つみたてNISAは、金融庁が指定している投資信託やETFといった金融商品を毎月積立しながら資産運用をするのが原則的な方法になります。
一方で、会社員や公務員といった職業に就かれている方の中には、1年に夏季や冬季のボーナス支給があると思いますが、つみたてNISAでは、このようなボーナスを受け取る月に、あらかじめ設定した金額を上乗せで資産運用をすることも可能となっています。
また、つみたてNISAでは、1年間で投資をすることができる投資上限が設けられており、フルに上限枠を活用するためには、本記事で解説する増額方法がどのようなものであるのかについて知っておく必要があります。
つみたてNISAを始める金融機関によっても増額方法に違いが設けられていることもあるため、この辺も含めて、つみたてNISAの増額について、その方法を知っていきましょう。
1. 年間投資上限の40万円までなら月々の投資額を増額することはできる
つみたてNISAは、1年間に40万円以内といった投資上限が設けられており、この範囲内であれば、月々の投資額を増額することは可能です。
ただし、実際に、つみたてNISAを始める金融機関によって、毎日、毎週、毎月などといった投資の仕方に違いがあるほか、投資の仕方によってそれぞれ投資上限額が設けられている特徴もあるため注意が必要です。
参考情報として、SBI証券の場合は、以下の通りとなっています。
- 毎日コース:40万円÷247日=1,619円
- 毎週コース:40万円÷52週=7,692円
- 毎月コース:40万円÷12月=33,333円
つみたてNISAは、スポット購入をすることができないので要注意!
つみたてNISAは、前項で紹介したような投資の仕方をご自身が選ぶ形となりますが、買いたい時に買うといった「スポット購入」は、認められておりません。
併せて、つみたてNISAでは、ご自身が指定した一定金額の投資信託もしくはETFを購入して資産運用を行うことになるため、ご自身が指定した一定量を購入するといった「定量購入」も認められていない点も注意が必要です。
2. 年2回までは増額月を設定することもできる
つみたてNISAの増額設定は、あくまでも金融機関が取り扱っている方法に準じる必要があることは言うまでもありませんが、金融機関によっては、1年に2回まで増額月を設定することが可能です。
そのため、これによって、夏季や冬季のボーナス時期に合わせて投資額を増やすこともできるわけです。
つみたてNISAでは、毎月設定することによって、1年間で40万円といった投資枠をすべてフルに活用することはできませんが、ボーナスを含めて増額月を賢く設定することで、ピッタリ40万円の投資をすることが可能となります。
具体的なイメージは、以下の通りです。
出典 ゆうちょ銀行 つみたてNISAとは?より引用
増額月を設定できない証券会社もあるので要注意
前項では、つみたてNISAの増額について、あくまでも金融機関が取り扱っている方法に準じる必要があることをお伝えさせていただきましたが、金融機関によっては、そもそも増額月を設定できないところもあります。
金融機関名 | 増額月 | 投資方法 | ||
---|---|---|---|---|
毎日コース | 毎週コース | 毎月コース | ||
SBI証券 | ○ | ○ | ○ | ○ |
楽天証券 | ○ | ○ | × | ○ |
マネックス証券 | ○ | ー | ー | ○ |
カブドットコム証券 | ー | ー | ー | ー |
松井証券 | × | × | × | ○ |
野村證券 | ○ | × | × | ○ |
大和証券 | ○ | × | × | ○ |
三菱東京UFJ銀行 | ○ | × | × | ○ |
みずほ銀行 | ○ | × | × | ○ |
三井住友銀行 | ○ | × | × | ○ |
ゆうちょ銀行 | ○ | × | × | ○ |
上記表から見て特徴的なものとして、カブドットコム証券では、そもそもつみたてNISAを取り扱っていないため、カブドットコム証券でNISA口座を開設したとしても、つみたてNISAは行えないことが確認できます。
また、つみたてNISAは、原則的な投資方法が「毎月投資」であるため、毎日や毎週といった柔軟性に優れている証券会社がSBI証券くらいしかないことも確認できます。
人によって、つみたてNISAの増額に対する考え方は異なるところではありますが、つみたてNISAの資産運用期間は、最長で20年であることを踏まえますと、いつ、どのような形で投資の仕方や考え方が変わるのかはわかりません。
しかしながら、これらの考え方が変わったとしても、柔軟に対応することができる金融機関が、SBI証券か楽天証券であることを鑑みますと、2社のいずれかで、NISA口座を開設して、つみたてNISAを始めるのが面倒ではなく得策だと考えられそうです。
