iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の生活資金を貯めながら増やすことができる制度で、かつ、節税効果も受けられることから、老後資金を準備するための目的に非常に優れている制度になります。
一方で、iDeCoのお金の受け取り方には独特なルールが設けられており、60歳になるまでお金を引き出すことができないほか、60歳になった後は、お金の受け取り方について、「年金(分割)」「一時金(一括)」「左記2つを併用」の3つから、ご自身で選択しなければなりません。
これら3つのお金の受け取り方には、それぞれメリットや注意点があるのは確かですが、本記事では、仮に、iDeCoで1000万円のお金を資産形成できたものと仮定し、このお金を年金(分割)で受け取るイメージをまとめて紹介していきます。
1. iDeCoで作った資産の年金(分割)受取りイメージを大まかに紹介
iDeCoで資産形成したお金は、60歳から年金(分割)受取りすることが可能ですが、実のところ、iDeCoを始めた運営管理機関(金融機関)によって、年金(分割)受取りにルールを設けており、すべて同じではないことに注意が必要です。
出典 iDeCo公式サイト iDeCoってなに? 受取方法についてより引用
上記解説より、iDeCoは、これまで資産運用をした運営管理機関(金融機関)が定めている5年以上20年以下といった年金(分割)受取り期間で支給されることが確認できます。
以下、参考までに、インターネット証券会社大手にあたる「SBI証券」および「楽天証券」における、iDeCoの年金(分割)受取り期間がどのような取り扱いになっているのか紹介しておきます。
SBI証券の場合
出典 SBI証券 掛金の拠出から受取開始までの流れ 給付金の受取より引用
SBI証券でiDeCoのお金を年金(分割)受取りする場合は、「5年または10年の期間を選択し、分割で受け取ることもできます」とされていることから、5年間で年金(分割)受取りするか、10年間で年金(分割)受取りするかの二者択一であることが確認できます。
楽天証券の場合
出典 楽天証券 個人型確定拠出年金(iDeCo)の給付 受取期間より引用
楽天証券でiDeCoのお金を年金(分割)受取りする場合は、「5年以上20年以下の期間から、1年刻みで選択することができます」とされていることから、たとえば、8年や12年などのように、ご自身のリタイアメントプランやその他の事情に合わせて自由に受取り期間を設定できる点は大きな強みであると言えます。
また、「年間支給回数」も、以下、6つの中から自由に選択することが可能であるため、公的年金の支給月や支給金額などと照らし合わせて、足りない部分を補填する受取り方も可能となり、こちらもユーザビリティーに富んでいると考えられます。
出典 楽天証券 個人型確定拠出年金(iDeCo)の給付 年間支給回数・支給月より引用
2. 年金(分割)受取りをする際は、あらかじめ税金がかかるかどうかを確認しておく
iDeCoで資産形成したお金を年金(分割)受取りする際は、あらかじめ税金がかかるかどうかを確認しておくことが極めて重要になります。
たとえば、1,000万円を60歳から5年間で受取りする場合と5年間を超えて受取りする場合は、税法上、大きな違いが生じるほか、毎年受け取る金額や年齢によっても大きな違いが生じることになるため、特に注意が必要です。
以下、iDeCoで資産形成したお金について、年金(分割)受取りをする場合の税金計算例を紹介しますので、参考にされてみることをおすすめ致します。
1,000万円を60歳から5年間で受取りする場合
1,000万円を60歳から5年間で受取りする場合は、1年あたりに受け取るお金は「200万円(1,000万円÷5年)」となります。
この200万円が、1年間の年金収入にあたり、税法上、雑所得として税金が課される対象になるのですが、ここでは、国税庁のホームページを参考に具体的な計算を以下で紹介していきます。
出典 国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係 3 公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法より引用
本項の計算において、60歳から5年間をかけてお金を受け取ることになっているため、上記表の年齢は「65歳未満」に該当し、かつ、1年間の収入が200万円であることから、(a)公的年金等の収入金額の合計額が、1,300,000円から4,099,999円までの部分を下に計算します。
