「投資信託」という言葉をテレビCMや銀行などで一度は目にしたことがあると思います。
投資信託は、別に「ファンド」とも呼ばれ、投資のプロが、私たちのお金を代わりに運用して増やすといった大きな目的があります。
現在、日本の経済情勢や将来の年金制度に不安を抱いている人が多いこともあり、「自分年金づくり」が豊かな老後を送るための大きな課題となっています。そして、豊かな老後生活を送るための資産形成対策の1つとして「積立投資(つみたてとうし)」という方法があります。
初めての人が「投資」と聞くと、「わからない」、「損をする」といったイメージがどうしても先行してしまいがちです。しかし、このページで解説する積立投資は、これから投資をはじめてみようと考えている人にとっては非常に取り組みやすい金融商品です。
この理由の1つとして、積立投資は「毎月の貯金感覚で少額から始められる」ということがあげられます。実際、積立投資の中には、月々500円から始められるものまであることから、その手軽さはイメージしやすいと思います。
おそらく、初めて投資をされる方や投資に興味がある方は、一から十まですべてのことについて知りたいと感じていると思いますが、このページでは、老後のための資産形成を積立投資で行う効果的な方法について解説していきます。
1. 毎月分配型の仕組み
投資信託のお金の貰い方は、大きく3つに分けられる特徴があります。
投資信託の運用の結果、利益が発生した場合に私たち投資家に支払われるお金を「分配金」といい、投資信託によって「分配金をもらう(分配型)」、「利益を含めた分配金を再度、投資に回す(再投資型・資産成長型)」、「分配金がない(無分配型)」という3つのお金の貰い方があります。
ここでは、初めて投資信託を始める方に人気がある「毎月分配型」の仕組みについて簡単に解説していきます。
毎月分配型とは、その名前の通り、分配金が毎月支払われることから、ちょっとしたお小遣いの代わりとしたり、生活費の一部として貰ったお金を充てることができるといったメリットがあります。
毎月分配型の投資信託を選んでいる方からすると、毎月のお金を受け取ることで投資をしてお金を貰っている実感が得られたりする効果も期待できます。しかし、毎月分配型の投資信託は長期的な資産形成には向いていません。
2. 毎月分配型が長期の資産形成にむかない3つの理由
積立投資は、最終的な投資目的に応じて投資をする商品や分配金の受取方法をかしこく使い分ける工夫が必要になります。
たとえば、老後のための資産形成をするといった目的を効果的に達成するためには、前述した毎月分配型は、残念ながら適切な分配金の受け取り方法とは言えません。
ここでは、毎月分配型が長期の資産形成にむかない3つの理由について解説していきます。
複利効果を最大限活かすことができないので、運用効率が悪い
毎月分配型のように利益をその都度受け取る方法の場合、毎月積み立てた元本に対してのみ利益が生じることとなるため、運用効率が悪くなってしまいます。
参考 セゾン投信 積み立て利回り徹底分析
複利効果とは、実際に積み立てている元金とそれによって生じた利益を原資としてお金を生み出す方法のことをいいます。
たとえば、税金や手数料などを加味しないものとして100万円を年7%で運用したとすると、1年後の元金と利益を併せると107万円となります。
複利効果は、2年後の運用金額を元金のみの100万円とするのではなく、元金と利益を併せた107万円とすることで、5年後、10年後、20年後、30年後といった長期間に渡ってお金を運用する効果を効率的に大きくすることが可能になります。
老後のための資産形成をするには、人によって個人差があるものの、20年後や30年後に目標としているお金を用意できれば良いといった考えになると思います。つまり、長期的に時間をかけて効果的、かつ、より確実に目標金額を用意するためには、「複利効果を最大限に活かすことが必須」になります。
このような理由から、毎月分配型は、長期の資産形成にむかない方法であることがわかります。
分配金を支払うために元本を切り崩すこともある
分配金には、「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」という2つの種類の分配金があります。
参考:日本証券業協会 「毎月分配型の投資信託」とは?
