積立投資で資産運用をするにあたり、低リスクで安定した運用益を獲得したいと考えている方も多いと思いますが、このような考えをお持ちの方に重宝されるファンド(投資信託)として「債券型ファンド」があります。
債券型ファンドとは、購入した投資信託に株式を組み入れないファンドのことを言います。
一般に株式は、ハイリスク・ハイリターンと呼ばれることから、債券型ファンドのように投資信託に株式を組み入れないファンドは、大きなリスクを取りたくないと考えている方にとって向きの投資信託と考えることもできます。
本記事では、積立投資における債券型ファンドに焦点をあてて、どのような特徴があるのか基本的な部分から応用部分まで分かりやすく解説を進めていきます。
1. そもそも債券って何?
債券型ファンドの内、そもそも「債券」について、どのようなものなのか知らなければ、本記事の解説を理解しながら読み進めていくことはできません。
そもそも債券とは、国や企業などがお金を借りるときに発行する借用証書のようなもので、実に多くの種類が存在するほか、それぞれのリスクが異なっている特徴があります。
債券の一例として、例えば、発行体が国であれば国債、企業であれば社債(事業債)と呼ばれるほか、国内や海外といった国の違いもあります。
債券は、原則としてあらかじめ金利や満期日が定められており、投資家に決まった利息が定期的に支払われるほか、満期日には元本が償還される大きな特徴があるため、あらかじめ定められている金利分が運用益になるといったメリットがあります。
つまり、満期まで債券を保有することで、ほぼ損をすることなく利益を得られることから、株式型ファンドのリスク回避策としても利用されることがあります。
一方、債券のリスクには、国や企業といった債券の発行体が破たんした場合に利息の支払いや元本の償還が不能となってしまう可能性があることがあげられます。
債券の中でも国債や先進国が元本を保証する債券は、一般的に安全性が高いとされますが、財務内容があまり良くない社債などでは、ハイリスク・ハイリターンといった関係性があるため、一概に債券だからといって安心と考えるのは大変危険です。
また、日本国内債券以外の債券価格は、為替変動によって日々変動しており、債券を満期前に売却するときは値動きによって売却益が出たり、売却損が出たりする為替の影響が大きく生じることになります。
なお、債券の値動きは金利と逆の動きをするのが特徴であり、通常、金利が下がれば債券価格は上がり、金利が上がれば債券価格は下がる傾向があります。
2. 債券ファンドは株式ファンドと比べて低リスク・低リターンである
債券型ファンドと株式型ファンドの違いは、「株式が含まれているか、含まれていないか」による違いとなります。
通常、債券と株式のリスクとリターンの大きさについては、以下のように示されます。
国内債券(小) → 外国債券 → 国内株式 → 外国株式(大)
上記の関係性の通り、債券ファンドは株式ファンドに比べて低リスク・低リターンであることが分かります。以下、債券型ファンドと株式型ファンドのメリットおよびデメリットを簡単にまとめて紹介します。
債券型ファンドのメリット
- 元本本割れのリスクが小さい(ほとんど損をしない)
- 値動きが小さいため、長期的に安定して運用することが可能
債券ファンドのデメリット
- 短期的に利益を上げることは期待できない
- 外国債券の場合、為替変動リスクの影響を受けやすくなる
株式型ファンドのメリット
- 株価が上昇すると大きな利益を期待することができる
- 債券型ファンドに比べて種類が豊富であることから、投資目的に沿ったファンドを選べる
株式型ファンドのデメリット
- 元本割れのリスクが大きく損をしてしまう場合もある
- 値動きが大きいため、債券型に比べて安定性が低い
大まかな解説だけに目を通しますと、債券型ファンドの方が株式型ファンドよりも良い印象を受けてしまいそうですが、大切なことは、年齢や現在の状況を踏まえた「バランスの良い投資」になります。
こちらにつきましては、「4.あなたの目標を狙えるポートフォリオを組もう!」で詳しく解説を続けていきます。
債券ファンドが抱える3つのリスク
債券型ファンドが、株式型ファンドに比べてローリスク・ローリターンであることがご理解できたと思いますが、ファンドである以上、債券型ファンドも時に元本割れをしてしまう可能性や期待収益を得られないといったリスクが生じてしまうことがあります。
この原因として、主に金利リスク」「信用リスク」「早期償還リスク」の3つがあげられますが、本項ではこれら3つのリスクについて解説を進めていきます。
金利変動リスクについて
