iDeCoは、老後のお金を自分で積立しながら資産運用して準備するための制度で、大きな税優遇を受けながら貯められる特徴があります。
iDeCoでは、資産運用をするための金融商品として「元本確保型」と呼ばれる定期預金や保険のほか、「元本変動型」と呼ばれる投資信託を活用した方法に大きく分けられる特徴があり、ご自身の考えに沿って自由に選択して資産運用をすることが可能です。
保険を活用した老後のお金を準備する方法の中には、民間保険会社が取り扱っている個人年金保険といったものもありますが、本記事では、iDeCoで保険を選んで活用することについて解説を進めていくほか。個人年金保険とiDeCoで保険を活用するメリットとデメリットについても比較しながら解説を進めていきたいと思います。
1. iDeCoで資産運用する保険の特徴
一般に「保険」と見聞きしますと、万が一の時に多額の保険金が支払われるものといったイメージを持っている方が多いと思いますが、iDeCoで資産運用する保険とは、このような保障がなされるものではありません。
そこで本項では、iDeCoで資産運用する保険の特徴についてそれぞれ個別に解説を進めていくところから始めていきます。
iDeCoで資産運用する保険は、「貯蓄性」が高いもの
iDeCoで資産運用をする保険とは、5年や10年といった満期日まで継続して資産運用をすることで、結果として投資元金と利息の合計額が増加する「貯蓄性の高い保険」となっています。
そのため、万が一の時に多額の保険金が支払われるものといった、多くの方が保険に対して持っている保障性の高い保険とはイメージが異なります。
原則として元本確定型の商品
iDeCoには、「元本確保型」と呼ばれる種類と「元本変動型」と呼ばれる種類の2つがあるのですが、iDeCoで資産運用する「保険」は、元本確保型と呼ばれる種類に該当します。
元本確保型は、その名の通り、iDeCoで投資した投資元本が保証されるものになるのですが、同じ元本確保型にあたる定期預金と比べて、時に元本割れをしてしまう場合がある点には注意が必要です。
具体的に、iDeCoで選んだ保険が元本割れをしてしまう場合とは、中途解約をしてしまった場合になります。
仮に、iDeCoで選んだ保険を中途解約しますと「解約控除」と呼ばれる手数料が差し引かれることになるのですが、この手数料の金額が、これまで保険を活用して得た利息相当額よりも上回ってしまいますと、結果として投資元本を下回ってしまうことになるわけです。
中途解約で元本割れをしてしまうイメージ
- 投資元本 10000円
- 利息相当額 500円
- 解約控除額 700円
- 現在価値 9,800円(10000円+500円-700円)
iDeCoで資産運用した保険を中途解約してしまうことによって200円の元本割れを起こしてしまっており、これでは、そもそも最初から元本確保型を選んだ目的と合致しないことになります。
このような事態を確実に防ぐためには、iDeCoで保険を活用する上で「満期まで保険を持っておく」といった考えで資産運用することが大前提となります。
元本確保型の保険は、元本が保証されているのではなく、「満期まで保有することで元本が保証されるもの」と考えておくことが大切です。
iDeCoで選べる保険は、一時払い保険のみ
生命保険に加入している方であればイメージがわきやすいと思いますが、一般に、生命保険の保険料を支払う時は、保険料を1年ごとの「年払い」や1ヶ月ごとの「月払い」といったイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし、iDeCoで資産運用をする保険は、一時払いの保険のみとなります。
iDeCoの保険イメージ(5年満期の場合)
管理人作成
iDeCoで資産運用をする保険は、一時払い保険のみとなり、年間を通じて金利が変動するのではなく、毎月金利が決まる別の保険を都度、買っているイメージになります。
そのため、月々で購入した保険を満期になる5年間、保有し続けておくことによって元本割れを起こさないことを意味し、逆に5年経過する前に解約をした場合は、中途解約としてペナルティー(解約控除)が課されることによって、結果、元本割れを起こす可能性があることになります。
iDeCoの保険は、「生命保険」と「損害保険」の2種類がある
iDeCoで保険を活用する場合、保険の種類は「生命保険」と「損害保険」の2種類があります。
ただし、iDeCoを始める運営管理機関(金融機関)によって、元本確保型の商品として保険を取り扱っているか、取り扱っていないかの違いのほか、生命保険のみ、損害保険のみといった違いもあることから、必ずしも両方の保険から選択できるとは限りません。
