NISAは、2014年1月より始まった少額投資非課税制度のことをいい、1月1日から12月31日までの1年間を通じて年間120万円までの投資金額で得た利益に対して税金がかからない制度です。
現状のNISA制度は、どんどん進化を遂げており、2016年には、子どもの教育資金を念頭においた「ジュニアNISA」が始まり、2018年1月からは、長期資産運用を視野に入れた「つみたてNISA」も始まりました。
これらのNISA制度は、私たちが同制度の仕組みをよく理解しておくことに加え、投資に必要な最低限のスキルを磨くことによって、初めてそれぞれの「NISA制度」が活きてくるのは確かです。
そこで本記事では、「NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」といった3つのNISA制度の内、「NISA」に焦点を絞って解説を進め、どのような方がNISAに向いているのか幅広く解説を進めていきます。
1. NISAの特徴とは
すでにご存じの方もおられると思いますが、まずは、NISAを活用することによって、どのようなメリットが得られるのか、一般の課税口座を活用した場合とNISA口座を活用した場合の違いについて解説します。
管理人作成(税金は解説の便宜上、20%で計算し手数料は加味しません)
仮に、課税口座を活用して1年間で120万円を投資した結果、1年間で40万円の利益を得られた場合、この利益に対して20%(正確には20.315%)の税率を乗じた税金が差し引かれるため、手元に残る金額は税金が差し引かれた後の32万円となります。
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一方、NISA口座を活用して1年間で120万円を投資した結果、1年間で40万円の利益を得られた場合、この利益に対する税金が非課税扱いとなるため、本来ならば20%(正確には20.315%)の税率を乗じた税金が差し引かれますが、そのお金も含めて丸々手元に残すことができるのがNISAの大きな特徴です。
2. NISAのメリット・デメリットをまとめてみた
NISAの特徴について解説をしたところで、本項では、NISAのメリットおよびデメリットについてそれぞれ簡単にまとめたものを紹介します。
NISAのメリット
- 最大で5年間、投資対象の金融商品で得た利益に対して税金がかからない
- 投資対象になっている金融商品が豊富
- 確定申告をする必要がない
- ロールオーバーによって、5年間、資産運用の延長が可能
NISAのメリットは、最大で5年間に渡って投資対象の金融商品で得た利益に対して税金がかからないほか、投資対象になっている金融商品として、上場株式、投資信託、ETF、REITなど、種類が豊富なことがあげられます。
なお、ロールオーバーによるメリットにつきましては、後述する「4.長期での資産形成を希望する場合は、NISAが向いていない場合も」を参照されることをおすすめします。
NISAのデメリット
- すでに保有している金融商品は、NISAへ移すことができない
- 年間120万円までの投資非課税枠を翌年に繰越することができない
- 売却してできた枠を再投資することはできない
- 売却損が発生したとしても、他の利益と損益通算することができない
NISAのデメリットは、投資家にとって直接マイナスの影響を与えるものが少なく、あくまでもご自身のNISA活用の仕方によって有効活用できるか、有効活用できないかの違いが生じることになります。
そのため、特に、初めてNISA口座を開設して資産運用を始める方であれば、NISAのデメリットについて再度確認しておくことが大切です。
参考 積立投資をするならNISAを使おう!NISAのメリット・デメリットを解説
3. NISAが向いている3つのタイプ
ここまでNISAの特徴およびNISAのメリットとデメリットについて紹介をさせていただきましたが、これらを踏まえた上で、NISAが向いていると考えられるタイプは、以下の通りです。
投資する資金にゆとりがある方
NISAは、1年間の非課税投資枠が120万円であることから、この非課税投資枠をフルに活用するためには、投資をする資金にゆとりがある人ほど、効果的にNISAを活用できることになります。
どのように資産運用し、どのくらいの資産形成をしたいのかによって異なる部分もありますが、NISAは、少なくとも投資をする資金にゆとりがある方ほど向いている制度であることは確かです。
投資についてある程度知識がある方
NISAは、投資をすることができる非課税枠が120万円あることから、投資初心者よりも投資についてある程度知識のある人の方が、制度を有効活用することができると考えられ、向いている人といえるでしょう。
通常、投資初心者の方であれば、まずは、資産運用がどのようなものなのか試してみたいと考える方も多いと考えられ、結果として、当初から年間で与えられた非課税投資枠を有効に活用するとは考え難いと推測されます。
また、NISAでは、投資対象となっている金融商品が上場株式、投資信託、ETF、REITなど、種類が豊富で、かつ、年間120万円以内の投資範囲内であれば、これらの金融商品を自由に組み合わせて購入しても差し支えないことになっています。
つまり、投資についてある程度の知識がある方であれば、ご自身が考えている投資戦略に基づいた資産運用が可能になると考えられ、かつ、投資で得た利益に税金がかからないことから、投資についてある程度の知識のある方からすると、極めて利便性が高い制度であると言えるでしょう。
このような理由から、少なくとも投資初心者の方よりも投資についてある程度知識がある人の方がNISAを活用するには向いている人であると考えられます。
短期間での資産形成を望んでいる方
NISAは、投資対象となる金融商品に「上場株式」が入っていることから、先に解説した「投資する資金にゆとりがある方」で「短期間での資産形成を望んでいる方」であれば、NISAを活用することによって、上場株式を活用した大きな売却益や配当金が期待できるメリットがあります。