普通分配金とは、積立投資などであげることができた「利益」に相当するお金のことをいいます。前項の例のように、たとえば、税金や手数料などを加味しないものとして100万円を年7%で運用したとすると、1年後の元金と利益を併せると107万円となります。
この7万円に相当する部分が、普通分配金にあたります。
仮に、私たち投資家に対して10万円が分配されたとしますと、普通分配金(利益)が7万円しかありませんので3万円が不足していることがわかります。この不足した3万円は、元金100万円から充当され、特別分配金(元本払戻金)として私たちに支払われていることになるわけです。
つまり、積立投資で儲けたつもりのお金がすべてではなく、自分のお金を知らず知らずに切り崩している可能性もあるわけです。
先の例は、年単位でのものですが、毎月分配型の場合も考え方は基本的に同じです。
毎月分配型の場合、私たち投資家に対して毎月定期的にお金が支払われますが、純粋に投資信託で利益をあげた普通分配金だけであるとは限りません。特別分配金(元本払戻金)も絡んでいるようであれば要注意です。
特に、老後のための資産形成をするという目的におきましては、自分の元本を少しずつ切り崩していて、20年後、30年後には、そもそもお金がないといったことすら十分あり得ます。
これでは当初の投資目的から大幅に外れており、本末転倒であることがわかります。
普通分配金が発生するたびに税金を支払わなければいけない
分配金には、普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の2種類の分配金があることを先に解説しました。それぞれの分配金の特徴を、もう一度おさらいします。
- 普通分配金とは、投資などで儲けた利益
- 特別分配金(元本払戻金)とは、自分の投資金額(元本)
分配金にかかる税金は、普通分配金のみです。
一般常識として考えてみますと、儲けたお金に対して税金がかかるのは、腑に落ちないとはいえ納得できますが、自分の投資したお金に対して税金がかかってしまっては、そもそも最初から誰も投資なんか行いません。
なお、普通分配金に対して課される税率は、復興特別所得税を含んで「20.315%」であることから、毎月分配される都度、税金が徴収されてしまっていることを踏まえますと、正味の利益が大きく目減りする可能性が含んでいることもあらかじめ知っておく必要があります。
老後のための資産形成をするという目的におきましては、普通分配金を受け取る都度、課される税金は、大きなロスにつながることは言うまでもありません。結果として、毎月分配型が長期の資産形成にむかない理由の1つとしてあげることができると考えることができます。
3. 毎月分配型と再投資型(資産成長型)を比べてみた
毎月分配型と再投資型(資産成長型)は、金利の「単利」と「複利」の関係に似ているイメージがあります。そこで、ここでは、毎月分配型を「単利のイメージ」、再投資型(資産成長型)を「複利のイメージ」で両者の違いを比較してみます。
毎月分配型は、利益が上がるとその利益を受け取ることになりますので、次の利益が期待できるのは、すでに投資している元本に対してのみと考えることができます。つまり、単利のイメージに似ていることがわかります。
一方、再投資型(資産成長型)は、利益が上がると、元本とその利益を再度投資に回すことから、次の利益が期待できるのは、元本と利益を合わせたものになることがわかります。つまり、こちらは複利のイメージに似ていることがわかります。
単利と複利は、短い期間で比較するとさほど大きな差が見られませんが、20年、25年、30年などといった長期間に渡るとその差は一目瞭然になります。
参考 おかねがかり(投資信託の複利効果/毎月分配型もインデックスも上昇し続けないと複利効果は実感できない)
積立投資の場合も考え方は同様で、最初の元本は1ヶ月ずつ少額を積み立てながら投資することになるため、毎月分配型も再投資型(資産成長型)も大きな違いが見られないと予測されます。
しかし、年数が長くなると複利効果が顕著に表れることにつながり、運用期間が長ければ長い程、その効果が大きく広がっていることがわかります。
つまり、老後のために資産形成をしたいという目的においては、複利効果が期待できる再投資型(資産成長型)の方が毎月分配型よりも適している方法であると考えることができます。
4. どうして毎月分配型の投資信託は多くの人に支持されるのか?
