iDeCoの所得控除をわかりやすく解説。どれくらい控除されるか計算してみた

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で自分の老後のお金を準備するための制度をいい、税金を少なくしながらお金を貯められるといった大きなメリットがあります。

実際に受けられる税金のメリットは、現在、就いている職業によって大きく異なりますが、本記事では、iDeCoに加入することによって受けられる所得控除について基本的な部分から計算の仕方までわかりやすく解説していきます。

1. そもそも自分は、iDeCoに加入することができるのか?

iDeCoの所得控除について解説をする前に、そもそも自分はiDeCoに加入することができるのか?といったことについて確認しておかなければ、これから解説するすべての内容が無意味なものになってしまいます。

すでにiDeCoの加入資格があると分かっている方は、本項を読み飛ばしていただいて結構ですが、加入資格が不明な場合や曖昧な場合は、iDeCo公式サイト内にある「カンタン加入診断」より加入資格があるかどうかを確認することをおすすめ致します。


出典:iDeCo公式サイト iDeCoをはじめよう カンタン加入診断

なお、重要な注意事項として、国民年金保険料の免除又は猶予を受けている方は原則として、iDeCoに加入することができません。

また、企業型確定拠出年金の加入者の場合、事業主が企業型確定拠出年金規約を変更しなければならないなどの諸条件がありますので、詳しくは運営管理機関(金融機関)などに電話などで直接相談することをおすすめ致します。

2. iDeCoの最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象になること

iDeCoの最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象になることによって納めるべき所得税や住民税の負担が少なくて済むといったところにあります。

つまり、iDeCoに加入して資産運用を続けるだけで、納めるべき税金の負担が少なくて済む効果が確実に、かつ、誰でも得られることを意味します。

おそらく、多くの皆さまが気になることとして、そもそも「所得控除」とは、どのようなことをいうのだろう?といったことだと思われますが、次項では所得控除について解説を進めていきます。

3. 所得控除ってそもそも何?

所得控除とは、個人が納める所得税額等を計算するときに、それぞれの個人的事情を加味しようとするために設けられている制度のことをいいます。

たとえば、専業主婦(夫)を扶養している場合は、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」といった所得控除が受けられることによって税負担が軽くなります。

また、高校生や大学生の子どもを扶養している場合などは、「扶養控除」といった所得控除が受けられることによって税負担が軽くなるといったように、個人的事情を加味することで、税負担の公平性を保っている仕組みが所得控除にあたります。

なお、所得控除の種類は、以下の通りです。

  1. 雑損控除
  2. 医療費控除
  3. 社会保険料控除
  4. 小規模企業共済等掛金控除
  5. 生命保険料控除
  6. 地震保険料控除
  7. 寄附金控除
  8. 障害者控除
  9. 寡婦(寡夫)控除(この控除は女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。)
  10. 勤労学生控除
  11. 配偶者控除(配偶者特別控除)
  12. 扶養控除
  13. 基礎控除

参考:国税庁 No.1100 所得控除のあらまし

iDeCoに加入することによって支払った掛金は、4の小規模企業共済等掛金控除にあたり、1月1日から12月31日までの1年間で支払った掛金の全額を所得控除として適用することができる仕組みとなっています。

なお、納めるべき税金の金額が算出されるまでの流れは、以下の通りです。


参考:http://www.dcnenkin.jp/tax/

たとえば、年収600万円の36歳会社員Aさんが、iDeCoに1月から23,000円ずつ拠出して資産運用を始めたものと仮定し、妻34歳(専業主婦)、子供(5歳)といった家族構成の場合における税負担金額について上記イメージ図を下に計算してみます。

