iDeCoは、2017年(平成29年)1月1日から施行された法改正によって、専業主婦(主夫)や公務員も加入することができるようになりました。
iDeCoの最大の特徴は、節税をしながら老後の生活資金を準備することができる部分になることから、専業主婦といった職業の方にとってみますと、将来の年金不安が大きな問題となっており、とても興味深い制度であると考えられます。
では、専業主婦がiDeCoに加入することによって得られるメリットやデメリットには、どのようなものがあるのでしょう?
本記事では、専業主婦(主夫)が、iDeCoに加入するものとして、それぞれのメリットおよびデメリットについて解説を進めていきたいと思います。
1. まずは、iDeCoがどういう制度かについて、重要性と共に理解しよう
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、ざっくり一言で申し上げれば「老後の資産を作るための最高の制度」です。
昨今、将来の年金問題が多くの皆さんの懸念を生じさせておりますが、これに追い打ちをかけて、年金の支給開始年齢が、現在の65歳から70歳や75歳に引き上げられることも検討されているといったとんでもない話になっているのは紛れもない事実です。
専業主婦の方であれば、65歳から支給される年金は、会社などへ勤めていた方のように厚生年金と国民年金が両方支給されるのではなく、国民年金のみとなりますので、受け取ることができる金額が少ないだけでなく、年金が支給開始となる65歳までの「空白の5年間」を、どのようにして生活していくのか?といった問題が生じます。
たとえば、旦那さんの退職金が十分な金額ではない場合、死活問題にもなり兼ねませんし、定年退職から引き続き再雇用を希望している場合、一応、法律上では再雇用しなければならないことになっているとはいえ、確実に再雇用で働ける保証もないと考えた時、備えや対策を取っておかないことは大変だと誰もが思うのではないでしょうか。
このような時のための対策として役に立つのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の資産を作るために、自分でお金を拠出して資産運用をする方法で、毎月一定金額を積立して老後のために備えるといったイメージになります。
2. 専業主婦(夫)が拠出できる1ヶ月の金額は決まっている
iDeCoの掛金は、「月々5,000円以上1,000円単位」と決まっており、さらに、現在の職業(正式には国民年金法に基づいた種別)によって、iDeCoに加入することができる1ヶ月の掛金に上限があります。

出典:iDeCo公式サイト iDeCoをはじめよう 加入するまでの流れより一部引用
専業主婦(夫)が、iDeCoで拠出できる1ヶ月の金額は、月額23,000円までと決まっており、この上限を超えて加入することはできません。
なお、iDeCoの掛金額を決めるにあたりまして、基本的に60歳にならないと引き出せないといったiDeCoのデメリットを考慮した上で、無理なく継続して拠出できる掛金額を設定する必要があります。
また、iDeCoの掛金額は、1年(毎年4月~3月までの間)に1回だけ変更することができるため、家計の状況の変化に合わせて、掛金額の増減ができることも押さえておきたいポイントです。
3. iDeCoに加入する場合のメリット・デメリットを整理してみた
これまでiDeCoとはどのような制度なのか、専業主婦(夫)が拠出できる1ヶ月の金額について解説を進めてきましたが、ここでは、職業を問わず、iDeCoに加入する場合のメリットとデメリットについて紹介していきます。
メリット
- 掛金が全額所得控除
- 運用益も非課税
- 年金受給時も税制優遇
- 国が支援する制度のため安心
デメリット
- 手数料がかかる
- 原則60歳までは、お金を引き出すことができない
- 年間の投資上限額が、職業などによって決まっている
上記のメリットおよびデメリットは、職業を問わず共通している事項になりますが、実際に恩恵が受けられるiDeCoの効果は、加入している方の職業や掛金、資産運用している金融商品によって違いが生じることになります。
では、専業主婦(夫)がiDeCoを始めることによるメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょう?
4. 専業主婦(夫)が、iDeCoに加入するメリット
専業主婦(夫)が、iDeCoに加入するメリットは、老後の生活資金が増加するため、支給される金額が少ない国民年金の補填として利用できることに尽きます。
単に専業主婦(夫)と言っても、一時的な専業主婦(夫)であるのか、生涯を通じて専業主婦(夫)で人生を送っていくのかによって、iDeCoへの加入について検討の仕方が異なってくるため、メリットを最大限に活かす意味でも、この辺を明確にしつつ、FPや社会保険労務士といった専門家にアドバイスを求めるのも一策です。
5. 専業主婦(夫)は、iDeCoをやるべきではない!と言われる理由(デメリット)
iDeCoに加入することで受けられる優遇の中でも、確実に優遇が受けられるものとして、「掛金が全額所得控除」といったメリットがあります。
しかし、多くの専業主婦(夫)の皆さんは、税金対策として「配偶者控除」が適用される年収の範囲内で就労し、かつ、社会保険の扶養に加入できる範囲内で就労調整をしている方が多いのが現状です。
そのため、基本的には、税金を納める必要がないことから、iDeCoに加入することで受けられる「掛金が全額所得控除」といった恩恵を活かすことができない点が最大のデメリットといえます。
併せて、iDeCoに加入した場合にかかる維持管理手数料や投資信託で資産運用をした場合における信託報酬も高めであることを踏まえますと、資産運用を余程、上手くやっていかなければ、iDeCoのメリットを最大限活かすことができない結果に繋がります。
インターネットなどで調べてみますと「専業主婦はiDeCOで投資するメリットがない」と書かれているのが、多いのですが、次項では、シミュレーションを交えながら、はたして本当にそうなのか?検証して紹介していきます。
専業主婦(夫)の働き方とiDeCoの加入効果の関係をシミュレーション
