個人型確定拠出年金(iDeCo)は、老後の生活資金を確保するために、自分の考えに基づいて資産運用するといった制度です。
iDeCo は、法改正が施行された2017年(平成29年)1月1日より、ほぼすべての方が加入できるような制度となりましたが、実際には、それぞれの職業や年齢、過去の年金履歴の状態に応じて、加入の可否や加入限度額が異なるといった特徴があります。
本記事では、iDeCoの解説についてサラリーマン(会社員)に焦点をあて、iDeCoの基本的な部分からメリット・デメリット、iDeCoの始め方まで、幅広く解説を進めていきます。
1. サラリーマン(会社員)の多くは、iDeCoに加入できる
冒頭でも軽く触れましたように、iDeCoは、ほぼすべての方が加入できるような制度になっておりますが、基本的に、ほとんどのサラリーマン(会社員)は、iDeCoに加入することができる仕組みになっています。
参考:http://www.pmas-iicp.jp/library/tabid/101/pdid/296/Default.aspx
着目するべきは、サラリーマン(会社員)がiDeCoに加入することができない場合(×印)を押さえておくことになります。
具体的には、「勤務先が企業型DCに加入しマッチング拠出制度がある場合」「勤務先が企業型DCに加入しマッチング拠出制度がなしでかつiDeCo加入がOKの規約変更がない場合」の2つに限られています。
これだけでは、さっぱり意味がわかりませんので、意味を理解するために、まずはポイントになる用語について確認していきますが、面倒な解説が不要な方は、「2-2.サラリーマン(会社員)がiDeCoを始めるには、勤務先に確認するのが手っ取り早い」を読み進めていただくことをおすすめ致します。
2. ポイントとなる「企業型DC」「マッチング拠出」について解説。
前述した解説を読み解いていくためには、それぞれの用語の意味がどのようなものであるか理解しておく必要があります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、従業員の退職金制度の1つとして位置付けられてきたことから、従来は、事業主(勤務先)が掛金のすべてを負担しているといった特徴がありました。
しかし、その後、法律が改正されたことによって、企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者にあたる従業員も自ら掛金を上乗せすることによって自分年金作りができるようになりました。
これが、次項で解説する「マッチング拠出」です。
マッチング拠出とは
マッチング拠出は、従業員が自ら企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金を上乗せして自分年金作りをするための制度にあたりますが、マッチング拠出を利用するには、企業(勤務先)が年金規約というルールの中でマッチング拠出が利用できるように定めなければならないことになっています。
そのため、元々、年金規約でマッチング拠出について定めていない場合は、そもそもマッチング拠出を利用したくても利用できないことを意味します。
また、加入者にあたる従業員が、上乗せすることができる掛金には上限が設けられているほか、事業主(勤務先)が掛けている掛金額を超えてはならないなどの細かな縛りもあるため注意が必要です。
サラリーマン(会社員)がiDeCoを始めるには、勤務先に確認するのが手っ取り早い
仮に、サラリーマン(会社員)の方が、iDeCoを始めるには、前項で解説した加入要件を満たしていなければなりませんが、勤務先の人事部門や経理担当、総務担当などといった関係箇所に対して、企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入有無を含めて、確認してみるのが手っ取り早いでしょう。
また、確認の際は、併せて次項で解説するiDeCoに加入できる上限額も確認しておくことが望ましいと思われます。
3. サラリーマン(会社員)がiDeCoに加入できる上限額はいくら?
