NISA(少額投資非課税制度)で投資をすることができる金融商品の1つに投資信託があります。
投資信託は、実際に購入する際、分配金がある投資信託と分配金がない投資信託に分けられる特徴があるほか、分配金を投資元金と別途で分配する「分配型」と分配金を投資元金に組み入れて再び運用する「再投資型」にさらに細かく分けられる特徴もあります。
一般に、投資信託で資産運用をする場合、分配型の投資信託を選ぶべきではないと言われることが多いのですが、これは、NISAで投資信託へ資産運用をする場合もはたして同じなのでしょうか?
本記事では、NISAでも分配型の投資信託を選んではいけないのか!?その理由を考えていきたいと思います。
1. 投資信託の「分配型」と「再投資型」の違いは?
はじめに、投資信託の「分配型」と「再投資型」の違いについて解説を進めていきます。
投資信託の「分配型」とは、投資信託の収益等の一部を収益分配金(分配金)として分配する運用方針になっていることから、投資信託の運用を続けながら、運用成果をこまめに受け取りたいといったニーズに合った商品といえるでしょう。
ただし、分配金については、投資信託の運用成績によって決定されるべきものであることから、定期的な分配や分配金額が保証されているものではないため注意が必要です。
一方、投資信託の「再投資型」とは、投資信託で得た運用益(分配金)をそのまま投資元金に上乗せして再投資するタイプのものをいいます。
投資元金のほかに投資信託で得た運用益(分配金)を上乗せして再投資することから、時間が経過してから得られるお金が、分配型に比べて大きくなるといった特徴があります。
参考 積立投資なら再投資型ファンドを選ぼう!再投資型のメリット・デメリットを紹介
投資信託は、分配金の分配方法が異なる銘柄(商品)がある
投資信託の「分配型」には、毎月分配 隔月分配、年1回のように分配金の分配方法が銘柄(商品)によって異なる特徴があります。
それぞれの特徴は、以下の通りです。
毎月分配型(まいつきぶんぱいがた)
毎月分配型は、1ヵ月ごとに決算を行い、収益等の一部を収益分配金(分配金)として毎月分配する運用方針の投資信託のことをいいます。
隔月分配型(かくげつぶんぱいがた)
隔月分配型とは、2カ月に1回の決算時を行い、安定して分配金を支払うことを目標とした投資信託のことをいいます。
年1回分配型(ねんいっかいぶんぱいがた)
年1回分配型とは、年1回決算を行ない、投資信託の運用成果に応じて分配金を支払う投資信託のことをいいます。
NISAで投資する投資信託で分配型を選ぶ際は、毎月分配 隔月分配、年1回のように細分されたものから選ぶことになりますので、どの分配型が自分に合っているのか、あらかじめ詳しく調べてみることが大切です。
2. NISAで分配型の投資信託を選ぶ際の注意点
NISAを活用して分配型の投資信託に投資をするということは、最大で5年間、受け取った分配金に対して税金が徴収されないことを意味します。
これは、NISAで分配型の投資信託を選ぶメリットにあたりますが、本項では、NISAで分配型の投資信託を選ぶ際に押さえておきたい注意点について解説を進めていきます。
分配型の投資信託は、資産形成に向かない
分配型の投資信託は、再投資型の投資信託に比べて資産形成には向かない特徴があります。
たとえば、分配型の投資信託は、投資家1人ひとりが保有している口数に対して分配金が割り当てられる特徴があることから、多くの口数を保有している投資家ほど、多くの分配金が得られる仕組みになっています。
また、投資家に対して分配金を支払うことによって、投資信託の基準価額が下がることになってしまう特徴も併せ持っていることから、毎月投資信託を定期的に購入したとしても、再投資型に比べて分配金を受け取っている分、お金の増えるスピード(資産形成)に大きな差が生じてしまうことになります。
分配金という名の元本払戻金(特別分配金)には注意