ちなみに、NISA口座は、1人1口座までの開設と決まっていることから、複数の金融機関で開設することはできないため、初めの金融機関選びが大切になることも押さえておかなければならないポイントです。
3. つみたてNISAで投資上限額まで投資をするとどのくらい資産形成ができるのか
つみたてNISAで増額を活用したシミュレーションは、次項で紹介させていただくものとして、まずは、つみたてNISAを始めることで、どの程度のお金を用意することができるのかまとめてみました。
投資額(月) | 投資総額 | 利回り3% | 投資額との差 | 利回り5% | 投資額との差 |
---|---|---|---|---|---|
10,000円(1) | 2,400,000円 | 3,283,020円 | 883,020円 | 4,110,337円 | 3,227,317円 |
33,333円(2) | 7,999,920円 | 10,943,291円 | 2,943,371円 | 13,700,985円 | 10,757,614円 |
差額(2-1) | 5,599,920円 | 7,660,271円 | 2,060,351円 | 9,590,648円 | 7,530,297円 |
上記表は、つみたてNISAを毎月10,000円ずつ20年間、資産運用した場合と毎月の上限額にあたる33,333円(金融機関によって異なる)ずつ20年間、資産運用した場合に形成される金額をまとめたものになります。
なお、利回り3%は、ローリスク・ローリターン、5%は、ミドルリスク・ミドルリターンと置き換えると、よりイメージがわきやすいでしょう。
毎月の積立金額が、わずか23,000円程度の差で、20年後に受け取ることができるお金には、約766万円から約959万円といった多額の差が生じていることが確認できます。
この理由は、毎月の積立投資元金にプラスして得た運用益をさらに投資元金として再投資する「複利効果」が大きく働いているためであり、20年間という長い期間を賢く活用することによって、お金の増え方に大きな影響を与えているためです。
そのため、つみたてNISAで資産運用をするにあたり、可能であれば、投資上限額近くまで積立することが望ましいのは確かです。
補足 つみたてNISAを始める時は、投資目的を明確に
つみたてNISAは、20年間という長い期間をかけて資産運用をすることになりますが、なぜ、つみたてNISAを始めるのか、何のためにつみたてNISAを始めるのか、といった投資目的を明確に持つようにして下さい。
たとえば、子どもの将来の教育資金のために800万円を準備する、老後資金のために2,000万円準備するといったイメージです。
投資目的が明確に定まっていることで、毎月の積立金額や目標金額を達成するための利回りが自ずと決まることになりますので、その通り、資産運用をすることで、よりつみたてNISAで将来のお金を準備しやすくなるわけです。
参考までに、国公立の大学へ4年間通わせる学費として、800万円をつみたてNISAで準備するといった投資目的を持ったと仮定した場合のイメージをいくつか紹介しておきます。
参考 楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
できる限りリスクを取らないで、より確実に安定してお金を準備したいといった方向けの資産運用となり、ローリスク・ローリターンで1ヶ月あたり約24,368円ずつ積立することで、20年後に800万円を用意することができるという試算結果になりました。
参考 楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
こちらは、少々リスクを取っても良いので、できる限り、1ヶ月あたりの積立金額を少なく抑えたいと考えている方向けの資産運用方法となり、ミドルリスク・ミドルリターンになります。
1ヶ月あたり20,000円を下回る程度のお金を積立することで、20年後には800万円を準備することができ、ご自身の資産運用の仕方や考え方1つで自由に変えられます。
このように、投資目的が明確に定まっていることで、毎月の積立金額や目標金額を達成するための利回りが自ずと決まることになりますので、その通り、資産運用をすることで、よりつみたてNISAで将来のお金を準備しやすくなることがわかります。
4. つみたてNISAで増額を賢く使った場合と使わない場合の違いを検証
つみたてNISAは、1年間の投資上限額が40万円であることをすでに解説させていただきましたが、毎月一定金額ずつ積立投資を行いますと、年間40万円までの投資枠をフル活用することはできません。
そのため、投資枠をフルに活用するためには、増額できる分を賢く設定して利用することが不可欠になります。
とはいえ、実際に、つみたてNISAの投資枠をフルに活用した場合とフルに活用しなかった場合において、どの程度の差が生じるのかわからなければ判断がつかないといった方も多いのではないでしょうか?
