NISAで投資をすることができる対象金融商品には、株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)などがあり、どれに投資をする上でも、自分の思い描いている資産運用がなされている必要があります。
特に、NISAを活用した資産運用の場合、制度の仕組上、いくつかの注意点があるものの、本記事で解説する「リバランス」に至っては、絶対に押さえておかなければならないポイントがあります。
そこで本記事では、リバランスとは、そもそも何なのかといった基本的な部分から、NISAを活用する際のリバランスの注意点まで幅広く解説を進めていきます。
1. リバランスとは、何なのか
リバランスとは、当初購入した投資信託等のバランス(投資比率もしくは資産配分)を、調整することをいいます。

上記の資産配分が、時間が経過することによって、それぞれの金融資産のバランスが徐々に崩れてきます。

上記のような資産配分のまま資産運用を続けていきますと、当初思い描いていた資産運用や安定した資産運用が成されないことに繋がります。
つまり、リバランスをしないことによって、時には、想定以上のリスクを取ることになったり、期待リターンよりも下回ってしまったりする可能性があることを意味します。

そのため、リバランスを行うことで、当初の資産配分のバランスを元に戻すのが「リバランス」になります。
2. リバランスは「売買」と「買い増し」で行う
実際に行うリバランスの方法には、「手持ちの金融資産を売買してバランスを整える方法」と「新たに金融資産を買い増ししてバランスを整える方法」の2通りがあります。
手持ちの金融資産を売買してバランスを整える方法

手持ちの金融資産を売買してバランスを整える方法とは、保有の多い金融商品は売却し、保有の少ない金融商品は購入してバランスを調整する方法です。
たとえば、購入時の資産配分が、国内株式25%:国内債券25%:外国株式25%:外国債券25%で、上記図のような資産配分でバランスが整っていなかったとします。
この場合、国内株式を5%分購入、国内債券を10%売却、外国株式を5%売却、外国債券を10%買い足しすればよいことになります。
このようなリバランスの方法が、手持ちの金融資産を売買してバランスを整える方法となります。
新たに金融資産を買い増ししてバランスを整える方法
新たに金融資産を買い増ししてバランスを整える方法とは、現状の資産配分から少ない金融商品を多く購入し、多い金融商品を少なく購入してバランスを調整する方法です。
こちらの方法につきましては、実際に金額に置き換えて見た方がわかりやすいと思いますので、同サイト内で公開されている「積立投資におけるリバランスとは?方法とタイミングを解説」から引用して紹介します。
なお、当初の資産配分は、「国内株式30%:国内債券20%:海外株式30%:海外債券20%(株式60%:債券40%)」というバランスであるものとします。

たとえば、評価額が110万円であったとして、資産配分の内訳が、国内株式30万円:国内債券18万円:海外株式42万円:海外債券20万円であったとします。

これを、新たに金融資産を買い増ししてバランスを整える方法で行いますと、国内株式を12万円追加購入、国内債券を10万円追加購入、海外債券を8万円追加購入、合計30万円分を追加購入したことによって当初の「国内株式30%:国内債券20%:海外株式30%:海外債券20%(株式60%:債券40%)」というバランスに戻すことができることになります。
このようなリバランスの方法が、新たに金融資産を買い増ししてバランスを整える方法となります。
参考 積立投資におけるリバランスとは?方法とタイミングを解説
3. 重要!NISAの場合も、リバランスをすることは必要なのか
これまでリバランスの基本的な解説やリバランスの方法について解説を進めてきましたが、NISAを活用している場合は、リバランスをする際に重要な注意点があります。
それは、「NISAでは、金融資産を売却することによって空いた投資枠について、同じ年に再度利用することができない」といったことです。
たとえば、NISAを最大限活用(1年間で120万円)して、以下のような資産配分で投資信託に投資していたと仮定します。

