平成30年1月から始まった「つみたてNISA」は、これまであった「NISA」と同じ少額投資非課税制度にあたりますが、従来のNISAに比べて、多くの方が利用しやすく、かつ、メリットが得られやすくなりました。
また、つみたてNISAが始まったことによって、従来のNISAが無くなったわけではなく、NISAもしくはつみたてNISAのいずれかの制度を選択して自由に活用することができるほか、年単位で変更することもできるため、その時々の状況に応じた柔軟な活用が可能となっています。
とはいえ、やはり、つみたてNISAを始める以前において、つみたてNISAの注意点といったものは、大まかにでも押さえておく必要があります。
そこで本記事では、つみたてNISAを始める前の注意点を9つの項目に細かく分けて、それぞれの注意点について解説を進めていきます。
1. つみたてNISAをやるときに知っておくべき9つの注意点
つみたてNISAを始める前の注意点は、次項から後述する10の項目となりますが、重要なものから、大まかに押さえておく程度のものまで幅広く解説を進めていきます。
なお、注意点の重要度合いは、個人差が生じるところであるとも考えられますので、それぞれの項目について注意を払いながら読み進めていただければと思います。
つみたてNISAは、元本保証がされているものではない
つみたてNISAは、投資信託やETF(上場投資信託)を活用した資産運用にあたるため、原則として、投資した元本が保証されているものではありません。
そのため、時として元本割れが生じることから、投資したお金よりも受け取るお金が少なくなってしまうことがあります。
つみたてNISAを始めるには、年齢制限やNISAとの併用に制限がある
つみたてNISAを始めるためには、銀行、証券会社、インターネット証券会社といった金融機関で、つみたてNISAを始めるための口座を開設しなければなりません。
この時、開設するつみたてNISA口座は、1人1口座に限られているほか、つみたてNISAの口座を開設する年の1月1日現在において、年齢が20歳以上でなければならないといった年齢制限が設けられているため注意が必要です。
たとえば、平成30年2月に初めてつみたてNISAの口座を開設するのであれば、平成30年1月1日時点で20歳以上であるといったイメージです。
また、つみたてNISAとNISAは、どちらも同じ少額投資非課税制度であることから、どちらもの制度も活用できるのではなく、どちらか一方を選択して利用しなければなりません。
つみたてNISAで投資できる銘柄(商品)が限られている
つみたてNISAは、投資信託やETF(上場投資信託)を活用して資産運用をすることになりますが、この投資信託の銘柄(商品)は、金融庁によって指定されており、選べる数が限られています。
出典:金融庁 つみたてNISA対象商品の概要について(2018年1月12日時点)より
平成30年1月12日時点において、つみたてNISAで資産運用をすることが投資信託の数は135本、ETF(上場投資信託)は、3本で合わせて138本から銘柄(商品)を選ばなければならないため注意が必要です。
なお、つみたてNISAを始める時に、つみたてNISAの口座を金融機関で開設しなければならないことは、すでに解説させていただいた通りですが、すべての金融機関において、前述した138本の銘柄(商品)を取り扱っているわけではありません。
つまり、金融機関によって、つみたてNISAで資産運用をすることができる銘柄(商品)の数がそれぞれ異なっているため、つみたてNISAの口座を開設するための金融機関選びを適当に行うことは、確実に避けなければならないことになります。
つみたてNISAは、手数料が差し引かれる
つみたてNISAは、投資信託やETF(上場投資信託)といった金融商品を活用した資産運用になりますが、これらの金融商品で資産運用をする場合、「手数料」が投資した元金から差し引かれる点に注意が必要です。
特に、つみたてNISAの投資信託などで注意が必要な手数料には「信託報酬(運用管理費用)」があげられます。