分配型の投資信託は、分配金を受け取ることができますが、分配金には、普通分配金と特別分配金(元本払戻金)といった2つの分配金があります。
普通分配金は、投資信託の運用益から支払われる純粋な分配金であるのに対して、特別分配金(元本払戻金)は、ご自身が投じた投資元本が払い戻されているだけに過ぎませんので、分配金が支払われたからといって、必ずしも儲けになる分配金であるとは限らない点には注意が必要です。
また、分配型の投資信託であったとしても、必ずしも分配金が支払われるわけではないことも併せて注意しておかなければならない注意点と言えるでしょう。
複利のパワーを最大限活かすことができない
投資信託は、一般に長期の資産形成に向いている金融商品であると言われますが、分配型の投資信託と再投資型の投資信託のお金の増え方を比較しますと、その違いと注意点についてご理解できると思われます。
たとえば、投資元金120万円に対して、毎年3%の分配金が5年間に渡って支払われるものとし、分配型の投資信託と再投資型の投資信託の運用実績を比較してみます。
なお、シミュレーション比較にあたり、手数料や税金といった細かなものは考慮しないものとします。
年 | 分配型 | 再投資型 | 差 |
---|---|---|---|
1年 | 1,236,000円 | 1,236,000円 | 0円 |
2年 | 1,272,000円 | 1,273,080円 | 1,080円 |
3年 | 1,308,000円 | 1,311,272円 | 3,272円 |
4年 | 1,344,000円 | 1,350,611円 | 6,611円 |
5年 | 1,380,000円 | 1,391,129円 | 11,129円 |
分配型の場合、投資元金120万円の3%にあたる36,000円が5年間受け取れるイメージになります。
再投資型の場合、投資元金120万円の3%にあたる36,000円を分配金として受け取らず、投資元金に組み入れて、123.6万円として、再び資産運用をします。
これを5年間、継続したのが上記表の結果となります。
5年では、僅かな差にしかならないものの、それでも再投資型の方が分配型より多くの資産を形成できているのは、「複利効果=複利のパワー」を活かしているためです。
NISAを活用して投資信託の再投資型に投資をするということは、投資信託を売却して換金しているわけではありませんので、税金がかかることはありません。
資産形成金額は、分配型の投資信託に比べて増加する一方で、そもそもNISAを活用している意味がどこにあるのか?といった疑問が生じてしまうことも否めません。
仮に、NISAを活用して投資信託の再投資型を選ぶのであれば、5年間継続して資産運用をして、5年目の終了前に利益を確定(売却する)のが効果的だと考えられます。
ただし、あくまでも基準価額が上昇している前提での話となりますので、ケース・バイ・ケースである点にご注意ください。
参考 積立投資で大事な「複利」をわかりやすく解説。複利の計算方法も教えます
3. なぜ、毎月分配型の投資信託は、人気があるのか?
これまで、投資信託には「分配型」と「再投資型」があることを解説し、併せて、再投資型の方が分配型に比べて資産形成できることを紹介させていただきました。
しかしながら、日本では、投資信託で資産運用をする多くの方は、再投資型ではなく分配型を選んでいる方が多く、特に、毎月分配型が人気のある投資信託となっています。
考えられる理由としては、投資信託の毎月分配型は、毎月お金が入ってくるため安心できることや多くの人が毎月分配型に投資していることによって安心できるなどといった理由があげられます。
どちらの理由も納得できる一方で、「NISAで投資するときは毎月分配型を選ぶべきではない」といった意見も多くあるようです。
NISAで投資するときは毎月分配型を選ぶべきではないのか?
