iDeCoには、老後の生活資金を作るために、定期預金、保険、投資信託といった3つの金融商品からご自身で自由に選んで資産運用をするといった特徴があります。
これらの中でも投資信託は、定期預金や保険といった金融商品に比べて大きな老後資金を備えられる期待が高い一方、信託報酬(運営管理費用)と呼ばれる手数料がかかるといった特徴も併せ持った金融商品になります。
そのため、iDeCoで十分な老後資金を準備するということは、少なくとも信託報酬のことを考えないで行うことは基本的にあり得ません。
このようなことを踏まえまして、本記事では、iDeCoで活用する投資信託の信託報酬(運営管理費用)に焦点あて、信託報酬の基本的な内容からiDeCoで投資信託を選ぶ上での信託報酬の考え方についてまで幅広く解説を進めていきます。
1. iDeCoで活用する投資信託にかかる信託報酬とは
信託報酬とは、投資信託を保有し続けている間、毎日かかるコストのことをいいます。
信託報酬は、一般に、iDeCoで資産運用が可能な定期預金や保険といった、いわゆる「元本確保型」と呼ばれる商品について、信託報酬がかかることはなく、あくまでも「元本変動型」と呼ばれる投資信託のみに発生するコストになります。
そもそも、投資信託は、投資家から集めたお金を元に、販売会社、委託会社(運用会社)、受託会社(信託銀行)といった3つの会社がそれぞれ役割を分担して運用されるものです。
出典:楽天証券 投資信託とは? 投資信託の仕組みより引用
自分のお金をこれらの3つの会社を介してお金を増やす仕組みであるわけですから、信託報酬は、これらの関係する会社に対して支払う手間賃(手数料)にあたるわけです。
そして、投資信託の種類や銘柄(商品)によって、信託報酬はすべて異なるため、iDeCoで活用する投資信託を選ぶ時は、信託報酬を意識した銘柄(商品)選びがとても大切になります。
なお、投資信託の信託報酬は、iDeCoの運営管理機関(金融機関)の商品ラインナップを確認する際、必ず明示されているものになりますので、見忘れることは基本的にありません。
参考:SBI証券 iDeCo確定拠出年金 投資信託(元本変動型)より
なお、信託報酬は、毎日保有している資産から自動的に差し引かれるものでありますから、直接お金を手出しして支払う手数料ではないほか、投資している投資信託の純資産総額から自動的に差し引かれることになっているものであることから、投資家それぞれが保有している口数に対してかかるものではない点に注意が必要です。
そのため、信託報酬を支払っている感覚は薄いのは確かですが、投資信託の価値を表す「基準価額」は、信託報酬を差し引いた後の金額であることから、年単位でこの基準価額が増加傾向にある投資信託を選ぶことが大切なポイントになります。
2. iDeCoで選んだ信託報酬によって、最終的な資産額にも影響してくる
iDeCoの投資信託を選ぶ上で信託報酬の高低は、最終的に資産形成される金額に大きな影響を及ぼします。
たとえば、会社員が1ヶ月あたり23,000円をiDeCoの投資信託で30年間、利回り3%で資産運用したと仮定し、国内株式Aインデックスファンドは、信託報酬が0.23%、国内株式Bインデックスファンドは、信託報酬が0.56%であった場合の違いは以下の通りです。
投資信託 | 国内株式Aインデックスファンド | 国内株式Bインデックスファンド |
---|---|---|
信託報酬 | 0.23% | 0.56% |
30年間の概算信託報酬 | 約38万円 | 約89万円 |
上記は、運用益を考慮せず、30年間の総投資元金828万円として概算計算した結果となりますが、目に見える信託報酬率はわずかであったとしても、30年間の差額は約51万円と多額になっていることが確認できます。
さらに、AとBは、投資対象が日本国内で、かつ、インデックスファンドであることから、投資結果がほとんど変わることはないため、信託報酬が高い分、国内株式Bインデックスファンドの方が無駄な手数料を多く支払うことになると予測できるわけです。
このように、iDeCoの投資信託を選ぶ上で信託報酬の高い、低いといった影響は、最終的な資産形成金額に大きな影響を与えることになります。
3. iDeCoの投資信託を選ぶときには、信託報酬の安いファンドを優先して考えよう
これまでの解説より、「信託報酬は低ければ低い程、良いということ?」と感じられた方も多いと思いますが、ざっくり申し上げますと、その通りです。
なぜならば、信託報酬は、毎日保有資産から差し引かれるものでありますから、iDeCoのように長い期間、資産運用するということは、その分、コストの差が大きく生じることになるためです。
前項の例のように、同じ投資対象であるのにも関わらず、信託報酬が大きく異なるものもあることから、投資信託選びは慎重にならなければならないのはもちろんですが、「信託報酬が高い=高いリターンが見込める」といったことはありませんので、大きな勘違いをしないように、この部分には特に注意をしておく必要があるでしょう。
4. 信託報酬の安いファンドを紹介!
