積立投資は、投資信託を毎月少しずつ購入して資産運用する投資手法ですが、初めて積立投資を行う投資初心者の皆さまからすると「積立投資は何年やるべきなのか?」「そもそも長期って何年?」などのような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
その他、やはり気になることと言えば、やはりお金のことだと予測でき、「実際に積立投資を何年続けたらどのくらいのお金が増えるのか?」といった部分をあらかじめしっかりと知っておきたいという皆さまも多いと思います。
そこで本記事では、これらの疑問や積立投資の投資期間について解消できるような解説をはじめ、積立投資を20年や30年といった長期的に行うことによって得られるメリットなどについて分かりやすく解説を進めていきます。
1. 積立投資の投資期間「何年やるか?」「何年できるか?」は正しい考え方なのか?
積立投資の投資期間を検討する際に、「何年やるか?」「何年できるか?」といった考え方は、結論から申し上げると正しい考え方とは言えません。
この理由は、積立投資を実際に始める以前に「いつまでにいくら積立投資でお金を用意しておく必要があるのか」といった投資目標を決めておかなければならないためです。
たとえば、将来の老後生活資金が不安なために、積立投資で資産運用を行い、まとまったお金を資産形成しようと考えたとします。
この時、現行(平成29年9月現在)の公的年金支給開始年齢は、原則として65歳となっていることから、現在の年齢から65歳までが積立投資の最大投資期間となります。
そして、現在の生活水準と照らし合わせて同じような質の老後生活ができれば良いということで、仮に目標金額を1000万円に設定したとしますと、現在から65歳までの最大投資期間までに1000万円を用意することができるような積立投資を行えば良いといった考え方になります。
そのため、投資期間を「何年やるか?」「何年できるか?」と固定して考えるのではなく、投資目標を達成するために、投資期間と投資金額の両方から総合的に判断しなければならないわけです。
2. 積立投資の投資期間は、長い方が圧倒的に有利
積立投資は、投資期間と投資金額の両方を考えて資産運用をしなければならないことをご理解できたと思いますが、一般に、積立投資は投資期間が長ければ長いほど、多くの資産形成をすることができる投資方法です。
この理由は、投資期間を長くかけたことによる「複利のパワー(複利効果)」を十分に活かすことができるためです。
複利のパワー(複利効果)のイメージは、以下の通りです。
複利効果はひらたくいえば「運用益を受け取らず再投資する」投資方法のことで、よく例えられるのは雪だるま作りです。小さな雪球を転がしたとき、1周目よりも2週目、2週目より3週目のほうが雪がたくさんつき、気がつけばひとりでは動かせないほど大きくなります
出典 楽天証券 第58回 「毎月5万円で1億円貯まる」の計算を正しく理解する 複利効果は、ぱっと見では計算ミスに見えるほど大きいより引用
積立投資を行うことによって利息にあたる運用益を投資元本と共に再投資をして資産運用することで、長い時間をかけて大きな上向きカーブを描くことになります。
したがいまして、長い時間をかけて資産運用ができればできる程、大きな資産形成ができることに繋がるほか、特定の条件を必要とせず誰でも複利のパワー(複利効果)を活かすことができる部分は、積立投資の大きなメリットであり魅力と言えるでしょう。
このような理由から、一般に積立投資は、短期や中期の資産運用には不向きであり、長期の資産運用に向いている投資方法だと言われますが、実際に積立投資を行うのであれば、25年から30年といったスパンで考えてみるべきだと思われます。
3. 長期的な積立投資で、どれくらいの資産形成ができるか計算してみた
では、実際に長期間の積立投資をした場合、どれくらいの資産形成ができるのかについて、積立投資開始年齢と選択した利回りの関係からシミュレーションをして表にまとめてみました。
毎月10,000円ずつ積立投資をする場合
積立投資 開始年齢 |
利回り 1.00% |
利回り 3.00% |
利回り 5.00% |
利回り 10.00% |
---|---|---|---|---|
20歳 | 6,816,220円 | 11,403,730円 | 20,264,373円 | 104,825,017円 |
25歳 | 5,898,915円 | 9,260,595円 | 15,260,202円 | 63,240,796円 |
30歳 | 5,026,329円 | 7,415,637円 | 11,360,924円 | 37,966,381円 |
35歳 | 4,196,282円 | 5,827,369円 | 8,322,586円 | 22,604,879円 |
40歳 | 3,406,701円 | 4,460,078円 | 5,955,097円 | 13,268,334円 |
45歳 | 2,655,612円 | 3,283,020円 | 4,110,337円 | 7,593,688円 |