以下、参考までにiDeCoで選べる生命保険と損害保険の特徴について表にまとめて紹介しておきます。
比較内容 | iDeCoで活用する生命保険 | iDeCoで活用する損害保険 |
---|---|---|
60歳になってから受け取る老齢給付金の受け取り方 | 分割(年金)形式での受け取りが可能 | 一時金(一括払い)のみ |
傷害による死亡補償 | なし | あり |
2. iDeCoで保険を活用した場合と個人年金保険とを比べてみた
iDeCoで保険を活用した場合と民間保険会社が取り扱っている個人年金保険に加入した場合のいずれも、老後の生活資金を備えるための方法であることには変わりありませんが、本項では、これら2つの方法について比較し、表にまとめたものを紹介します。
内容 | 個人型確定拠出年金 | 個人年金保険 |
---|---|---|
加入者 | 誰でも加入OK | 誰でも加入OK |
加入するところ | iDeCoを取り扱う金融機関 | 生命保険会社 |
運用コスト | 月額管理費:167円~617円程度 | 保険料に込々 |
資産形成額 | 運用次第で受取額が変わる | 様々な種類がある |
掛け金の上限 | 上限額が決まっている | 決まりはなし |
途中解約 | 原則60歳まで不可 | いつでもOK |
税金の控除(支払時) | 掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象 | 税制適格要件を満たすことで「生命保険料控除(個人年金用)」として所得控除が受けられる |
受取り時の扱い | 一時金として受け取る場合は退職所得扱い。他に退職金などがある場合は合算される。年金として受け取る場合は雑所得扱いとなりますが、公的年金控除を利用することができる。 | 一時金として受け取る場合は一時所得扱い。年金として受け取る場合は雑所得扱いとなります。ただし、支払った保険料は「原価(取得費用)」とみなされるため、その差額分のみが所得となります。 |
保険会社の破綻による影響 | 影響なし | 影響あり |
上記の比較表を踏まえまして、次項では、老後の資金を準備する上でポイントとなる違いについて解説を進めていきます。
3. 個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶメリット
個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶメリットは、次項の通りです。
掛金が全額所得控除になる
個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶ1つ目のメリットは、「掛金が全額所得控除になる」ことがあげられます。
iDeCoで保険を選んだ場合や個人年金保険を選んだ場合は、いずれも所得控除が受けられ、納めるべき所得税や住民税を減らすことができる効果があるのですが、iDeCoで保険を活用した方が所得控除の金額が大きくなります。
たとえば、1月1日から12月31日までの1年間で12万円の掛金を拠出した場合における所得控除の違いは以下の通りです。
内容 | iDeCo | 個人年金保険 |
---|---|---|
所得控除の種類 | 小規模企業共済等掛金控除 | 生命保険料控除 |
所得控除金額 | 120,000円 | 40,000円 |
個人年金保険の場合、1月1日から12月31日までの1年間で80,000円を超えて保険料を支払った場合、所得控除が「一律40,000円」で頭打ちされてしまうことから、この場合、同じ金額を拠出したとしても80,000円の所得控除の差が生じ、納めるべき所得税と住民税に年間約17,300円の差が生じます。
一括でお金を受け取る場合、税金が発生しない可能性が高い
個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶ2つ目のメリットは、「一括でお金を受け取る場合、税金が発生しない可能性が高い」ことがあげられます。
iDeCoの場合は、一括でお金を受け取る時に「退職所得」としての取り扱いになっており、個人年金保険の場合は、「一時所得」としての取り扱いになっています。
これらの所得を計算して税金を導き出した時、iDeCoで「退職所得」として計算した方が、「一時所得」として計算した場合に比べて税金が発生しない可能性が極めて高くなります。
ただし、資産形成した金額や運用期間などによって計算の仕方が異なりますので、こちらのメリットは、シミュレーションをしながら比較検討することが大切になります。
4. 個人年金保険と比べた時のiDeCoで保険を選ぶデメリット
個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶデメリットは、次項の通りです。
