30代が置かれている状況は、年収をはじめ、既婚、独身、子どもの有無などといったことによって、余裕資金に大きな違いがあります。
とはいえ、将来の老後生活にかかる不安は、これらの置かれている状況を問わず、共通している問題であることは確かです。
将来の年金不安がますます大きくなっていく中で、現在、原則として65歳から支給が開始される公的年金の支給開始年齢が70歳などに引き上げられてしまう可能性も含んでいる中で、少なくとも将来の老後生活を考えた対策を早い内から行うことが30代には求められていると管理人は考えています。
そこで本記事では、老後の生活資金をご自身の自助努力で準備するiDeCo(個人型確定拠出年金)を30代ではじめるメリットおよびデメリットについて解説を進めていきます。
1. 30代からiDeCoを活用するメリットとは
冒頭では、30代が置かれている状況について軽く触れてみましたが、本項では、多くの30代の皆さんが、実際にiDeCoを活用することによって得られるメリットについて解説を進めていきます。
長い期間に渡って「還付」を受けられる税金が多くなる
30代からiDeCoを活用した場合に考えられるメリットの1つ目として、「長い期間に渡って「還付」を受けられる税金が多くなる」ことがあげられます。
iDeCoは、1月1日から12月31日までの1年間で拠出した掛金が、すべて「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になることから、1年を通じて多くの掛金を拠出する程、納めるべき税金を少なく抑えられる効果が認められます。
参考までに、30歳から60歳までiDeCoを始めた場合と、40歳から60歳までiDeCo始めた場合における節税効果の違いは以下の通りです。
前提条件
- 課税総所得 300万円(年収600万円)
- 毎月2万3千円ずつ60歳まで積立投資
- 年3%で運用した場合
年齢 | 30歳 | 40歳 |
---|---|---|
1年間のiDeCo掛金 | 276,000円 | |
1年間の概算節税効果 | 55,200円 | |
iDeCo加入期間 | 30年 | 20年 |
iDeCo加入期間中における掛金の拠出による概算節税効果 | 1,656,000円 | 1,104,000円 |
1ヶ月あたり23,000円をiDeCoに拠出することによって、1年間の概算節税効果が55,200円となることが確認でき、これは、年末調整や確定申告によって還付される税金が多くなることに加え、翌年度から納める住民税の金額も少なくなることを意味します。
還付される税金が多くなるということは、その還付された税金を家計の足しにすることができるほか、貯蓄や他の資産運用に回すことができるため、支出するお金を抑え、お金が効率的に回ると考えることもできます。
以下、先の前提条件で30歳からiDeCoを始めた場合と40歳からiDeCoを始めた場合の資産形成金額や節税効果の違いもまとめて紹介しておきます。
年齢 | 30歳 | 40歳 |
---|---|---|
総資産額 | 13,402,948円 | 7,550,946円 |
総投資額 | 8,280,000円 | 5,520,000円 |
運用益 | 5,122,948円 | 2,030,946円 |
運用益での非課税額(1) | 1,040,727円 | 412,587円 |
掛金の控除額(2) | 1,656,000円 | 1,104,000円 |
60歳までの節税効果合計(1)+(2) | 2,696,727円 | 1,516,587円 |
長い時間を活用してまとまった大きな資産を作ることができる
30代からiDeCoを活用した場合に考えられるメリットの2つ目として、「長い時間を活用してまとまった大きな資産を作ることができる」ことがあげられます。
ただし、このような結果を確実にするためには、iDeCoで資産運用をすることができる「預金」「保険」「投資信託」といった3つの金融商品の内、投資信託を選んでいることが必須です。
この理由は、iDeCoで投資信託を活用した長期間の投資をすることで、複利のパワーを活かすことができるため、結果として老後のための資産形成が成せる仕組みになっているわけであり、元本が保証されている「預金」や「保険」を選択した場合は、大きな資産を作ることは残念ながらできません。
参考までに、iDeCoで投資信託を活用し、利回り3%で資産運用ができた場合に、どれくらいの資産形成(お金が貯められるのか)ができるかを紹介しておきます。
月々の投資額→ | 5,000円 | 10,000円 | 22,000円 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
開始年齢↓ | 総投資額 | 総資産額 | 投資額 | 総資産額 | 投資額 | 総資産額 |
30歳 | 1,800,000円 | 2,913,684円 | 3,600,000円 | 5,827,369円 | 8,280,000円 | 13,402,948円 |
35歳 | 1,500,000円 | 2,230,039円 | 3,000,000円 | 4,460,078円 | 6,900,000円 | 10,258,180円 |