50歳 | 1,941,140円 | 2,269,727円 | 2,672,889円 | 4,144,703円 |
55歳 | 1,261,499円 | 1,397,414円 | 1,552,823円 | 2,048,450円 |
毎月30,000円ずつ積立投資をする場合
積立投資 開始年齢 |
利回り 1.00% |
利回り 3.00% |
利回り 5.00% |
利回り 10.00% |
---|---|---|---|---|
20歳 | 20,448,659円 | 34,211,189円 | 60,793,119円 | 314,475,051円 |
25歳 | 17,696,744円 | 27,781,785円 | 45,780,605円 | 189,722,387円 |
30歳 | 15,078,986円 | 22,246,910円 | 34,082,773円 | 113,899,142円 |
35歳 | 12,588,846円 | 17,482,107円 | 24,967,759円 | 67,814,638円 |
40歳 | 10,220,103円 | 13,380,235円 | 17,865,291円 | 39,805,002円 |
45歳 | 7,966,837円 | 9,849,060円 | 12,331,010円 | 22,781,065円 |
50歳 | 5,823,420円 | 6,809,181円 | 8,018,668円 | 12,434,110円 |
55歳 | 3,784,496円 | 4,192,243円 | 4,658,468円 | 6,145,349円 |
毎月50,000円ずつ積立投資をする場合
積立投資 開始年齢 |
利回り 1.00% |
利回り 3.00% |
利回り 5.00% |
利回り 10.00% |
---|---|---|---|---|
20歳 | 34,081,099円 | 57,018,648円 | 101,321,865円 | 524,125,086円 |
25歳 | 29,494,573円 | 46,302,975円 | 76,301,008円 | 316,203,979円 |
30歳 | 25,131,644円 | 37,078,183円 | 56,804,621円 | 189,831,903円 |
35歳 | 20,981,411円 | 29,136,844円 | 41,612,932円 | 113,024,396円 |
40歳 | 17,033,505円 | 22,300,391円 | 29,775,485円 | 66,341,670円 |
45歳 | 13,278,062円 | 16,415,100円 | 20,551,683円 | 37,968,442円 |
50歳 | 9,705,700円 | 11,348,634円 | 13,364,447円 | 20,723,517円 |
55歳 | 6,307,494円 | 6,987,071円 | 7,764,114円 | 10,242,249円 |
上記表の金額を参考に積立投資金額と最終的な資産形成金額を1つの目安に考えてみることをおすすめ致します。
目安となる利回りについての考え方
利回りとは、「運用益を含めた年間収益の投資金額に対する割合のこと」を言いますが、具体的な利回りの計算イメージは以下の通りとなります。
たとえば、年利率4%の債券を100万円購入して、4年間保有して売却した場合、売却金額が104万円だったとしたら4年間での収益は20万円(利子16万円+104万円-100万円)、つまり、年間収益は5万円です。投資金額は100万円だったので年利回りは5%となります。
出典 日本証券業協会 利率と利回りより引用
一般に、利回りは数値が低ければ低い程、ローリスク・ローリターン、高ければ高い程、ハイリスク・ハイリターンであるとされますが、主な利回りの数値と目安は以下の解説の通りです。
●超安定運用(期待値利回り1%)
日本の国債や社債をメインに組み入れたポートフォリオを組む。国内の債券は発行元(国や企業など)が破綻しない限り元本割れしないのでローリスク。超安定志向に向いている。
●安定運用(期待値利回り3%)
日本の債券・株式、欧米や先進国の債券・株式を組み入れたポートフォリオをバランスよく組む。為替変動の影響がある分ややリスクは上がるが、海外は先進国の投資信託をメインとするため、リスクは抑えられる。
●標準レベル(期待値利回り5%)
ローリスク・ローリターンの日本債券はポートフォリオに組み込まず、利回りの高い先進国債券型をメインで組み入れ。半分は株式型投信で積極な運用をしたい方向け。当然、リスクは高くなってくる。
●超積極運用(期待値利回り8%)
先進国と新興国の株式の投信をメインにポートフォリオを組む。新興国株式の割合を増やすと、さらに期待利回りは高くなるものの、かなりの価格変動リスクを負うので、積極的な資産形成をしたい方向け。管理人はあまりお薦めしない。
すでに解説をした投資目標が決まっていることで、目標金額を達成するためには、年利回りを何%にしなければならないのか、自ずと数値が決まってくるため、難しいことを考える前に、「いつまでにいくら積立投資でお金を用意しておく必要があるのか」といった基本的な部分を明確にしておくことが大切です。