あくまでも1年間を通じて120万円までの投資で得た利益に対して税金がかからない仕組みとなっており、利益額に制限がありませんので、上場株式で資産運用し、株価が大きく上昇した局面において、大きな売却益(キャピタルゲイン)が得られる可能性も高まります。
そのため、上場株式で資産運用を始めようと検討されている方にとってNISA口座の開設は必須と言っても決して過言ではなく、大まかにまとめますと、NISAは、売却益や配当金が多ければ多い程、お得だということです。
4. 長期での資産形成を希望する場合は、NISAが向いていない場合も
これまで、NISAは、長期の資産形成にも向いていると言われてきましたが、平成30年1月より始まった「つみたてNISA」と比較しますと、必ずしも長期の資産形成にNISAが向いているとは言えなくなっているのは確かです。
NISAのメリットで紹介しておりますように、NISAで5年間の資産運用が終了しますと、ロールオーバーといって、保有している金融資産が現在価値のままで、引き続き5年間資産運用できるメリットがあります。
たとえば、毎年120万円ずつ投資信託を購入したとしますと、5年間で600万円分の投資信託を購入していることになりますが、この保有している投資信託の5年後の現在価値が700万円であった場合、700万円で引き続き5年間資産運用ができることを意味します。
仮に、ロールオーバーをした5年後に保有している投資信託の現在価値が1000万円であったとしますと、投資元金600万円を差し引いた400万円の利益に税金がかからないメリットが得られます。
ロールオーバーをしなければ、利益が100万円(700万円-600万円)であったのにも関わらず、ロールオーバーをすることによって、より多くの利益が上げられ、さらに税金を支払わなくても良いメリットは、大きいと考えられます。
ただし、ロールオーバーをするメリットは、確実に受けられるわけではなく、投資している金額をはじめ、投資している金融商品、将来の値動きによって大きな違いのあることから、必ずしも長期の資産形成にNISAが向いているとは言い切れません。
5. NISAとつみたてNISAは、併用することができない
本記事の冒頭で軽く触れましたが、平成30年1月より「つみたてNISA」が新たに始まったことによって、これまでの「NISA」と「つみたてNISA」は、どちらも併用して活用することはできず、いずれか一方を選択して活用しなければならないことになっています。
そのため、NISAおよびつみたてNISAの制度をよく理解した上で、ご自身にとってどちらの制度が向いているのか判断することが大切になります。
NISAとつみたてNISAの主な違い
内容 | NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
年間の非課税投資枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
投資対象金融商品 | 上場株式・株式投資信託ETF・REITなど | 金融庁が指定している投資信託もしくはETF |
購入方法 | 自由 | 積立方式のみ |
向きの投資手法 | 短期投資向け | 長期投資向け |
NISAとつみたてNISAの主な違いについて比較しますと、ご自身がどちらのNISA制度が向いているのか確認しやすくなります。
これまで解説をしたNISAに向いているタイプに合致するのであれば、NISAを選択する方が良いと考えられる一方、月々の投資金額が少ないながらも、15年後や20年後に向けて大きな資産形成をしたい方であれば、つみたてNISAが向いていると考えられます。
つみたてNISAの場合、たとえば、将来の子どものための教育資金準備、ご自身の老後資金の準備、住宅リフォームや修繕にかかる住宅資金の準備など、将来において必要となるまとまったお金を無理なく準備したいと考えている方には向いている制度といえます。
6. まとめ
NISA制度には、「NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」といった3つの制度がありますが、それぞれのNISA制度は、投資目的によって向いている方と向いていない方に分けられます。
NISAは、どちらかと言えば、上場株式で資産運用したいと検討している方や大きく投資をしたいと考えている方、短期的に大きな利益を得たいと考えている方にとっては向いている制度であると考えられます。
このような方々が向いているとされるNISAであるからこそ、NISAは、投資資金や経済的に余裕のない世帯にとっては無関心である制度であったと予測されます。
ただし、平成30年1月からは、つみたてNISAが始まったことに伴い、将来の教育資金、老後資金、住宅資金といったまとまったお金を準備するためであれば、基本的に誰でも無理なく活用できる制度が確立されています。
つみたてNISAは、積立預金のように、毎月ご自身で決めた一定金額の投資信託等を積立投資する仕組みになっており、投資初心者や将来のために資産形成をしたい世帯にとって極めて有効な制度であることは確かです。
本記事で解説した「NISA」がご自身にとって利便性が悪かったとしても「つみたてNISA」は利便性が良いことも十分に考えられます。
併せて、「NISA」および「つみたてNISA」のいずれかの制度を活用するためには、まず、希望するインターネット証券会社などの金融機関で「ご自身のNISA口座を開設する手続き」を行い、ご自身が希望するいずれかのNISA制度を選択することになります。
そのため、仮にNISAがご自身にとって向いている制度でなかったとしても、つみたてNISAの制度を詳しく確認し、つみたてNISAが向いている制度であったとするならば、そちらを活用してみるのが得策だと考えられます。
参考 どのような人が、つみたてNISAに向いているのかを解説!
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