債券型ファンドが抱えるリスクの1つ目は、「金利変動リスク」になります。
通常、市場の金利が上昇すると債券の価格は下落します。
仮に、そのようになったとしますと、債券ファンドの基準価額もその影響を受けて下落します。
国債、社債、金融債、外債など全てのタイプの債券は金利リスクにさらされていますが、一般に、長期保有の債券の方が短期保有の債券よりも金利変動の影響を強く受けます。
信用リスクについて
債券型ファンドが抱えるリスクの2つ目は、「信用リスク」になります。
仮に、債券を発行した会社が倒産するなどして、発行した債券に対して債務不履行(デフォルト)に陥ってしまいますと、元本が返済されない損失を被ることになり、これを信用リスクと言います。
ファンドが組み入れている債券が債務不履行になれば、ファンドの基準価額は影響を受けて下落します。
新興国企業、発展途上国の企業、負債の大きな企業の発行した債券、あるいは発展途上国の国債など、格付けの低い債券に投資するファンドでは、ハイリスク・ハイリターンの関係性が成立することから、基本的に信用リスクが高くなります。
早期償還リスクについて
債券型ファンドが抱えるリスクの3つ目は、「早期償還リスク」になります。
早期償還リスクとは、債券の発行者が、あらかじめ決めていた償還期日より前に元本を返済することをいい、これに伴って、元々得られると予測していた収益が得られなくなってしまうリスクのことを言います。
これは、主に米国のモーゲージ担保証券やアセットバック証券を組み入れるファンドに見られるリスクです。
3. 国内債券ファンドと外国債券ファンドの違い
国内債券ファンドとは、「日本債券型投資信託」とも呼ばれ、最もリスクが低く、かつ、先進国で為替リスクも生じない特徴があります。
国内債券ファンドに投じていれば、少なからず確実に儲かるとお考えの方もおられるかもしれませんが、残念ながら、こちらは「大間違い」です。
多くの皆さまがご存知の通り、日本銀行は2016年2月(平成28年2月)にマイナス金利政策を施行したことによって国内債券ファンドは、満期まで保有し続けた場合でも運用損が生じるといった最悪の事態に見回れることになったのは記憶に新しいところです。
一昔前は、「国内債券ファンドは間違いない」といった、いわゆる「固定観念」がしっかりと根付いていた印象を受けますが、現在におきましては、その考えを持ってしまうことは、自己の資産をマイナスにしてしまう大きな要因になってしまう懸念は払拭できないでしょう。
一方、外国債券ファンドとは、先進国の債券に投資する「先進国債券型投資信託」や「新興国債券型投資信託」などのことを言います。
国内債券ファンドは、外国債券ファンドと比べて低リスク・低リターンで、外国債券ファンドは、国内債券ファンドに比べると高リスク・高リターンといった考えが、現在におきましては大変危険で、むしろ、運用益をあげるためには、為替変動を利用した外国債券ファンドでなければ難しいのが現状です。
国内債券ファンドは、最終的な利回りと信託報酬などを差し引いた差額合計が「マイナス」である商品が多くなっており、この辺を、投資信託購入前にしっかりと見極める対策が必須です。
外国債券型投資信託は、株ほど値が上下せず、国内債券タイプより大きなリターンを狙いたい人に向いている投資信託です。
外国と一口に言っても、「先進国」や「新興国」のようにリスクの幅が国や地域によってかなりちがうため、分散投資を念頭において、自分の投資スタイルに合った商品を選ぶのがポイントになります。
外国債券型投資信託で実際に高いリターンが得られる可能性があるものとしては、ソブリン債(各国の政府、政府機関発行の債券)、エマージング債(新興国の政府、政府機関および企業が発行する債券)ロシアを含む東欧諸国、中南米諸国、東南アジアの諸国、アフリカ諸国、中国、インドなどが一例としてあげられます。
参考 積立投資では国内債券ファンドにも投資を!国内債券ファンドのメリット・デメリットを解説
なお、こちらは基本的な注意点として解説を付しておきますが、海外債券への投資は、原則として「外貨建て」となるため、為替リスクが発生することになります。
つまり、投資した通貨が円に対して上がれば為替差益が生じることになるため問題がありませんが、逆に下がれば為替差損が生じることになるため、運用損が発生してしまう可能性があります。
これを防止するための「為替ヘッジ型」も投資信託の商品としてありますが、コストが高いため、最終的な利回りや信託報酬などのコストを加味することに加え、為替ヘッジにかかるコストも考慮する必要性があるといった注意点も、ぜひ、知っておきたいものです。
4. あなたの目標を狙えるアセットアロケーションを考えよう!