信託報酬(運用管理費用)とは、投資信託を保有している金額に応じて支払う手数料のことをいい、つみたてNISAで資産運用をしている間(投資信託を保有している間)は継続的に支払う必要があります。
信託報酬は、直接支払う手数料なのではなく、保有している資産から間接的に差し引かれる手数料にあたるため、目に見えづらく、手数料が徴収されているのを感じにくいデメリットがあるため、つみたてNISAで資産運用をする際の投資信託は、できる限り信託報酬の低いものを選ぶようにするなど、工夫や対策が必要です。
なお、つみたてNISAで資産運用をすることができる投資信託は、それぞれの種類によって信託報酬に上限が設けられている特徴もあります。
参考:金融庁 つみたてNISA対象商品の概要について(2018年1月12日時点)
つみたてNISAは、1年間の投資上限額や非課税期間が決まっている
つみたてNISAは、少額投資非課税制度と呼ばれるだけあって、1年間の投資上限額が決まっており、年間40万円までとなっています。
これを1ヶ月に換算しますと、約33,000円となり、この範囲で投資信託を毎月購入して資産運用を行った場合、20年間という長期間に渡って、儲けた利益に対して税金がかからないといった仕組みになっています。
なお、年間40万円までの投資上限額は、「非課税投資枠」と呼ばれ、税金がかからない20年間を「非課税期間」と呼びます。
つみたてNISAの場合、20年間といった非課税期間の終了時期は、投資した年から数えて20年目の年末までとなっており、たとえば、2018年(平成30年)からつみたてNISAを始めた場合、非課税期間の終了時期は、2037年の12月31日までといったイメージになります。
あくまでも、「つみたてNISAを開始したその日からではない」点に注意が必要です。
つみたてNISAは、一定金額ずつの積立購入のみ可能
通常、投資信託を購入して資産運用を行う場合、いつでも購入することができる「通常買付=スポット購入」や毎月一定の数量を購入する「定量買付」、毎月一定金額ずつ購入する「定額買付=ドルコスト平均法」などの方法から、選ぶことができます。
ただし、つみたてNISAで資産運用する投資信託は、これらすべての方法を選択することができず、購入方法は、毎月一定金額ずつ購入する「定額買付=ドルコスト平均法」に限られるため注意が必要です。
出典:日本証券業協会 積立投資を知るより引用
つみたてNISAは、1年間で活用しなかった非課税投資枠の繰越ができない
つみたてNISAの1年間の非課税投資枠は、「40万円」であることは、すでに解説をさせていただきましたが、1年間を通じて、活用しなかったその年の非課税投資枠を、翌年以降に繰り越すことはできないことになっています。
たとえば、平成30年3月からつみたてNISAを始めて、その月から毎月2万円ずつ資産運用をしているものとした時のイメージを以下へ紹介します。
- 平成30年の総投資金額 2万円×10ヶ月=20万円
- 1年間の非課税投資枠 40万円
- 1年間を通じて活用しなかった非課税投資枠 40万円-20万円=20万円
平成31年は、平成30年に活用しなかった非課税投資枠20万円が上乗せされて60万円にすることはできず、あくまでも、毎年の非課税投資枠は「40万円まで」といった部分に注意が必要です。
損益通算・繰越控除ができない
損益通算とは、利益と損失をプラスマイナスすることで、1年間に得られた純粋な利益や損失を計算することをいいます。
たとえば、平成30年において、A投資信託で30万円の利益が生じ、B投資信託で40万円の損失が生じた場合、損益通算をすることによって、平成30年は10万円の損失が生じたといった見方もすることができます。
しかし、つみたてNISAの場合は、この損益通算が認められておらず、仮に、つみたてNISAの口座で保有している投資信託が値下がりした後に売却するなどして損失が出た場合、そもそも損失がなかったものとしてみなされることになっています。
つまり、B投資信託で生じた40万円の損失は「0円」と見られることになり、平成30年の純粋な利益は30万円といった見方になるわけです。