掛金の上限額が決まっている
個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶ1つ目のデメリットは、「掛金の上限額が決まっている」ことがあげられます。
現在、iDeCoは、ほぼすべての方が加入することができる国の制度になっておりますが、iDeCoに加入する時点での職業や勤務先の状況によって1ヶ月に拠出することができる掛金の上限が決まっています。
参考:iDeCoを使うときの上限額を解説。会社員・公務員・主婦などの上限額を知ろう
また、iDeCoには加入条件があることから、時と場合によっては、iDeCoの加入条件を満たしていない場合も考えられるため、iDeCoの加入には少なくとも制限があることも押さえておかなければならないポイントといえます。
原則60歳までは解約ができない
個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶ2つ目のデメリットは、「原則60歳までは解約ができない」ことがあげられます。
iDeCoは、保険に限らず、定期預金や投資信託も含めて、拠出したお金は、原則として60歳になるまで解約して現金化することはできません。
そのため、必要に応じてお金を引き出すことができないため、個人年金保険に比べて「お金の流動性」といった部分におきましては、大きなデメリットがあるといえます。
毎月運用コストがかかる
個人年金保険と比べた時にiDeCoで保険を選ぶ3つ目のデメリットは、「毎月運用コストがかかる」ことがあげられます。
iDeCoで資産運用をする金融商品によって毎月かかる運用コストには違いがあるのですが、
iDeCoで保険を活用した場合は、iDeCoの口座手数料として「毎月167円」が保有しているiDeCoの資産から差し引きされることになります。
参考:iDeCo(個人型確定拠出年金)で投資をするときの手数料について解説
5. iDeCoで保険を選ぶ時は、実質的に受け取ったお金がプラスになるか検討しよう
これまでiDeCoで保険を活用するメリットおよびデメリットについて解説を進めてきましたが、iDeCoで保険を選ぶ上で大切なことは、「元本確保型」と呼ばれる表面上のことではなく、実質的に受け取ったお金がプラスになるか検討することになります。
たとえば、iDeCoを始めるには、加入時手数料といったお金が2,777円かかるほか、前項で解説した口座管理手数料が毎月167円かかります。
そのため、元本確保型と呼ばれる保険で資産運用をしたとしても、実際に保険を資産運用することによって受け取る利息がこれらの手数料を上回っていなければ、実質的なプラスといえず、元本確保されているとはいえないことになります。
実際のところ、iDeCoで資産運用する保険の利率は、iDeCoの定期預金よりも高いといわれることもありますが、日本銀行が施行したマイナス金利政策の影響によって、現状では、残念ながら受け取る利息金額に期待できず、逆に確実な元本確保型とは言い切れない場合すらあります。
この辺の事情を考慮した上で、iDeCoで資産運用をする金融商品選びや投資配分を考えることがとても重要です。
6. まとめ
本記事では、iDeCoで保険を選んで活用することについて解説を進めていくほか。個人年金保険とiDeCoで保険を活用するメリットとデメリットについても比較しながら解説を進めさせていただきました。
iDeCoを活用して老後の生活資金を準備する方法は、現時点で最も有利な方法とまで言われているのは確かですが、実際にiDeCoで選んだ金融商品によって最終的に資産形成することができる金額が変わることになります。
そのため、iDeCoで保険を選ぶということは、個人年金保険のように、将来受け取ることができるお金が確定しているわけではないことや60歳になるまでお金を引き出すことができないといったデメリットも踏まえた上で、賢いiDeCoの活用を実現できるように考えておく必要があります。
管理人としては、iDeCoの方が個人年金保険に比べて所得控除のメリットが大きいことから、個人年金保険よりもiDeCoで保険を活用する方を推奨致しますが、iDeCoを活用することによって生じる口座管理手数料などを考慮しますと、iDeCoを保険だけで資産運用するのではなく、投資信託も含めた資産運用をすることで、実質的に受け取るお金がプラスになるような投資配分の工夫が必要であると考えています。
iDeCoの元本確保型と呼ばれる定期預金や保険を活用する場合は、前述した内容について特に注意が必要なのです。
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