公的年金等に係る雑所得の金額=(a)×(b)-(c)
上記表の計算式にそれぞれの金額を置き換えて計算しますと、1年間の公的年金等に係る雑所得の金額は、以下のように計算されます。
2,000,000×75%-375,000=1,125,000
仮に、所得控除が基礎控除のみであったとすると、1年間で納めるべき所得税および住民税は、以下のようになると推測されます。
- 納めるべき所得税および復興特別所得税 38,000円
- 納めるべき住民税 79,500円
200万円受け取ったお金の内、1年間を通じて117,500円の税金を納めなければならないことがわかり、これが5年間続くとなると大きなロスになることも確認できます。
1,000万円を60歳から10年間で受取りする場合
次に、1,000万円を60歳から10年間で受取りする場合を確認していきます。
1,000万円を60歳から10年間で受取りする場合は、1年あたりに受け取るお金は「100万円(1,000万円÷10年)」となります。
この100万円が、1年間の年金収入にあたり、前述した解説と同じように計算してみます。
出典 国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係 3 公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法より引用
本項の計算において、60歳から10年間をかけてお金を受け取ることになっているため、当初の5年間は、上記表の年齢は「65歳未満」に該当し、5年目以降10年目までは、「65歳以上」に該当します。
また、1年間の収入が100万円であることから、(a)公的年金等の収入金額の合計額が、700,001円から1,299,999円までの部分を下に計算します。
公的年金等に係る雑所得の金額=(a)×(b)-(c)
上記表の計算式にそれぞれの金額を置き換えて計算しますと、60歳から65歳までにおける1年間の公的年金等に係る雑所得の金額は、以下のように計算されます。
1,000,000×100%-700,000=300,000
仮に、所得控除が基礎控除のみであったとすると、1年間で納めるべき所得税および住民税は発生しません。
1,000万円を60歳から20年間で受取りする場合
本項の最後に、1,000万円を60歳から20年間で受取りする場合を確認していきます。
1,000万円を60歳から20年間で受取りする場合は、1年あたりに受け取るお金は「50万円(1,000万円÷20年)」となります。
この50万円が、1年間の年金収入にあたりますが、前述した解説と同じように計算しますと、20年間に渡って受け取ったお金50万円に対して税金が発生することはありません。
ただし、iDeCoを年金(分割)で受取りする場合には、次項で解説する手数料の注意点がありますので、この部分をあらかじめ踏まえておかなくてはなりません。
3. 年金(分割)の場合は、お金を受取りする都度、給付手数料(432円/回)がかかる
iDeCoで資産形成したお金を受け取る場合で、年金(分割)を選んだ場合は、そのお金を受取りする都度、給付手数料(432円/回)がかかる点に注意が必要です。
出典 楽天証券 個人型確定拠出年金(iDeCo)の給付 年間支給回数・支給月より引用
iDeCoで資産運用をした運営管理機関(金融機関)によって異なりますが、たとえば、年12回(毎月)お金を受け取る方法を選んだとしますと、年間5,184円の手数料が徴収されることになりますので、とても無駄なロスと考えられます。
このように、お金を受取りする回数が多ければ多いほど、無駄な手数料を多く負担しなければならなくなってしまう注意点がありますので、あらかじめ押さえておくことが大切です。
4. 年金(分割)で受取りする場合、残っているお金は運用される
出典 楽天証券 個人型確定拠出年金(iDeCo)の給付 老齢年金で受け取る場合:支給額の計算方法より引用
iDeCoで資産形成したお金を年金(分割)で受取りする場合、iDeCo内に残っているお金は引き続き資産運用されていくことになります。
そのため、資産が増えることも、減ることもあるため、このようなリターンやリスクの関係を考慮した上でお金の受取り方法を選択する必要性もあるでしょう。
5. iDeCoで作った資産は、どのように受取りするのが最善なのか?