参考 積立投資をはじめるまえにはポートフォリオを組むべし!ポートフォリオの組み方を解説
4. 長期の積立投資をするときに外せない3つのポイント
本記事の最後に、長期的な積立投資をするときに気を付けて欲しい3つのポイントとして「質の良い投資信託選びをマスターする」「ランニングコストとなる手数料はできるだけ安く抑える」「分配型ではなく再投資型の投信を選び複利のパワーを活かす」といったポイントについて解説していきます。
質の良い投資信託選びをマスターする
積立投資は「投資」であり、投資目標を達成することが最大の目的であることを踏まえますと、質の良い投資信託を選んで購入することができなければ目標金額を達成するのは難しくなります。
ここで言う「質の良い投資信託」とは、以下の通りです。
- コストが安い(3-2で解説)
- 長期的なリスクとリターンの関係が良好
- 運用資金の大きさと資金推移が良好
長期的なリスクとリターンの関係を確認するためには、「トータルリターン」や「シャープレシオ」と呼ばれる数値を確認することで足ります。
いずれの数値も「大きければ大きい程、優れている」ものであり、トータルリターンは1年や3年といった短いものではなく10年など比較的長い年数のもので判断するようにして下さい。
運用資金の大きさと資金推移が良好なことを確認するためには、「純資産総額」を見て数値が大きいかどうかをまずは確認していき、大きければ大きい程、まずは良いと判断することができます。
この時、資金の推移も同時に確認することを忘れないようにしなければなりません。
年数が経過しているのと同じように運用資金が流入(増えている)かどうかを確認し、逆に資金流出が目立つような投資信託は控えるような判断をする必要があります。
ランニングコストとなる手数料はできるだけ安く抑える
積立投資(投資信託)の手数料には、「販売手数料(購入時手数料)」「信託報酬(運営管理費)」「信託財産留保額(解約手数料)」の大きく3つに分けられる特徴があります。
積立投資は、毎月少しずつ投資信託を購入しながら資産運用をするといった特徴があることから、少なくとも、投資信託を購入する都度、発生する「販売手数料(購入時手数料)」の毎月の負担は避けたいものです。
これを避けるための具体的な方法としては、ノーロード投資信託と呼ばれる販売手数料が無料の投資信託がネット証券などで販売されており、これを選ぶことによって毎月購入の都度確実にかかるコストの削減を図ることができます。
また、信託報酬が安い投資信託(ファンド)や信託財産留保額(解約手数料)が無料の投資信託もあり、種類は実に豊富です。
コストが安いだけでは良い投資信託とは言い切れませんが、積立投資で得ることができたお金(運用益)を減らすことが避けられるのは確かですので、コストを意識した投資信託選びはとても大切なポイントと言えます。
分配型ではなく再投資型の投信を選び複利のパワーを活かす
投資信託には、「分配型」や「再投資型」と呼ばれる種類があり、大きな資産形成をするためには、「再投資型」を選んで複利のパワー(複利効果)を活かすことが鉄則になります。
運用益を都度受け取る分配型と運用益を投資元本と共に再度投資する再投資型では、複利のパワーによる影響度合いが大きく違うことになり、長期の資産運用をする積立投資におきましては、資産運用の開始当初は差が見られないものの、後に雲泥の差が生じることは言うまでもありません。
参考 積立投資をする場合、毎月分配型を選んではいけない
参考 積立投資なら再投資型ファンドを選ぼう!再投資型のメリット・デメリットを紹介
5. まとめ ~積立投資は何年やるべきなのか?投資をする期間について解説~
積立投資を行う上での投資期間は、固定して考えるのではなく、「いつまでにいくら積立投資でお金を用意しておく必要があるのか」といった投資目標を決めて考えることが大切です。
併せて、この投資目標をより確実に達成するためには、前項で解説した「質の良い投資信託選びをマスターする」「ランニングコストとなる手数料はできるだけ安く抑える」「分配型ではなく再投資型の投信を選び複利のパワーを活かす」といった3つのポイントをしっかりと押さえて資産運用をすることも求められます。
積立投資で運用益を上げるためには、一見難しそうなイメージを持たれる皆さまが多いと思いますが、前述したポイントのほか、1つひとつの要点をしっかりと押さえておくことで十分に足ります。
本記事では、積立投資の投資期間についての解説でしたが、これから積立投資を始めることで自分の思い描いている資産形成を行っていこうと考えている皆さまには、積立投資でお金が儲かるタイミングと損をしてしまうタイミングもあらかじめ知っておくべきだと思います。
これを知ることで、ますます積立投資で資産形成ができる良いイメージを確立することができると思われます。
参考 積立投資は儲かるの!?積立投資が儲かるタイミングと損するタイミング
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