その後、株式の値下がりの影響によって資産配分が、以下のように変化したとします。

リバランスをすることによって、債券ファンドを40万円、売却しようと考えたとします。

このように、リバランスのために売却をしても、NISAの投資枠を使うことになってしまう決まりがあることから、この事例の場合は、NISAを活用した1年間の投資枠をすべて使い切ってしまっていることになるわけです。
つまり、リバランスをするためには、NISAの非課税投資枠(120万円)に余裕を残しておかなければ、リバランスを十分に行うことができない可能性があるということになります。
4. 年間120万円までNISAをフル活用したい場合は、バランスファンドを選ぼう
仮に、NISAを活用して非課税枠の上限額一杯まで投資をしたい場合は、投資信託のなかでも「バランスファンド」を選ぶのがオススメです。
バランスファンドは、運用会社がリバランスをしてくれるため、自分でリバランスをする必要がなく、さらに、NISAの非課税投資枠を使わずに済むといった特徴があります。
なお、バランスファンドとは、1つの投資信託の商品でさまざまな金融資産にバランスよく分散投資することができる投資信託のことをいいます。
バランスファンドは、リスクをコントロールすることができるファンド(投資信託)であるため、安定した資産運用がされやすく、投資初心者から投資のベテランまで幅広い層で人気のあるファンドになります。
ちなみに、管理人がオススメするバランスファンドは「世界経済インデックスファンド」です。
世界経済インデックスファンドは、国内、先進国および新興国の公社債および株式(DR(預託証券)を含みます。)に分散投資することでリスクの低減をはかり、投資信託財産の中長期的な成長を目指すバランス型ファンドです。

国内外の株と債券に半分ずつ投資する配分となっており、投資比率は地域別のGDP総額の比率に応じて決定されます。ネット証券大手のSBI証券や楽天証券などといったネット証券を利用して購入することもでき、月々500円や1,000円といった少額のお金を積み立てて投資をすることも可能となっています。
世界経済インデックスファンドは、株式の比率を50%から75%へ引き上げた「株式シフト型」や債券の比率を50%から75%へ引き上げた「債券シフト型」といったものもあり、ご自身のリスクとリターンの取り方によって投資比率を変更することもできます。
参考 積立投資に手間と時間を掛けたくないならバランス型ファンドを選択すべし
5. NISAの投資枠が元々あまる場合、リバランスの投資枠は、深く考えなくても良い
NISAでリバランスをする場合、「リバランスをすると、NISAの投資枠を使ってしまうから勿体ない・・・」と書かれたサイトがたくさんあるのですが、実際には、そこまで気にしなくても良い問題である時もあります。
たとえば、NISAの1年間の投資上限、年間120万円の枠を使い切るためには、単純計算で毎月10万円ずつ投資をする必要があります。
しかしながら、一般に、普通のサラリーマンなどであれば、毎月10万円ずつNISAを活用して投資をしていくのは、かなり厳しいのが現状なはずです。
あくまでも、投資する本人の収入や世帯収入によってばらつきはあるものの、現実的には、1ヶ月あたり5万円~7万円程度も投資に充てられればかなり良い方であると思われます。
そのため、NISAを活用して1年間投資をしたとしても、年間60万円~84万円程度の投資枠で抑えられていることになるため、あまっている投資枠36万円~60万円までは、リバランスのための余裕枠として確保しておくことが可能になります。
投資金額がさほど大きくないことや、極度に資産配分が変化しない以上、リバランスを無理に行う必要もなく、一般に、1年に1回程度、確認し資産配分のバランスが極度に崩れている場合にはリバランスが必要とされていることから、少額投資などで、NISAの投資枠が元々あまる場合は、リバランスの投資枠は深く考えなくても良いと考えられます。
6. まとめ ~NISAでも投資信託に投資するならリバランスをするべきか?NISAでのリバランスを解説。~
リバランスというものは、そもそも当初の資産配分と大きなズレが生じた場合に行うものでありますから、1年に1回程度、資産配分を確認して大きくずれていない場合には行う必要がないものになります。
また、バランスファンドといった投資信託を購入することで、リバランスを自動で調節してくれるほか、NISAで株式や投資信託などの複数の金融資産を組み合わせて資産運用をする場合は、特に注意が必要と思われます。
NISAを活用するということは、そもそも投資で利益を上げ、その利益に対して税金が徴収されないようにするためといった最大の目的があるわけでありますから、投資の実績にあたる「トータルリターン」を常に確認しながら、自分の思い描いた利益が出せているのか確認しておくことも大切です。
マイナスに働いている株式や投資信託といった金融商品をどのように調整して、リバランスをしていくのかといった投資全体で考えることの方が、投資信託など1つの金融資産に特化して考えることよりも重要です。
なぜならば、最終的な投資目標は、投資で利益を上げるためであり、利益を得られて初めてNISAの制度が活きてくるからであり、株式で損失を出し、投資信託で利益を出したなどといった個別の損益は関係がないからです。
あくまでもトータルで考え、損失が生じているところをどのように調整して利益に変えられるのかといったものを「リバランス」と考えた方が、きっと良い資産運用ができるのではないかと管理人は考えています。
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