そこで本項では、以下に紹介したイメージ図にある「例1」「例2」「例3」を、つみたてNISAで資産運用が可能な20年間、継続して行ったものとして最終的な概算資産形成金額をシミュレーションし紹介していきます。
出典 ゆうちょ銀行 つみたてNISAとは?より引用
シミュレーション内容
比較内容 | 例1 | 例2 | 例3 |
---|---|---|---|
1ヶ月の積立金額 | 33,000円 | 30,000円 | 10,000円 |
ボーナス増額分(年2回) | - | 1回あたり20,000円 | 1回あたり140,000円 |
年間投資金額 | 396,000円 | 400,000円 | 400,000円 |
投資期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |
投資利回り | 3% | 3% | 3% |
概算シミュレーション結果
比較内容 | 例1 | 例2 | 例3 |
---|---|---|---|
20年間の概算資産形成金額 | 10,726,567円 | 10,888,282円 | 10,635,552円 |
差額(2-α) | ▲161,715 | - | ▲252,730円 |
概算シミュレーションの結果、今回の場合は、例②の資産運用方法が最も大きな効果が得られることがわかりました。
5. つみたてNISAは、無理をしない資産運用が重要
先のシミュレーション結果では、ボーナスなどを活用したつみたてNISAの増額を賢く活用することで多くの資産形成ができることを確認できましたが、20年間という長い期間で考えた時、極端に大きな差額が生じていないと見ることもできます。
つみたてNISAのように、長期の資産運用をすることによって、まとまった資産形成をより確実にするためには、「多くの金額を継続して積立投資する」ことが最も重要です。
そのため、無理に増額分を活用した資産運用をするのではなく、長い期間、継続してつみたてNISAをできる金額に設定し、可能であれば増額分も賢く活用するといった鉄則を最優先に考えるように心掛けて下さい。
6. まとめ
本記事では、つみたてNISAの投資額を増額する方法についての解説をはじめ、実際に増額した場合の効果などについても、比較シミュレーションを紹介しながらわかりやすく解説させていただきました。
つみたてNISAで、できる限り多くのお金を準備できることは確かに良いことではありますが、大切なことは、投資目的や投資目標金額を明確に決めて、長い時間をかけて継続して資産運用を行うことです。
このルールをしっかりと守ることができれば、誰でも簡単につみたてNISAで大きなお金を準備することができるのです。
ボーナスなどを活用した増額は、1年間の投資枠をフルに活用したい方が行うべきものであり、無理に増額するものではありませんので、あくまでもご自身の懐具合や投資目的などと相談しながら行うように心掛けて下さい。
もちろん、年の途中で増額変更することも可能ですので、実際に増額変更をする時は、翌年の投資枠を超えないかどうかに注意しながら行う必要もありますので、この辺に注意しながら増額を賢く活用したいものです。
シンプルイズベストといった言葉がありますように、増額の注意点などを気にしないで、わかりやすくつみたてNISAを活用したい場合は、年間の投資上限額近くまで毎月積立設定するのが、最もわかりやすく、かつ、20年後に大きなお金を準備できることは確かです。
最後に、つみたてNISAで積立投資ををスタートするためには、金融機関で専用口座を開設する必要があります。
以下のページで「どの会社で口座開設をして、つみたてNISAをスタートすべきか?」を解説していますので、ぜひ、こちらも呼んでくださいね!
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