40歳 | 1,200,000円 | 1,641,510円 | 2,400,000円 | 3,283,020円 | 5,520,000円 | 7,550,946円 |
45歳 | 900,000円 | 1,134,863円 | 1,800,000円 | 2,269,727円 | 4,140,000円 | 5,220,372円 |
50歳 | 600,000円 | 698,707円 | 1,200,000円 | 1,397,414円 | 2,760,000円 | 3,214,053円 |
30代のように、iDeCoで資産運用をすることができる期間が長ければ長いほど、より大きな資産形成がしやすく、同じ条件でも開始年齢が若い程、より多くのお金が形成されていることが確認できます。
2. 30代からiDeCoを活用するデメリットとは
前項では、30代からiDeCoを活用するメリットについて解説をさせていただきましたが、本項では、30代からiDeCoを活用するデメリットについて考えていきたいと思います。
なお、ここで解説するデメリットは、iDeCoのデメリットではなく、あくまでも「30代からiDeCoを活用した場合に考えられるデメリット」としている点に留意するようにして下さい。
30代は、iDeCoを活用するお金に余裕を持てない可能性もある
30代からiDeCoを活用した場合に考えられるデメリットとして、「iDeCoを活用するお金に余裕を持てない可能性もある」ことがあげられます。
夫婦共働き世帯が増加傾向にある中で、現在、30代で夫婦共働きをしながら世帯の家計を維持している方々も多いことを踏まえますと、iDeCoにまでお金を回すことができないといった世帯も非常に多いことが十分考えられます。
一般に、30代は、子どもの教育費や住宅ローンなどといった大きな支出が多い世代であることに加え、世帯収入がさほど多いとはいえない世帯が多い場合も考えられるため、このようなデメリットが生じてしまうことは否めません。
iDeCoの制度上、一度拠出したお金は、原則として60歳まで解約(現金化)することができないことは、万が一の時にお金を引き出すことができないことを意味し、これは老後のための生活資金を確実に貯めるためのメリットと言われることもある一方で、計画的にiDeCoを活用しなければ、逆に大きなデメリットになってしまうともいえます。
3. 30代がiDeCoを活用する上であらかじめ留意していただきたいこと
iDeCoのメリットおよびデメリットより、iDeCoを実際に活用するか、活用しないかといった考え方は、同じ30代であったとしても、置かれている状況によってまったく異なると思われます。
仮に、これからiDeCoを活用しようと考えている30代の方およびすでにiDeCoを始めている30代の方に対して、ここでは、iDeCoを活用する上であらかじめ留意していただきたいことについて紹介しておきます。
iDeCoに加入している途中で「転職」や「退職」をした場合は、手続きを忘れない
20代ほどではないと思いますが、30代で転職や退職をする場合というのは十分考えられ、仮に、iDeCoに加入している途中で「転職」や「退職」をした場合は、一定の手続きが必要なことが多いため注意が必要です。
特に、注意が必要な場合は、企業型確定拠出年金に加入している方が、転職などで他の職業に就いてから「6ヶ月以内に必要な手続きを行わない場合」です。
この場合、「自動移管」といって、以下のようなデメリットしか生じない現象が生じることになります。
- 自動移管の間は、まったく資産運用がされることはないため、お金が一切増えない
- iDeCoのお金を受け取れる年齢に達したとしても、受給することができない
- 自動移管の期間は、iDeCoの加入期間とみなされないため、60歳から受給が開始されない懸念が生じる
- 管理手数料が毎月発生する
参考 転職した場合におけるiDeCoの重要な注意事項と移行手続きを解説
iDeCoに加入している途中で「転職」や「退職」をした後、どのような職業に就いたのかによって手続きの内容が異なることになりますので、まずは、これらのようなことがあった場合は、「何かしらの手続きが必要」と理解しておくことが大切です。
参考 iDeCo公式サイト 転退職に伴う年金資産移換等早見表
将来の老後生活のイメージを持っておきましょう
iDeCoは、長い時間を利用して節税しながら老後の生活資金を貯めながら増やす制度でありますから、30代のように若い内から制度を活用できることが望ましいのは確かです。
とはいえ、すでに解説をさせていただきましたように、なかなかiDeCoにまでお金を回すことができない世帯も多いことを踏まえますと、無理にiDeCoを始めましょうとは勧められない一方で、将来の老後生活のイメージを持っておくことは重要です。
たとえば、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」といったものを活用して将来の年金がいくらくらいになるのか、ご自身が老後生活を送る上でどのくらいのお金があれば満足した生活が送れそうなのかといったことは、最低限、考えておきたいものです。