iDeCo の掛金は、月々5,000円以上1,000円単位で加入することができますが、サラリーマン(会社員)がiDeCoに加入できる上限額は、以下のイメージ図の通りです。
出典:iDeCo公式サイト iDeCoをはじめよう 加入するまでの流れより引用
上記イメージ図のように、サラリーマン(会社員)がiDeCoに加入する時に1ヶ月に掛けることができる上限金額は、企業型DCやDB(確定給付企業年金、厚生年金基金)に加入しているかによって異なっていることが確認できます。
そのため、こちらの内容についても勤務先に確認するのが手間や負担がなく手っ取り早いというわけです。
なお、iDeCo の掛金額は、1年(毎年4月~3月までの間)に1回だけ変更することができますので、ご自身の状況の変化に合わせて、掛金額の増減が可能なことも併せて押さえておきたいポイントになります。
4. iDeCoに加入することで、サラリーマン(会社員)が得られるメリット・デメリット
iDeCoは、現在就いている職業や収入などによって得られるメリットが異なりますが、本項では、iDeCoに加入することで、サラリーマン(会社員)が得られるメリット・デメリットを紹介していきます。
iDeCoに加入するメリット
iDeCoに加入することで、サラリーマン(会社員)が得られるメリットは、以下の通りです。
掛金全額が所得控除の対象となる
通常、iDeCoに加入すると毎月一定金額を掛金として拠出することになりますが、1年間に拠出した金額が、すべて所得控除の対象になるメリットが得られます。
たとえば、会社員で年収500万円(課税所得が308万円とします)、会社に企業年金がない場合は、1ヶ月に最高23,000円までiDeCoに加入することができます。

仮に、最大加入金額にあたる月額23,000円を1年間拠出し続けたとしますと、1年間で276,000円もの所得控除が受けられることになりますが、これによる節税効果は、以下の通りです。
内容 | 課税所得 | 所得税額 | 住民税額 | 合計納税額 | 節税効果 |
---|---|---|---|---|---|
iDeCo加入 | 280.4万円 | 186,700円 | 287,800円 | 474,500円 | 55,900円 |
加入無し | 308万円 | 214,900円 | 315,500円 | 530,400円 | - |
たった1年間で55,900円もの節税効果が得られる結果となりました。
このような節税効果が毎年続くことを考えますと、非常に有効な制度であることがご理解できるのではないでしょうか。
運用益も非課税になる
iDeCoは、資産運用している間に得た運用益も非課税になる点は大きな魅力です。
通常、預金で得た利息や投資で得た利益に対して20.315%の税率を乗じた税金が徴収されることになるのですが、iDeCoに加入して資産運用したこれらの運用益に税金が課されることはありません。
老後に受け取る年金も「控除」の対象になる
iDeCo は、これまで積み立ててきた拠出元金と運用益の両方が課税対象になる特徴があり、原則として60歳までお金を引き出すことができないことを踏まえますと、最終的な資産形成金額が1000万円を超えることも決して珍しいことではありません。
これに対して税率20.315%を乗じた税金が徴収されては、とてもiDeCoに加入する気にはなれないのが当然のことですが、この計算の仕方は誤りであり、iDeCoに加入してからお金を受け取るまでの大まかなイメージを紹介していきます。
たとえば、iDeCoに加入して60歳時の資産形成金額が1500万円だったとし、一括でまとめて受け取ると考えたとします。
仮に、30歳からiDeCoに加入したとしますと30年間資産運用をしたことになりますが、この場合、国税庁が認めている「退職所得控除額」というものが適用され、これに基づいて税金の計算がなされます。
収入:1500万円
退職所得控除額:800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円
所得金額:1500万円-1500万円=0円
よって、この場合、受け取った拠出元金と運用益を合わせた1500万円に税金が課されることはないといったイメージになります。
計算例 参考:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
iDeCoは、資産形成されたお金(先の例では1500万円)を60歳から分割で受け取ることも可能で、この場合は、国税庁が認めている「公的年金控除」というものが適用され、これに基づいて税金の計算がなされます。
このように、老後に受け取る年金も「控除」の対象になるのが大きなメリットの1つとなります。
iDeCoに加入するデメリット
iDeCoに加入することで生じるデメリットは、以下の通りです。
60歳まで引き出すことができない
iDeCoは、原則として60歳までお金を引き出すことができない老後の資産形成のための制度になるため、仮に、35歳から始めたとすれば、単純計算で25年間はお金を引き出すことができないことを意味します。
そのため、1ヶ月の掛金額を決めるにあたり、無理なく継続して拠出できる掛金額を設定しなければ長く続けられなくなってしまいますので注意が必要です。
普通に資産運用するよりも手数料が高くなる