先の解説と重複致しますが、専業主婦(夫)の多くは、税金対策や社会保険における扶養対策の関係で就労を制限することで収入を調整している傾向が多く見られます。
そこで、ここでは、専業主婦(夫)の皆さんが、1ヶ月に加入できる最大金額23,000円を1年間掛け続けた場合における効果について、それぞれシミュレーションし、表にまとめて紹介します。
専業主婦(夫)が、iDeCoに1ヶ月23,000円、年間276,000円を拠出した場合
項目 | 年収103万円以下 | 年収130万円以下 | 年収130万円超え |
---|---|---|---|
所得控除のメリット | 無し | 有り | 有り |
所得税および住民税 | 負担無し | 所得税の負担無し住民税の負担有り | 年収金額によって、どちらの負担も生じる |
配偶者控除の適用 | 有り | 無しただし、配偶者特別控除が適用できる | 無し年収141万円を超えると配偶者特別控除も適用されない |
社会保険の扶養 | 対象 | 対象 | 対象外 |
平成29年12月現在の法令に基づいて管理人作成
年収103万円以下の場合
そもそも所得税が発生しないため、iDeCoの所得控除のメリットがありませんが、配偶者控除および社会保険の扶養の対象となることから、わかりやすい無難な働き方として選択する方が多い傾向にあります。
年収130万円以下の場合
iDeCoに、年間276,000円を拠出した全額が所得控除の取り扱いとなるため、所得税の負担が無くなり、住民税の負担が軽減される効果が認められます。
社会保険の扶養対象にもなるものの、配偶者控除ではなく配偶者特別控除の取り扱いとなるため、相手の配偶者(旦那さんなど)が受けられる所得控除額が、配偶者控除に比べて少なくなります。
年収が130万円を超える場合
配偶者(夫など)の扶養から外れてしまい「第3号被保険者」でもなくなります。
職場で厚生年金や社会保険に加入していない場合は、「第1号被保険者」扱いになるため、ご自身で国民年金保険料を支払うほか、国民健康保険に加入しなければならないことから、負担が無駄に多くなり、最も避けなければならない働き方といえます。
6. iDeCoのメリット・デメリットを専業主婦(夫)に当てはめてまとめてみた
これまでの解説より、専業主婦(夫)の場合におけるiDeCoの加入メリットおよびデメリットを当てはめて、以下の表にまとめてみました。
メリット | 評価 | 説明 |
---|---|---|
掛金が全額所得控除 | × | 所得控除のメリットを活かすことはできない |
運用益も非課税 | ○ | iDeCoをやるメリットになる |
年金受給時も税制優遇 | ○ | iDeCoをやるメリットになる |
国が支援する制度のため安心 | ○ | 安心して投資することができる |
デメリット | 評価 | 説明 |
手数料がかかる | × | 積立投資をしたほうが手数料はかからない |
原則60歳までは解約できない | × | 積立投資をしたり、NISAのほうが自由度が高い |
年間の投資上限額が決まっている | × | 積立投資やNISAのほうが上限額が高い |
これらの結果を踏まえまして、専業主婦(夫)は、iDeCoをやるべきではないのか? 次項で総括していきます。
7. 専業主婦(夫)は、iDeCoをやるべきではないのか?
専業主婦(夫)は、将来の年金額が少ないことが十分に予測されることから、一概にiDeCoに加入しない方が良いとは言い切れない部分があります。
しかしながら、iDeCoは、自分のお金を拠出して資産運用をすることを踏まえますと、それぞれの家計状況によって加入の判断が極めて重要になることは言うまでもありません。
そのため、iDeCoに加入する効果が確実に認められる旦那さん(家計の主たる者)へ加入させる方が、世帯全体を考慮した時に効果が確実に認められることになります。
つまり、本項の結論として、専業主婦(夫)は、iDeCoに加入しても良いが、旦那さんに加入させる方を最優先で検討するべきです。
仮に、専業主婦(夫)の方が、将来の資産形成を考えるのであれば、iDeCoに加入することも良いものの、特に、平成30年1月より始まる「つみたてNISA」を選ぶことをオススメします。
補足解説 iDeCoに加入する際の節税対策における注意点
専業主婦(夫)の方であれば、配偶者が家計の収入を多く得られていることになると考えることができますが、仮に、専業主婦がiDeCoに加入する場合、名義は奥さんですが、掛金の支払いは旦那さんが負担するといったことが一般的に考えられます。
この時、旦那さんは、支払った全額について所得控除が適用されるのでしょうか?
こちらの結論として、残念ながらできない決まりになっています。
したがいまして、前項で解説した内容というものが、家計にとって有利になる理由の1つであると考えられるわけです。
8. まとめ ~主婦がiDeCo(個人型確定拠出年金)をやるメリット・デメリット~
本記事では、専業主婦(主夫)が、iDeCoに加入するものとして、それぞれのメリットおよびデメリットについて解説を進めさせていただきました。
それぞれの世帯によって専業主婦(夫)がiDeCoに加入するべきか、否かの判断は分かれることになりますが、基本的には、旦那さんなど家計の主たる者に対してiDeCoに加入する方が、より大きな効果が期待できることは確かです。
本記事中では解説を致しませんでしたが、仮に、旦那さんが加入したiDeCoで形成された資産は、将来、相続等によって奥さんが引き継ぐこともできるため、現時点で世帯のどちらが加入した方が得策なのかをシミュレーションして検討することが大切になります。
また、専業主婦(夫)という職業が、一時的なものなのか、将来に渡って専業主婦(夫)なのかによっても、考え方を変えていく必要があるため、時には、FPなどの専門家に相談しながら効果的にiDeCoを活用する考え方が大切です。
自己責任で資産形成金額が大きく変わるiDeCoであるからこそ、失敗しない活用方法を確実に行うことが将来に差が付く大きなポイントになりことは間違いありません。
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