その上で、年金だけではどうしても足りない場合にiDeCoを活用した老後資金の準備を始めることをおすすめ致します。
以下、参考までに、30代からiDeCoで10000円を拠出した場合と23,000円を拠出した場合を表にまとめております。
月々の投資額→ | 10,000円 | 23,000円 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
開始年齢↓ | 1% | 3% | 5% | 1% | 3% | 5% |
30歳 | 4,174,187円 | 5,709,050円 | 7,972,662円 | 9,600,630円 | 13,130,815円 | 18,337,122円 |
33歳 | 3,698,507円 | 4,885,156円 | 6,560,295円 | 8,506,565円 | 11,235,859円 | 15,088,679円 |
35歳 | 3,389,184円 | 4,375,112円 | 5,727,252円 | 7,795,123円 | 10,062,757円 | 13,172,679円 |
37歳 | 3,085,956円 | 3,894,346円 | 4,971,657円 | 7,097,699円 | 8,956,996円 | 11,434,811円 |
39歳 | 2,788,703円 | 3,441,178円 | 4,286,310円 | 6,414,018円 | 7,914,710円 | 9,858,513円 |
ちなみにiDeCoは、最低拠出金額が5000円からのスタートとなりますので、5000円でもiDeCoで老後の生活資金を準備できれば、将来にかなりの効果が生じることは確かです。
参考 楽天証券 iDeCo節税メリットシミュレーションより管理人試算
上記シミュレーションは、年収300万円の方が、毎月5000円ずつiDeCoで資産運用したものとしてシミュレーションしたものになりますが、30年間で積立した投資元金180万円に対して受け取ることができる概算金額は、約291万円となっていることがわかります。
5000円ずつ老後のために積立したお金が、約111万円も増えるのは、無理なく効率的にお金を貯められる手段であると管理人は考えますが、いかがでしょうか?
なお、iDeCoは、途中で掛金を増額することもできますので、毎年の定期昇給や賞与を活用した無理のない計画を立てながら活用することもでき、これらを賢く活用することで、さらに効果が高まることも押さえておきたいポイントです。
同じ30代でも既婚と独身では、老後の考え方が異なる
老後の考え方は、人それぞれですが、そもそも同じ30代であったとしても既婚と独身では、将来の老後の考え方がまったく異なります。
さらに、子どもがいる、いないにおかれましても老後の生活にかかる負担やお金に大きく差が生じることも考えられるため、iDeCoで準備しておくべき金額にも当然差が生じることが予測されます。
- ご自身の年金と資産のみで老後生活をしっかりと送る
- 子どもに老後生活の負担をかけながらも、将来の死亡保険金などで補填する
- 一生涯独身を貫き通すための老後準備をする
- まったく老後の準備をしない
上記の考え方は、人によってどの考え方にも当てはまると思われますが、少なくとも、有意義な老後生活を送るためや子どもや孫に対して、老後にお金の迷惑をかけない対策には、iDeCoを活用した老後資金対策が有効なことは確かです。
4. まとめ
本記事では、老後の生活資金をご自身の自助努力で準備するiDeCo(個人型確定拠出年金)を30代ではじめるメリットおよびデメリットについて解説を進めさせていただきました。
老後資金の備えが必要なことはわかっていても、なかなかお金を貯め辛い世代であるのが30代の1つの特徴とも言えると思われますが、仮に1ヶ月の掛金が少なかったとしても、長い時間をかけてお金を貯めながら税金の恩恵が受けられ続けるところは、iDeCoの大きな魅力です。
60歳までお金を引き出すことができないiDeCoの特徴は、デメリットでもあり、メリットにもなり得ることを考慮しますと、確実に老後のお金を貯めたいと考えている30代の方にとってみますと、お金を引き出すことができない特徴をプラスのメリットとして活用できることも確かです。
30代がiDeCoを始めて、60歳になるまでの約20年から30年という長い時間をいかに「多くのお金」に変えて育てるには、iDeCoにおいて、資産運用が可能な金融商品や運営管理機関(金融機関)選びも非常に重要になってきます。
iDeCoで将来受け取ることができるお金は、ご自身が資産運用した結果によって金額が大きく異なるわけでありますから、iDeCoでより確実に多くのお金を貯めながら増やすために必要な項目として、iDeCoで資産運用が可能な金融商品や運営管理機関(金融機関)選びにつきましては、最低限、iDeCoを始める前にしっかりと理解しておきたい知識であるといえます。
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