出典 楽天証券 個人型確定拠出年金(iDeCo)の給付 老齢給付金の受取方法(年金と一時金)より引用
iDeCoで作った資産の受取方法は「年金(分割)」「一時金(一括)」「年金(分割)と一時金(一括)を合わせた併用」の3つがありますが、これらの内、どのように受取りするのが最善なのか?気になる方も多いと思います。
この最善策を考える上で重要なことは、すでに解説した税金が受取り方法によって変わることがあげられます。
- 1,000万円を60歳から5年間で受取りする場合
- 1,000万円を60歳から10年間で受取りする場合
- 1,000万円を60歳から20年間で受取りする場合
上記3つの例について税金が発生するのかどうかをシミュレーションした例を紹介させていただきましたが、「1」では、毎年税金が発生することになるため、ロスが大きく選択肢としては最善策とは言えません。
そのため、「2」か「3」のいずれかを選ぶ方が得策であると考えられますが、iDeCoのお金を年金(分割)で受取りする場合は、お金を受取りする都度、給付手数料(432円/回)がかかります。
この事情を踏まえますと、「2」の方が「3」よりも受取り期間が短いため、手数料のロスを少なくさせられる理由から、「2」が良いとも考えられます。
一方、iDeCoのお金を年金(分割)で受取りする場合、残っているお金は引き続き資産運用されることから、長い時間をかけてお金を受取りするということは、その間、資産運用されることによって、リターンが期待できる可能性も含んでいるため、「3」の方が良いといった考え方もあり、どちらが最善とは、はっきり言い難い部分もあります。
このようなことから、本記事の例につきましては、「1」は確実に避けなければならない選択肢であることは確かですが、「2」と「3」につきましては、ご自身の考え方や将来受取りすることになる公的年金支給額および老後生活を考慮した上で、決定するのが望ましいでしょう。
参考 iDeCoのお金を一時金(一括)で受取りする場合の取り扱い
iDeCoのお金は、60歳になってから受取りすることができますが、仮にiDeCoのお金を一時金(一括)で受取りする場合は、退職金としての取り扱いになることが、税法上決まっており、退職所得として計算されることになっています。
そのため、会社員の方で定年退職に伴う勤務先からの退職金とiDeCoのお金をまとめて受取りする場合は、どちらの収入も合算して退職所得が計算されることになります。
以下、簡単なイメージを紹介しますので参考にされてみて下さい。
- 勤務先からの退職金 850万円
- iDeCoで一括受取りするお金 1,000万円
- 勤続年数 30年
- iDeCoへの加入年数 35年
上記の前提条件のみを参考例として、退職所得の計算をしてみます。
- 退職収入 1,850万円(850万円+1,000万円)
- 退職所得控除額 1,850万円(以下、参考)
出典 国税庁 退職所得控除額の計算方法より引用
※勤続年数とiDeCo加入年数が異なる場合は、いずれか長い年数を(A)にあてはめて計算します。
- 退職所得 (1,850万円-1,850万円)×2分の1=0円
iDeCoで1,000万円を一括で受取りできる場合に注意しなければならないポイントは、以下の通りです。
- iDeCoの他に退職金はあるのか
- 勤続年数は何年なのか
- iDeCo加入年数は何年なのか
上記3つの内容がわからないと、税金がそもそも発生するのかが判断することができないため、注意が必要です。
6. まとめ
本記事では、iDeCoで作った1,000万円の年金(分割)受取りイメージをまとめて紹介させていただきましたが、iDeCoで作った資産の受取りイメージをそれぞれ大まかに知っていただくことができたのではないでしょうか。
iDeCoのお金を年金(分割)受取りする場合は、税金の有無、手数料総額の2つは最低でも重視しておかなければならないことがわかりました。
また、iDeCoを資産運用した運営管理機関(金融機関)によって、年金(分割)による受取り期間が異なることも、SBI証券や楽天証券の例で確認することができたと思います。
ただし、これらの取り扱いは今後予告することなく変更される場合もあることから、仮に、iDeCoを将来、年金(分割)で受け取ることを予定している方であれば、あらかじめ運営管理機関(金融機関)に対して、どのような取り使いになっているのか確認しておくことが望ましいでしょう。
iDeCoのお金を年金(分割)で受け取る場合は、本記事で解説した様々な要因を総合的に加味して最善策を決定することになりますので、不安な場合や自分にとっての最善策が知りたい場合は、時には、FPなどの専門家へ相談してみるのも良いかもしれません。
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