積立投資を相続する方法を解説。相続税がかかるかどうかの判定方法も紹介

「相続」とは、亡くなった故人の財産を配偶者や子どもなど「法定相続人」と呼ばれる者などが引き継ぐことを言います。

仮に、亡くなった故人が生前から積立投資を行っていた場合、故人が保有していた投資信託は「有価証券」にあたり、法定相続人などが遺産相続する財産の対象となります。

通常、相続の問題とは、民法で規定されている相続の問題から相続税法で規定されている相続税の問題まで実に様々であり、中々、一筋縄ではいかないのが現実です。

本記事では、生前の故人が積立投資を行っていたものと仮定し、積立投資で保有していた投資信託における相続および相続税の取り扱いにおける基本的な部分について幅広く解説を進めていきます。

なお、本記事の解説にあたり相続の特殊な事情はないものとし、法定相続人のみが故人の財産を引き継ぐものとしますので、あらかじめご留意下さい。

1. 投資信託を相続する際の問題には具体的にどのようなものがあるのか

冒頭でも軽く触れましたように、積立投資で購入した故人の投資信託は、遺産相続の対象になりますが、この時、主な問題となるのは、「誰が投資信託をどのくらい相続するのか」「投資信託の価値はどのくらいあるのか」「相続税は発生するのか」「投資信託を相続するための手続きの流れはどのようになるのか」などがあげられます。

これらの問題について、次項から個別に解説を進めていきます。

誰が投資信託をどのくらい相続するのか

はじめに、相続の大前提についてお伝えしておきます。

故人の財産(遺産)は、原則として法定相続人の間で話し合いを進め、引き継ぐ財産や割合を自由に決めて問題がありません。

そのため、たとえば、父親の財産はすべて母親が相続することも可能ですし、父親が残した現金や預金は母親が相続し、投資信託は子どもが相続するといったことも、法定相続人同士で自由に決めてよいわけです。

あくまでも重要なことは、「法定相続人の間で相続による話し合いがまとまっている」ということが重要なのです。

もしも、法定相続人の間で遺産相続の問題が上手くまとまらない場合などは、家庭裁判所や弁護士などの専門家を通じて、民法で定められている「法定相続分」で相続することが一般的です。

投資信託の価値はどのくらいあるのか

故人の財産を相続する際、それぞれの「財産の価値」というものを算定しなければなりませんが、現金や預金は目に見えてその価値が把握できる一方、投資信託の場合は一目で価値を判定することはできません。

そこで、国税庁では、「財産評価基本通達」といった全国共通のルールを設けて、相続で引き継いだ財産の価値についての評価方法を定めております。

実務上、相続で取得した投資信託の場合における財産の評価は、引き継いだ投資信託の種類によって評価方法が異なっており、「課税時期の買い取り価格」や「中途換金価格」といった価格を専門的な判断を経て評価計算される仕組みとなっています。

非常に専門的な内容であるため、本記事では、その内容について掲載を致しませんが、興味のある方は、国税庁のホームページ「第2節 公社債(証券投資信託受益証券の評価)」より内容を確認されてみることをおすすめ致します。

なお、こちらは余談となりますが、上場株式を相続で引き継いだ場合などは、上場株式の財産評価の方法が別に定められておりますので注意が必要です。

相続税は発生するのか

相続税が発生するのかといった「大まか」な判定は、誰にでも簡単にでき、具体的には、「相続税基礎控除額」を求めることで可能となります。

相続税基礎控除額 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

たとえば、夫・妻・子ども3人の5人家族で、夫が亡くなってしまった場合、法定相続人は、配偶者である妻と3人の子どもになりますので4人となります。

これを上記の計算式にあてはめると5,400万円となります。

3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円

この計算の結果より、亡くなった夫の遺産総額が5,400万円以下であれば相続税はかからないといった判断ができ、大まかに相続税がかかる、かからないといったことを確認することが可能です。

なお、計算式からお分かりの通り、法定相続人の数によって相続税基礎控除額が異なることから、少なくとも法定相続人の数が何人なのか確認して計算式にあてはめて考えなければ、相続税がかかるのか、かからないのかについて判定することができないことも留意しておきたいポイントです。

投資信託を相続するための手続きの流れはどのようになるのか

亡くなった故人が保有していた投資信託を相続するためには、亡くなった故人が口座開設していた証券会社や銀行等に対して口座閉鎖の手続きの申し出をする必要があります。

本項では口座閉鎖手続きの一例として、セゾン投信のよくあるご質問を参考に解説を進めていきます。

投資信託を相続するための手続きの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 被相続人(亡くなった方)が口座を持っている銀行or証券会社に連絡を入れる
  2. 手続きに必要な書類を送付してもらう
  3. 必要書類を準備して返送する
  4. 返信書類を確認後、相続人口座へ移管手続きをする
  5. 移管手続き完了の連絡が入る(終了)

参考 セゾン投信 よくあるご質問 口座開設名義人が亡くなりました。相続手続きについて教えてください

以下、それぞれの流れについて個別に解説を進めていきます。

被相続人(亡くなった方)が口座を持っている銀行or証券会社に連絡を入れる

はじめに、被相続人(亡くなった方)が投資信託の口座を持っている銀行もしくは証券会社に連絡を入れます。

ただし、生前に故人が投資信託を含めた金融商品の売買を行っていたかどうかが分からない場合も十分に考えられ、このような時、相続人の立場としては、ATMで出金する際に使うカードや通帳の明細のほか、ネット銀行やネット証券から郵送される書類などから取引がある可能性を探知して問い合わせをする必要があります。

特に、ネット銀行やネット証券を利用している場合は、証券等の現物が手元になく、形に残りにくい場合が多いことから、万が一の事情も考慮して、あらかじめ配偶者や家族などに取引がある旨を話しておくことが望ましいと思われます。