NISAで投資をするときは、毎月分配型の投資信託を選ぶべきではないといったことは、必ずしも言い切るべきではないと思います。
1つ目の理由として、NISAを活用して毎月分配型の投資信託に投資した場合、分配金の多少に関わらず、5年間は、この受け取った分配金に対して税金がかかることはないためです。
そのため、NISAによるメリットを毎月分配型の投資信託では、分配金を受け取る都度、受けていることになります。
2つ目の理由として、毎月分配型の投資信託は、老後の生活資金としての使い方もあり、必ずしも資産形成のために利用するのが、すべての方に対して得策とは言い切れない場合もあるためです。
たとえば、原則として65歳から支給が開始される国民年金は、「偶数月の15日」が年金支給日となっており、前月および前々月の2ヶ月分が同時に指定口座へ振り込まれる仕組みになっています。
たとえば、12月15日に振り込まれる年金は、10月分と11月分の2ヶ月分の年金といったイメージになります。
2ヶ月分の年金がまとめて1回で支給されるということは、1ヶ月間は丸々無収入になる場合も十分に考えられ、このような時、毎月分配型の投資信託から分配される分配金は、非常に重みのあるお金になることは確かです。
すでに解説をさせていただきましたように、毎月分配型の投資信託は、分配金に元本払戻金(特別分配金)が含まれていることがあり、これがデメリットにあたる旨を解説しましたが、年金生活をしている高齢者の立場で考えますと、元々保有している投資信託という名の資産を取り崩して老後の生活資金に充てているといった考え方もできることから、このような立場で考えた時、一概に毎月分配型の投資信託は、選ぶべきではないと言い切れないはずです。
そのため、たとえば、若年者の方や子育て世帯の方で、これから、住宅資金、教育資金、老後資金といった人生3大資金を確保したいということであれば、「再投資型」を選ぶべきである一方、老後生活をしている高齢者の方であれば、ゆとりある老後生活を送るために「毎月分配型」を選んで、少しずつ保有している投資信託を取り崩すといった活用の仕方があっても良いと思います。
NISAで投資するときには、再投資型の投資信託を選ぶという選択肢はどうなのか?
こちらは、前述させていただいた内容と重複致しますが、たとえば、若年者の方や子育て世帯の方で、これから、住宅資金、教育資金、老後資金といった人生3大資金を確保したいということであれば、「再投資型」を選ぶべきだと思います。
しかしながら、税金がかからない非課税期間は、最大で5年間と短く、さらに、再投資型のように保有している投資信託を長期で保有し続け、基本的に売却しない資産運用であれば、NISAを最大限に活用しているとは残念ながら言い難い部分があることも確かです。
そこで、住宅資金、教育資金、老後資金といった人生3大資金を用意する目的で資産運用し、かつ、投資に回すことができるお金がわずかである方であれば、平成30年1月より始まる「つみたてNISA」を活用するのが得策だと思われます。
つみたてNISAは、資産運用の方法が、投資信託を毎月一定金額ずつ積立投資する方法に限られており、1ヶ月あたりの投資金額が約33,000円程度で、投資することができる銘柄(商品)も決められているといった縛りが非常に多い特徴がある制度です。
とはいえ、つみたてNISAで指定されている投資信託は、いわば投資信託の優良な銘柄であり、金融庁が厳選したものに限られていることから、基本的に選んだ銘柄(商品)で大はずれを引き当てることは考えにくいのは確かです。
さらに、NISAは非課税期間が最大で5年間に対して、つみたてNISAは、最大で20年間の非課税期間があるため、住宅資金、教育資金、老後資金といった人生3大資金を用意するには、非常に向いている資産運用方法であることは間違いありません。
4. まとめ ~NISAでも分配型の投資信託を選んではいけないのか!?その理由を検証~
NISAを活用した投資信託は、置かれている状況や投資目的に即して、ケース・バイ・ケースで賢く使い分ける必要性があるはずです。
たとえば、若年者や子育て世帯の方であれば、再投資型の投資信託で資産運用を継続して行い、年金生活が始まったら、これまで資産運用をして形成した資産を、毎月分配型に切り替えて少しずつ資産運用をしながら取り崩していくといった方法もあって良いと思います。
食わず嫌いではないですが、ただ頭ごなしに毎月分配型の投資信託が悪いと決めつける前に、ライフプランやキャッシュフローといったお金の流れを考えながら、賢く投資信託を活用する知恵や方法があるといったことも知っておいて損はないはずです。
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