参考資料としてiDeCoで活用する投資信託について、信託報酬の安いファンドを以下へ紹介します。
運用商品名 | 信託報酬 | 取扱い金融機関 | |
---|---|---|---|
国内株式 | DIAM DC 国内株式インデックスファンド | 0.17% | イオン銀行、第一生命保険、みずほ銀行、 マネックス証券 |
三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンドS | 0.17% | SBI証券、三井住友銀行、楽天証券 | |
年金インデックスファンド日本株式(TOPIX連動型) | 0.18% | 滋賀銀行、住友生命保険相互会社、ソニー生命保険など | |
国内債券 | 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | 0.13% | SBI証券、京葉銀行、ソニー生命保険、マネックス証券など |
東京海上セレクション・日本債券インデックス | 0.15% | 静岡銀行、東京海上日動火災保険、東邦銀行 | |
たわらノーロード 国内債券 | 0.16% | 楽天証券、イオン銀行、広島銀行、みずほ銀行 | |
りそなDC信託のチカラ 日本の債券インデックスファンド | 0.16% | りそな銀行 | |
外国株式 | 東京海上セレクション・外国株式インデックス | 0.22% | 東京海上日動火災保険、足利銀行、伊予銀行など |
DCニッセイ外国株式インデックス | 0.23% | SBI証券、日本生命保険相互会社 | |
三菱UFJ DC海外株式インデックスファンド | 0.23% | 京葉銀行 | |
野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI | 0.24% | 野村證券、岩手銀行、滋賀銀行、中央労働金庫など | |
外国債券 | 東京海上セレクション・外国債券インデックス | 0.19% | 東京海上日動火災保険、足利銀行、伊予銀行など |
たわらノーロード 先進国債券 | 0.22% | 楽天証券、イオン銀行、ソニー生命保険、第一生命保険など | |
たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり> | 0.22% | 楽天証券、みずほ銀行、イオン銀行、マネックス証券、 | |
三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 0.23% | あいおいニッセイ同和損害保険、SBI証券、京葉銀行など | |
DCニッセイ外国債券インデックス | 0.23% | 日本生命保険相互会社 |
参考:投資信託の手数料を考える|個人型確定拠出年金ナビ「iDeCo(イデコ)ナビ」
国内株式・国内債券・外国株式・外国債券と大きく4つのカテゴリーによってファンドの銘柄(商品)が異なることから、まずは、4つのカテゴリーがそれぞれどのような特徴を持ったものであるのか確認しておくことが大切です。
- 株式:リスクおよびリターン 高め
- 債券:リスクおよびリターン 低め
日本国内や外国によってもリスクやリターンの高低が異なるほか、外国でも先進国と新興国によってさらにリスクとリターンが異なる関係性もありますので、それぞれの特徴を確認しながら、ご自身が思い描いている目標金額を達成するためには、どのようにしたら良いのかあらかじめ検討し対策を取っておくことも大切です。
5. 信託報酬の計算方法とは
投資信託の計算方法は、保有している投資信託の資産に対して信託報酬を乗じることで求めることが可能です。
たとえば、年間264,000円(月々22,000円)を、信託報酬が0.54%(税抜0.5%)と1.62%(税抜1.5%)の投資信託に投資をした場合、以下のようになります。