最後に、債券ファンドにどうやって投資をして運用益を上げるべきなのか?といった「資産分散」を意識したアセットアロケーションを考えることが最も大事なのは確かです。
アセットアロケーションとは、実際に投資する資金をどのような資産配分で投資していくのかといった投資戦略のことを言います。
そして、実際にアセットアロケーションを考え、確定した資産配分のことを「ポートフォリオ」と言います。
積立投資で安定した運用益を上げ続けていくためには、あらかじめ決めた投資目標を達成するためのポートフォリオを継続的に維持し、基本的に国内・海外の債券・株式にバランス良く投資をすることで安定した資産運用をすることが可能となります。
管理人としては、年齢や置かれている状況によってアセットアロケーションを変えていくことが重要であると考えており、たとえば、20~30代であれば、株式型ファンドに投資をすることで高めのリスク・リターンを取りつつ資産運用を行う投資をしても良いと考えています。
これは、長期で考えれば、統計上、債券よりも株式の方が良いパフォーマンスを発揮しているためです。
逆に40代~60代については、これまで構築した資産を減らさないことに重点を置き、株式ではなく債券に対して、多めに投資をすることをオススメします。
自分がどれくらいの期間投資をするのか?また、目標としている金額はいくらなのか?を考えて、アセットアロケーションを組むことが、安定かつ理想としている運用益を上げ続けるための大きな肝となることは確かです。
手数料ができるだけ安い債券ファンドを選ぼう
当初設定したポートフォリオのバランスを考え、安定した運用益を上げ続けていくためのファンドを選ぶ際には「ファンドにかかる各種手数料(コスト)ができるだけ安いファンドを選ぶ」ということが鉄則になります。
債券ファンドが、これからどのような価額変動をするかは誰も予測することはできません。しかし、ファンドにかかる各種手数料(コスト)は、運用損益のいかんに関わらず必ず発生するものであることを踏まえますと、当初から負担することが分かっている手数料を少しでも抑えることで、結果として投資信託で得たお金を減らさなくて済む結果に繋がります。
一例として、積立投資を行う場合におかれましては、販売手数料が無料(=ノーロード)の投資信託を選ぶのが基本になります。
この理由は、毎月、投資信託を購入する都度、手数料としてお金を取られてしまっては、せっかくの運用益が目減りしてしまう大きな原因になってしまうからです。
また、運用会社などに支払う信託報酬もできるだけ安いものを選ぶほか、投資信託を売却した際にかかる信託財産留保額も基本的な選び方や考え方は同様です。
特に似たような債券ファンドがある場合は、コストが安い方を選ぶことが大切です。
参考 積立投資で運用成績を上げるには手数料の安さが肝
5. まとめ ~積立投資では債券ファンドにも投資をしよう!債券ファンドの特徴を解説~
本記事では、積立投資における債券型ファンドに焦点をあてて、どのような特徴があるのか基本的な部分から応用部分まで分かりやすく解説を進めさせていただきました。
解説の途中でも記述させていただきましたように、従来の安定感が強みであった国内債券ファンドが、日本銀行のマイナス金利政策によって正味の利回りがマイナスに転じるという現状では、債券ファンドがリスク回避策の1つとして単純に考えるのは難しいと言わざるを得ない部分もあると思われます。
つまり、自己の資産を守る部分がしっかりと構築されないのであれば、逆に攻めの部分をより強固にするという考え方も1つの戦略方法としてあるのではないでしょうか。
具体的には、債券型ファンドで理想としているアセットアロケーションが立てられないのであれば、株式型ファンドでリスクを低く設定しつつも、理想としている運用結果が出せないか検討してみるということです。
時代の流れと共に投資戦略にあたるアセットアロケーションも変更していく必要性があります。
要所、要所で定期的にアセットアロケーションやポートフォリオを確認できる方は、おそらく、積立投資で成功を収めやすい方であると思われます。
同サイト内の記事も参考にしつつ、自分だけのアセットアロケーションやポートフォリオを構築されてみてはいかがでしょうか。
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