なお、相続人より銀行や証券会社などに連絡を入れた時点で故人の口座は一時的に凍結されることになります。

手続きに必要な書類を送付してもらう

投資信託など金融商品を故人が保有していることが確認できましたら、手続きに必要な資料等を送付してもらう問い合わせをします。

これによって後日、手続きに必要な書類が郵送で送られてくる流れとなります。

必要書類を準備して返送する

必要書類には、「証明書類」と「会社所定の相続手続き書類」といったものがありますが、具体的には以下の表に沿って該当する書類を事前に準備しておくことが望ましいでしょう。

出典 セゾン投信 よくあるご質問 口座開設名義人が亡くなりました。相続手続きについて教えてくださいより引用

上記表から、まずは自分たちが「遺言書がある場合」「遺産分割協議書がある場合」「遺言書・遺産分割協議書がない場合」といった3つの内、どれに該当するかを確認します。

先に解説しましたように、遺産相続は法定相続人の間で話し合いによってまとまっていれば、その通りにそれぞれの相続人が故人の財産を相続して差し支えありませんが、通常、このような場合は、後々の遺産相続トラブルを防止するために、遺産分割協議書を作成して書面に残し、相続人それぞれが署名・捺印して1部ずつ所有しておくのが一般的です。

遺産分割協議書には、定まった様式が存在しませんので、どのような書式であったとしても効力があるほか、相続人それぞれが「実印」で捺印するところが大きなポイントになります。

あらかじめ誰が相続をするのか確定させ、遺産分割協議書が作成された後に手続きを取ることを強くおすすめ致します。

返信書類を確認後、相続人口座へ移管手続きをする

返信書類に不備がないかを確認され、問題がない場合には、亡くなった方の口座残高(投資信託、現金)を相続人の口座に移管される流れとなります。

この移管の手続きは、通常5日~2週間を要することになるようですが、ここの部分まで進むということは、私たちが行う実質的な手続きが終わっていると考えて差し支えないでしょう。

移管手続き完了の連絡が入る(終了)

移管が完了しますと、亡くなった故人の口座は閉鎖されることになります。

また、相続人の口座で投資信託の解約(売付)が可能となるほか、希望に応じて投資信託の買付や定期積立プランの契約も可能となります。

参考 故人の財産に勝手に手を付けたら取り返しのつかない代償がある場合も

こちらは参考解説となりますが、仮に、故人が生前から積立投資をやっていることを知っており、故人が亡くなったことがきっかけで、故人が保有していた投資信託を勝手に売却したりすることは、相続における「単純承認」とみなされます。

単純承認とは、故人のプラスの財産もマイナスの財産もどちらも引き継ぐといった相続方法のことを指し、単純承認とみなされた場合、原則として撤回することはできません。

仮に、単純承認で相続をした場合、後から故人の莫大な借金が発覚したとしても、その借金を問答無用で引き継がなければならないことを意味します。

相続の方法には、大きく「単純承認」「限定承認」「相続放棄」といった3つの方法があるのですが、故人の財産状況が確定する前に故人の財産に手を付けてしまうことは、このような取り返しのつかない代償が生じる場合もありますので、安易な考えは厳禁です。

また、限定承認や相続放棄といった手続きを取るためには、故人が亡くなってから「3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申述しなければならない」といった法律上の決まりがあります。

この手続きを行わなかった場合に関しましても、故人の財産を単純承認したものとみなされますので、分からなかったでは済まされないことであるため、このような自分を守る知識はしっかりと身に付けておきたいものです。

2. 相続の相談および手続きは、専門家に依頼するのが確実!

これまでの解説を読み進めてきた中で、相続の様々な手続きって面倒で難しいと感じられた皆さまもおそらく多いと思います。

しかしながら、この感じ方はある意味とても正しい感じ方であり、相続における手続きはできる限り専門家に依頼することが望ましいです。

たとえば、民法で規定されている相続につきましては、弁護士、司法書士、行政書士などが専門家として適任だと考えられ、相続税につきましては、税理士が適任です。

先に紹介しました相続税基礎控除額のような計算から、相続税がかからないと確実に判断できるのであれば、民法で規定している相続について弁護士、司法書士、行政書士などに相談し、適宜、必要な手続きを取るべきでしょう。

また、お金の専門家にあたる独立系FP(ファイナンシャルプランナー)も相続の相談には、適していると考えることができ、各々の世帯状況と相続全体を考慮した時に相談するべき内容や専門家へのつなぎ役としてスムーズに事が進むメリットも得られます。

専門家へ依頼するということは、当然に相談報酬などの費用がかかることに繋がりますが、後先の結果を考慮しますと、やはり専門家に一任して手続きをする選択肢が最も無難と考えられます。

3. まとめ

本記事では、故人が積立投資で保有していた投資信託を相続する方法のほか、相続税がかかるかどうかの判定方法についてなど、幅広く解説を進めさせていただきました。

仮に、故人の投資信託を相続する場合におきましては、「遺言書がある場合」「遺産分割協議書がある場合」「遺言書・遺産分割協議書がない場合」といったどの状況下であったとしても、故人の出生から死亡までの戸籍を調べて必要な謄本を取得しなければなりません。

故人が、度重なる転勤による引っ越しや激動の人生を送った方であれば、時として戸籍の必要書類が思ったように取得することができず、非常に手間と時間と負担が大きくかかってしまう場合も十分予測することができます。

相続につきましては、細かなルールもたくさんありますので、できる限り専門家へ任せることをおすすめ致しますが、どうしても自分自身で手続きを進めたいという場合は、役所や税務署をはじめ、家庭裁判所や法務局など関係のある機関に問い合わせて1つひとつ確実にこなしていくことが求められるでしょう。

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