毎月分配型の人気は、平成23年(2011年)の8月が最もピークで、それ以降減少傾向にあるものの、日本で買える投資信託に占める割合は、「約6割」となっています。
これは、毎月分配型が人気であり主役になっていることを示しており、極端な表現ではありますが、毎月分配型以外の投資信託を探すのが大変という見方をすることができます。
このようなことを踏まえ、ここでは、多くの人に毎月分配型が支持される理由について考えていきます。
毎月報酬を得られるという安心感
毎月分配型が多くの人に支持される理由として、毎月報酬を得られるという安心感があると考えられます。これは、先に「1.毎月分配型の仕組み」で解説させていただきましたように、ちょっとしたお小遣いの代わりや生活費の一部として貰ったお金を充てることができるといったメリットが大きいためであると思われます。
銀行・証券会社が手数料を得るため
毎月分配型は、毎月お金が支払われるということですので、先に解説した普通分配金にかかる税金のほかに、換金時には費用がかかることを忘れてはなりません。たとえば、「信託財産留保額(しんたくざいさんりゅうほがく)」と呼ばれるものは、換金時にかかるコストの代表とも言えます。
信託財産留保額とは、投資信託を解約するときに発生するペナルティとして支払う手数料のことをいい、「換金手数料」や「解約手数料」などと呼び方が異なります。
信託財産留保額は、基準価額の0.1%から0.5%程度を徴収されることが多く、たとえば、100万円の基準価額に対して0.5%の信託財産留保額が差し引かれるとした場合、5,000円が差し引かれるといったイメージになります。
あらかじめ誤解の無いように解説しますが、信託財産留保額は銀行や証券会社が得る儲けにあたり、選んだ投資信託によっては、必ずしもかかる費用ではありません。
同様に購入時手数料や信託報酬といった換金時以外にかかる費用があることも、投資信託を購入する前にあらかじめ確認しておく必要があるほか、これらにつきましてもすべてが必ずしも発生する費用ではないことを理解しておく必要があります。
このように、本来かかる費用がかからないといった営業トークを受けますと、購買意欲が増すことにつながります。どの手数料がかかり、仮に手数料がかからないとした場合、他の手数料割合は高くなっていることが一般的です。
投資信託の利益は、税金やこれらの手数料を総合的に加味して、正味いくら儲けることができるのかを考えることが重要です。
表面的な「高利回り」に騙されている可能性もある
毎月分配型の魅力を説明され、コストもかからないといった説明までされてしまうと毎月分配型の投資信託の購買意欲は、すでに高いところにまで達していることでしょう。ここで、最後に「高い利回り」まで説明されると、おそらくその多くの皆さまは、購入の意思決定をされることと思います。
しかし、購入の意思決定前には、できる限り本当に高利回りであるのかについて確認しておく必要があります。
たとえば、毎月分配型の投資信託で月々100円の分配金を1年間受け取ったとしますと、年間で1,200円の分配金を受け取ることになります。
このとき、現在の基準価額が8,000円であったと仮定すると、その利回りは「15%(1,200円÷8,000円)×100%」と高利回りであることがわかります。これが「罠」である可能性が実はあるわけです。
もしも、1年前の基準価額が10,000円であったと仮定すると、現在までに2,000円も下落しており、実際の利回りが「15%」という高利回りではないことに気が付く必要があります。実際の利回りは、以下の通りです。
人は見かけだけで判断することはできないように、利回りも表面的な高利回りで判断するのではなく、実質的な利回りで判断し選ぶことが重要になります。
5. 長期的な資産形成をしたいなら「再投資型(資産成長型)」がオススメ
これまで解説したことから、毎月分配型は投資目的によって使い分ける必要性があり、少なくとも老後の資金対策のような長期的な資産形成をしたい目的がある場合は、毎月分配型ではなく「再投資型(資産成長型)」が適していると言えます。
そして、目的の資産形成(金額)を達成するには、コスト(税金や手数料)を抑え、お金にお金を稼いでもらえるようにする「複利効果」を十分に活用することが重要(=再投資型がベスト)であることがわかりました。
あくまでも語弊の無いように申し上げておきますと、「毎月分配型」が100%儲からないというわけではなく、投資の目的やおかれている状況から分配金の受け取り方を賢く利用する必要があります。
ケース・バイ・ケースではありますが、たとえば、実際に年金生活が始まった時に年金の支給額に生活資金をプラスしたいという考えであれば、毎月分配型を利用してみるのも効果的かもしれません。
このようなことから、現在の状況や投資目的を鑑みますと、これから、老後のために資産形成をしたいと考えている若年者の皆さまからしますと、長期間という長い時間を味方に有効活用できるわけでありますから、毎月分配型のファンドではなく、再投資型のファンドを選ぶべきだと考えることができます。
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