なお、給与から天引きされる社会保険料は90万円とし、その他の事情は加味しないものとします。

(1)収入金額 600万円

年収600万円が、収入金額にあたります。

(2)給与所得控除後の金額 426万円

例の場合、給与収入600万円に対する給与所得といった金額を求める必要があり、こちらは、国税庁のツールから簡単に算出することが可能です。


参考:国税庁 No.1410 給与所得控除

収入金額を入力し、「計算する」をクリックすることで、給与所得が426万円と画面に表示されます。

(3)課税される所得金額 232.4万円

課税される所得金額は、「課税総所得」と呼ばれ、②で計算した給与所得から所得控除を差し引いた金額となります。

つまり、Aさんが適用できる所得控除の合計金額がいくらになるのか、計算しておかなければ、課税総所得が算出されないことを意味します。

なお、Aさんの所得控除は、以下の通りです。

所得控除 控除金額 控除内容
社会保険料控除 90万円 給与から天引きされた1年間の社会保険料が該当
配偶者控除 38万円 専業主婦にあたる奥さんを扶養していることによって受けられる控除。子どもは、5歳であることから年少扶養に該当し、扶養控除の対象外となる
小規模企業共済等掛金控除 27.6万円 iDeCoに拠出した1年間の掛金相当額が該当
基礎控除 38万円 誰にでも認められている所得控除

Aさんが1年間に受けられる所得控除合計は、193.6万円になることがわかり、②で計算した426万円から193.6万円を差し引いた232.4万円が課税総所得に該当します。

(4)所得税額 134,900円(復興特別所得税除く)

③で計算された232.4万円に対して税金がかかることになりますが、国税庁では「所得税の速算表」といったものを定めており、これに沿って納めるべき税金が算出されることになります。

所得税の速算表

課税される所得金額(課税総所得) 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円

出典:国税庁 No.2260 所得税の税率

課税総所得が232.4万円ということは、「195万円を超え330万円以下」の欄に該当することから、税率は10%、控除額は97,500円であることが確認できます。

これにあてはめて所得税額を計算すると以下のようになります。

232.4万円×10%-97,500円=134,900円(納めるべき所得税)

Aさんは、1年間で134,900円の所得税(復興特別所得税は加味されていない)を納めれば良いといった見方になるわけです。

4. iDeCoに加入することで、どれくらい税金が安くなるかをまとめてみた

iDeCoに加入することで、実際に適用となる所得控除は、それぞれの職業や掛金などによって異なりますが、ここでは、実際、iDeCoの投資上限額まで投資をした場合、年間どれくらいの節税効果があるかを以下の表へまとめてみました。

なお、概算計算にあたり復興特別所得税は加味しておりません。

所得税と住民税の概算節税効果一覧

課税総所得 税率  住民税 年間掛金(職業等)
所得税 144,000円
(公務員や確定給付企業年金、厚生年金基金に加入している会社員等)
276,000円
(専業主婦(夫)や会社に企業年金がない会社員)
816,000円
(自営業者・フリーランス等)
195万円以下 5% 一律10% 21,600円 41,400円 122,400円
195万円超330万円以下 10% 28,800円 55,200円 163,200円
330万円超695万円以下 20% 43,200円 82,800円 244,800円
695万円超900万円以下 23% 47,520円 91,080円 269,280円
900万円超1800万円以下 33% 61,920円 118,680円 350,880円
1800万円超4000万円以下 40% 72,000円 138,000円 408,000円
4000万円超 45% 79,200円 151,800円 448,800円

たとえば、前項で解説した例と同じように、年収600万円の36歳会社員Aさんが、iDeCoに1月から最大限加入して資産運用を始めたものと仮定し、妻34歳(専業主婦)、子供(5歳)といった家族構成の場合における実際のiDeCoの節税効果を計算してみます(オレンジ色の部分に該当します)

なお、企業年金のない会社に勤めており、給与から天引きされる社会保険料は90万円とし、その他の事情は加味しないものとします。

内容 iDeCo加入 iDeCo未加入
給与所得 4,260,000円
所得控除額合計 1,936,000円 1,660,000円
課税総所得 2,324,000円 2,600,000円
所得税 134,900円 162,500円
住民税 244,800円 272,500円
節税効果 55,300円

iDeCoに加入することで1年間の節税効果は55,300円も生じる結果となりました。

実際に計算した節税効果(復興特別所得税は含んでおりません)と概算一覧表の誤差は100円のみであったことから、ご自身の課税総所得さえ分かれば、iDeCoの節税効果を一覧表にあてはめることで簡単に概算節税金額を知ることが可能であると推測されます。

なお、復興特別所得税も含めて詳細にiDeCoの節税効果を計算したい場合は、源泉徴収票や確定申告書を手元に準備して以下の労金シミュレーターを活用してみることをおすすめ致します。