★信託報酬0.54%の場合
1年間の信託報酬:264,000円×0.54%=1,426円
★信託報酬1.62%の場合
1年間の信託報酬:264,000円×1.62%=4,277円
1年間で考えると3,000円程度しか変わりませんが、長期間で考えると、すでに解説をさせていただきましたように数十万円もの差が生じることになります。
なお、信託報酬は、「保有している資産に対して毎日差し引かれるもの」でありますから、長期の投資にかかる信託報酬の総額は、1年間の信託報酬に資産運用をした年数を乗じて簡単に求められるものではありませんので注意が必要です。
6. 【重要】信託報酬は、自分で計算をする必要は全くありません
iDeCoの投資信託を選ぶ上で大切なことは、信託報酬ができる限り低いものを選ぶことは確かですが、ご自身で将来に渡ってかかる信託報酬を計算する必要は全くありません。
この理由は、以下の通りです。
- 投資信託の将来の値動きが確実にわからないため
- 選んだ投資信託によってパフォーマンスが異なるため
- 投資信託の基準価額は、信託報酬差引後の金額であるため
特に、重要な理由は「3」になります。
投資信託の価値を表す「基準価額」は、毎日上下変動をすることで金額が上がったり下がったりすることになるのですが、この基準価額は、投資信託の信託報酬が差し引かれた後の金額であることから、信託報酬を計算する作業は、いわば「無駄」であり、保有している投資信託の「基準価額を考えること」が重要なのです。
たとえば、基準価額11,000円の時に買った投資信託が、1年後、20,000円に値上がりした場合、利益は9,000円になりますが、投資信託の基準価額は、信託報酬差引後の金額であるため利益9,000円について信託報酬を考慮する必要は全くありません。
また、投資している投資信託の基準価額について、メールサービスなどで毎日届くようなサービスを展開している運営管理機関(金融機関)も多いため、メールを確認して、上がった、下がったなどの大まかな確認をすることも可能です。
iDeCoは、老後のお金を準備するためのものでありますから、基本的な資産運用の期間は10年単位で長くなることから、たまに基準価額を確認するくらいがちょうどいいわけです。
大切なことは、不確定な将来の信託報酬を計算することではなく、これからiDeCoで資産運用をするための投資信託選びであり、信託報酬が低い投資信託を選ぶことが大切であることを忘れないようにしていただきたいと切に願います。
7. まとめ
本記事では、iDeCoで活用する投資信託の信託報酬(運営管理費用)に焦点あて、信託報酬の基本的な内容からiDeCoで投資信託を選ぶ上での信託報酬の考え方についてまで幅広く解説を進めさせていただきました。
本記事の要点を改めて以下へまとめて紹介します。
- iDeCoで選ぶ投資信託は、信託報酬が低いものを選ぶ
- 投資信託の銘柄(商品)によって、信託報酬はすべて異なる
- 信託報酬の計算をすることは無駄な作業
- 保有している投資信託の基準価額が増加傾向に転じることが重要
実際、信託報酬が高くても、高いリターンが見込めるのであれば、投資をする価値はあると思われますが、そもそも投資信託で資産運用をするということは、将来の利益は不確定です。
そのため、信託報酬といった必ず発生するコストをご自身の判断で低いものへ抑えるということは、少なからず、確実に将来の受け取るお金を増加させる影響を与えることになります。
また、投資信託の信託報酬の高さと、運用成績の良さには関係性が全くありませんので、「高い商品=良い商品」という誤った考えを持たないように注意し、信託報酬は安いものを選ぶように心掛けていただくことを強くおすすめ致します。
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