iDeCoで資産運用ができる金融商品には、「預金」「保険」「投資信託」があるのですが、投資信託で資産運用をする場合は、金融機関に口座を開設して投資をするよりも手数料が高めに設定されているデメリットがあります。
そのため、たとえば、NISAやつみたてNISAといった少額投資非課税制度で活用して投資信託で資産運用をする場合といった、資産運用方法が同じであったとしても手数料に差があるということは、その分、手取金額が少なくなってしまうデメリットが生じてしまうことになります。
なお、元本確保型と呼ばれる預金や保険で資産運用をする場合は、手数料がかかることはありませんが、最終的な資産形成金額はわずかですので、iDeCoの強みを活かしたメリットが得られにくい点も押さえておかなければならないポイントといえます。
5. 投資信託で資産運用をした方が良い3つの理由
先の解説では、iDeCoで資産運用ができる金融商品には、「預金」「保険」「投資信託」があることを紹介しましたが、やはり、これらの金融商品の中でも投資信託で資産運用をすることがおすすめです。
本項では、投資信託で資産運用をした方が良い理由を3つにわけて個別に解説を進めていきます。
複利のパワーで資産を増やしやすい
iDeCoは、長い時間をかけて資産形成していく制度でありますから、投資信託を毎月積立投資する運用スタイルは、非常に有効な方法であることは間違いありません。
特に、複利効果(複利のパワー)を活かした資産形成は、効率的で、預金や保険を選択した時に比べて最終資産形成金額に大きな差が生じることは確実です。
ただし、投資信託は、元本変動型に該当し、いわば元本割れをするリスクを含んでいることも忘れてはなりません。
参考:積立投資で大事な「複利」をわかりやすく解説。複利の計算方法も教えます
資産分散がされているので安定した運用ができる
投資信託は、リスクを極力減らすために分散投資が成され、安定した資産運用をすることができる金融商品です。
特に、初めてiDeCoに加入して投資信託を活用するのであれば、インデックスファンドと呼ばれる投資信託でどのような資産形成ができるのか試してみることをおすすめ致します。
参考:積立投資ではインデックスファンドを複数組み合わせるのが王道
プロが運用してくれるので手間がかからない
投資信託の資産運用は、運用会社にてファンドマネージャーと呼ばれるプロが代わりに資産運用を行うことになりますので、手間がかからず、ほったらかしで差し支えないといったメリットが得られます。
語弊の無いように申し上げておきますと、iDeCoで資産運用された投資信託や現在の状況を「運用報告書」でお知らせし、原則として「決算期」ごとに作成されます。
決算期が1年であれば1回、決算期が1年で2回であれば2回といったイメージです。
これは選んだ投資信託の種類によって異なる特徴がありますが、決算期が何回であったとしても、運用報告書でどのような状態(運用益が生じているのか)になっているのかを確認することが大切であることは言うまでもありません。
6. iDeCoをはじめるまでの流れ
こちらは参考情報となりますが、iDeCoをはじめるまでの流れについて以下、紹介させていただきます。
- 勤め先の会社に企業年金の状況を確認する
- 口座を開設する金融機関を決める
- 金融機関から資料を取り寄せる
- 「加入申出書」を書く
- 勤め先の会社に「事業主証明書」を書いてもらう
- 「加入申出書」と「事業主証明書」を金融機関に郵送する
- 口座開設のお知らせと、加入資格確認結果通知が届く
- 取扱商品を決めて、資産運用スタート
上記の流れについて、多少なりとも順番が前後する可能性もありますが、iDeCoを始める予定の金融機関の指示や流れに従いまして手続きを行うようにして下さい。
7. 口座開設をする金融機関の選び方
iDeCoを始めるためには、運営管理機関(金融機関)に口座を開設しなければならないのですが、それぞれの金融機関によって、iDeCoで拠出することができる商品、種類、手数料がすべて異なります。
そのため、iDeCoを始めるための金融機関選びは、とても重要になるのですが、主な基準は、以下の3つです。
- 商品の種類と品揃えが豊富なのか
- 運営管理手数料(口座管理費用)は安いのか
- 投資信託の信託報酬(保有コスト)は安いのか
これら3つの基準は、損得に直接影響を及ぼすことになりますので、すべての基準を満たした金融機関選びをすることが重要です。
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8. まとめ ~サラリーマン(会社員)がiDeCoを始める方法について解説~
本記事では、iDeCoの解説についてサラリーマン(会社員)に焦点をあて、iDeCoの基本的な部分からメリット・デメリット、iDeCoの始め方まで、幅広く解説を進めさせていただきました。
すべての方に共通する大切なiDeCoの考え方も本記事中にたくさんありましたが、少なくともこれらの内容を再度ご確認いただくことによって、さらに理解が深まるのではないかと思います。
特に、節税効果は確実に得られる優れた制度でありますので、ご自身がどのくらいの恩恵が受けられるのか、シミュレーションし、時にはFPなどの専門家にアドバイスを貰いながら、より確実な資産形成を実現していただきたいものと思います。
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