なお、繰越控除とは、1年間に生じた損失を翌年に繰り越すことをいい、たとえば、平成30年に10万円の損失が生じ、平成31年に30万円の利益を得られた場合、10万円の損失を繰り越して、30万円の利益と相殺し、純粋な利益を20万円とすることができないといったことを意味します。
スイッチングや分配金再投資は「新規買付」となる
ここで言う「スイッチング」とは、保有している投資信託等を売却し、別の投資信託を購入することで入れ替えることをいいます。
つみたてNISAの場合、スイッチングや受け取った分配金が再投資された時、年間40万円までの非課税投資枠を新たに利用することになるため、非課税投資枠に余裕が無い場合は、その年の資産運用ができないことに繋がります。
そのため、1年間を通じて、投資をする資産運用金額と売却金額を考慮した対策が必要になります。
2. つみたてNISAの注意点は、金融機関と銘柄(商品)選びで解決できる
ここまで、つみたてNISAの注意点を9つ解説してきましたが、これらの注意点の内、重要な注意点は、金融機関と銘柄(商品)選びで解決できるものになります。
つみたてNISAを始める目的を大まかに考えてみますと、毎月投資信託を一定金額ずつ購入し続け、最大で20年間の非課税期間を有効に活用しながら、大きな資産を形成するところにあると管理人は考えます。
つまり、つみたてNISAで資産形成をより確実なものにするためには、パフォーマンスの良い投資信託の銘柄(商品)を選ぶことに加え、そのような銘柄(商品)を取り扱っている金融機関でつみたてNISAを始めることで足りるわけです。
たとえば、つみたてNISAは、1ヶ月あたり約33,000円程度まで投資をすることが可能ですが、途中で投資信託を売却して現金化することも踏まえて、ここでは1ヶ月あたり20,000円ずつ20年間、つみたてNISAを始めたものとしてシミュレーションしたものを紹介します。
参考:楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
20年間の投資元金は480万円、概算運用益は約342万円、20年後には、約822万円の資産が形成されるだろうといったシミュレーション結果になります。
言うまでもなく、つみたてNISAを始める際に選んだ銘柄(商品)によって、期待できるリターンが変わることになるほか、投資した国や企業などにおける今後の情勢によって大きく変化することになりますが、大きく資産形成が成せる可能性を「現実的」に含んでいるのが、つみたてNISAの大きな魅力といえるでしょう。
20年間の資産運用において、途中で投資信託を売却して現金化する予定がある場合などは、投資する金額をよく考慮して計画的に行うことが大きなポイントです。
3. まとめ ~つみたてNISAの注意点を解説。始める前に気をつけて欲しいこと~
本記事では、つみたてNISAを始める前の注意点を9つの項目に細かく分けて、それぞれの注意点について解説を進めさせていただきました。
おそらく多くの方は、将来や万が一の事態などに備えて貯蓄をしていることと思いますが、貯蓄をしながら、余裕資金の一部をつみたてNISAへ回すことによって、これまで以上に効率的な資産形成が成されることになると考えられます。
いわば、つみたてNISAは、「お金を貯めながら増やせる」制度だということです。
つみたてNISAは、1ヶ月に投資をすることができる金額が少額であることから、資産運用やお金の活用方法1つで、誰でもお金を増やせる仕組みであるほか、何よりも多くの方が取り組みやすい制度であることから、非常に魅力的な制度だと考えられます。
また、つみたてNISAは、人生三大資金と呼ばれる「住宅資金」「教育資金」「老後資金」といったものを貯めながら用意することもできますので、これらの資金が必要な方にとっては、お金を貯めながら増やす「つみたてNISA」は、非常に有効な資産形成方法となるでしょう。
最後に、つみたてNISAで積立投資ををスタートするためには、金融機関で専用口座を開設する必要があります。
以下のページで「どの会社で口座開設をして、つみたてNISAをスタートすべきか?」を解説していますので、ぜひ、こちらも呼んでくださいね!
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