参考:労金 加入時の非課税効果を確認!|節税シミュレーター

5. iDeCoの掛金について、所得控除を適用させる方法とは

iDeCoに1年間支出した掛金は、全額所得控除になることをはじめ、その節税効果をご理解いただくことができたと思いますが、実際に所得控除を適用させるためには、年末調整や確定申告といった1年間の税金を清算する手続きにおいて反映させることが必要です。

具体的には、申請に必要な書類(小規模企業共済掛金払込証明書)が、毎年10月頃に国民年金基金連合会から送られてくることになり、それに記載されている内容を年末調整や確定申告に必要な用紙へ記載することで足ります。

会社員・公務員など(第2号被保険者)の場合

毎年、年末調整のタイミングで会社から「給与所得者の保険料控除申告書」が配布されますので、右隅の欄に以下のイメージ図のような記載箇所があるため、そこへ金額を記載し、併せて小規模企業共済掛金払込証明書を添付することで適用が可能となります。

個人事業主・自営業者(第1号被保険者)の場合

個人事業主などの自営業者や会社員などで確定申告をする必要がある方も基本的な手続きは同様で、小規模企業共済掛金払込証明書に記載されている金額を以下の確定申告書「第一表」「第二表」のそれぞれに記載することで足ります。

小規模企業共済掛金払込証明書の添付は、年末調整および確定申告のいずれも必要ですが、確定申告を税理士などの専門家に依頼している場合は、小規模企業共済掛金払込証明書を渡すことで手続きを代わりに行ってくれるため、難しいことを考える必要がないだけでなく手間が省けます。

●第一表

●第二表

6. iDeCoで適用される所得控除の注意点

本記事の冒頭では、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で自分の老後のお金を準備するための制度をいい、税金を少なくしながらお金を貯められるといった大きなメリットがあることや、実際に受けられる税金のメリットは、現在、就いている職業によって大きく異なる旨をお伝えしました。

ここには1つ大きな落とし穴が隠されており、会社員や公務員、黒字の自営業者などであれば、基本的に納めるべき税金が発生することから、iDeCoに加入することによって所得控除が適用され、納めるべき税金が少なくなる効果が得られます。

しかし、赤字の自営業者、専業主婦(夫)やフリーランス、無職の方など、そもそも納める税金が無いと判断される状況に置かれている方であれば、所得控除の適用があったとしても納めるべき税金が基本的に変わらない可能性が高く、所得控除の効果が得られないと推測されます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で自分の老後のお金を準備するために、税金を少なくしながらお金を貯められる制度でありますから、就いている職業や置かれている状況によっては制度をフル活用できないといった注意点をあらかじめ理解しておく必要があります。

7. まとめ ~iDeCoの所得控除についてわかりやすく解説。どれくらい控除されるか計算してみた~

本記事では、iDeCoに加入することによって受けられる所得控除について基本的な部分から計算の仕方までわかりやすく解説させていただきました。

iDeCoに加入することによって得られる節税効果は、多少なりとも税金の専門的な部分が含まれてしまうことから、自分で概算シミュレーションしてみるのも良いものの、時には、iDeCoに詳しいFPなどの専門家を通じて、より確実な節税効果をシミュレーションしてもらうことをおすすめ致します。

また、ご自身の課税総所得がわかることで、「所得税と住民税の概算節税効果一覧」にあてはめて大まかな節税効果を導き出すことも可能です。

源泉徴収票や確定申告書から課税総所得を確認し、「所得税と住民税の概算節税効果一覧」へあてはめて1年間の節税効果をご確認いただくことで、iDeCoの効果を改めて実感することができることでしょう。

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課税総所得 税率  住民税 年間掛金(職業等)
所得税 144,000円
(公務員や確定給付企業年金、厚生年金基金に加入している会社員等)
276,000円
(専業主婦(夫)や会社に企業年金がない会社員)
816,000円
(自営業者・フリーランス等)
195万円以下 5% 一律10% 21,600円 41,400円 122,400円
195万円超330万円以下 10% 28,800円 55,200円 163,200円
330万円超695万円以下 20% 43,200円 82,800円 244,800円
695万円超900万円以下 23% 47,520円 91,080円 269,280円
900万円超1800万円以下 33% 61,920円 118,680円 350,880円
1800万円超4000万円以下 40% 72,000円 138,000円 408,000円
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