、ご自身の目的に沿った十分なお金を準備できないことも考えられます。
そこで、夫婦それぞれが個別につみたてNISAの口座を開設することによって、たとえば、夫は、将来の繰り上げ返済のため、妻は、将来の住宅修繕積立金を準備するためといったようなイメージで、世帯全体が将来の住宅資金の準備をすることも可能になります。
つみたてNISAは、20年間といった長い時間をかけてお金を貯めながら増やすことができる制度でありますから、資産運用の目的をしっかりと持ち、計画的につみたてNISAを始めることによって、結果として世帯の家計全体にとってプラスの効果が得られ、効率的になるわけです。
6. つみたてNISAで資産運用したお金は、いつでも現金化が可能
つみたてNISAで資産運用する金融商品は、金融庁が指定した「投資信託」もしくは「ETF(上場投資信託)」に限られておりますが、基本的に必要な時期に応じていつでも「現金化」することが可能です。
具体的には、保有している投資信託等を「解約=売却」することで現金化をすることになりますが、預金などのように、その日の内に現金として手にすることはできません。
つみたてNISAを始めている金融機関によって違いはあるものの、現金化になるまで概ね「4日から1週間程度」の期間を要することになりますので、住宅資金が必要な時期を逆算して、現金化しておくことをおすすめ致します。
たとえば、住宅ローンの審査を申し込みした後、無事、本審査が通過した連絡を受けた場合などが現金化する1つのタイミングだと考えられ、本審査を通過した後は、火災保険料や登記手続きにかかる費用など、一時的に多くのお金を要することになるため、そのための資金としていつでも支払えるようにしておくことが望ましいと考えられます。
なお、これらにかかる諸費用は、選んだ火災保険料や補償内容、購入した住宅の態様などによってすべて異なってくることから、一概に金額を伝えることは難しいですが、少なくとも住宅購入価格の5%から10%程度は準備しておきたいものです。
7. まとめ
本記事では、人生三大資金の内、「住宅資金」に焦点をあて、つみたてNISAを活用した賢い住宅資金を作り出す方法について解説を進めさせていただきました。
住宅資金と見聞きしますと、住宅購入の資金としてのイメージを持たれる方がとても多いのですが、本記事で解説をさせていただきましたように、つみたてNISAを活用した住宅資金は、住宅の購入前から住宅の購入後まで幅広く活用できることがご理解いただけたと思います。
このように、住宅資金を幅広く考えてみた時、つみたてNISAは、使える制度であることを率直に感じてもらうことができたのではないでしょうか。
つみたてNISAは、資産運用の目的を持って行うことがとても大切になりますが、お金が多くあることに越したことはありませんから、本記事で解説した「住宅資金」のほかに、「子どものための教育資金」「ご自身の老後を考えた老後資金」など、必要に応じて活用できることも併せて知っておきたいものです。
なお、つみたてNISAで積立投資ををスタートするためには、金融機関で専用口座を開設する必要があります。
以下のページで「どの会社で口座開設をして、つみたてNISAをスタートすべきか?」を解説していますので、ぜひ、こちらも呼んでくださいね!
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