積立投資とは、毎月一定金額や一定数量の投資信託を少しずつ購入しながら投資する方法になりますが、現在、住宅ローンなどの借金を抱えている場合、なかなか積立投資をする一歩が踏み出せない方も多いと思います。
通常、借金を抱えているのに投資を行うといったことが、そもそも誤った考え方だと多くの方に思われますが、はたして本当にそうなのでしょうか?
仮に住宅ローンなどの借金がある場合、住宅ローンの返済を先に終えてから投資をするのが最善策なのでしょうか?
本記事では、「将来のお金を多く手元に残す」といった目的を考えた時、積立投資と住宅ローンの繰り上げ返済なら、住宅ローンの繰り上げ返済を優先すべきなのかについて、できる限り合理的だと思われる考え方に基づいて解説を進めていきます。
1. 積立投資と住宅ローンの繰り上げ返済はどちらを優先すべきか?
おそらく、すべての方がそうだと思いますが、「できる限り、将来のお金を多く手元に残したい」と考えている方が多いと思います。
このような考えを持っている方が、「将来のお金を多く手元に残す」という目的を達成するために、積立投資と住宅ローンの繰り上げ返済はどちらを優先すべきか?といったことを考えるのであれば、「どちらも並行して行う」のが最善策です。
この理由として、積立投資の本来の目的と住宅ローンの繰り上げ返済の本来の目的がそもそも異なっているところにあります。
たとえば、積立投資の場合、毎月一定金額や一定数量の投資信託を少しずつ購入しながら投資をすることで、将来的に大きな資産形成をする目的とした方法になります。
一方で住宅ローンの繰り上げ返済とは、現在抱えている住宅ローンの一部について、まとまったお金を充てて先に返済することで金融機関へ支払う利息の軽減を目的とした方法になります。
このように2つの方法の目的を比較して考えてみますと、積立投資のように自分のお金を増やすといった「攻めの方法」と住宅ローンの繰り上げ返済のように自分のお金を減らすことを防ぐといった「守りの方法」では、そもそもの目的が相反していることを確認できます。
スポーツで例えられますように、攻めだけできても勝負に勝つことは難しいですし、守りだけできても勝負に勝つことは難しいわけでありますから、攻めと守りのどちらもバランスよくできることが望ましいわけです。
つまり、積立投資と住宅ローンの繰り上げ返済はどちらを優先すべきか?といったことを考えるのであれば、「どちらも並行して行う」のが最善策になります。
2. 確実性でお金を考えるなら、住宅ローンの繰り上げ返済がおすすめ
お金に対する考え方は、人それぞれですので、どうしても「確実で堅実」なお金の使い方をしたいという方もおられるでしょう。
このように、確実性でお金を考えるなら、積立投資よりも住宅ローンの繰り上げ返済がおすすめです。
一般的な考え方として、積立投資と住宅ローンのどちらが有利・不利なのかは、以下のような考え方で判断することもできます
●積立投資のリターン > 住宅ローンの繰り上げ返済効果 ⇒積立投資の方が有利
●積立投資のリターン < 住宅ローンの繰り上げ返済効果 ⇒住宅ローンの繰り上げ返済の方が有利
上記の判断は、あくまでも積立投資でリターンを得られたことが前提となるため、そもそも「投資」にあたる積立投資で、確実に資産を増やせるというわけではないことも考慮して判断をすることが求められます。
このように考えた時、まとまったお金を住宅ローンの繰り上げ返済へ充てることは、本来、支払うべき利息を「確実」に少なくさせることができ、その分、お金を支払う負担が「確実」に軽くさせられる効果が得られます。
「増える可能性がある積立投資」と「負担が確実に減る住宅ローンの繰り上げ返済」といった二者択一から、住宅ローンの繰り上げ返済という確実な方法を選ぶことができる方は、堅実であるのと同時に、後述する積立投資をしたほうが良い3つの理由について、合理的に理解できる方であると思われます。
3. 積立投資をしたほうが良い3つの理由
すでに解説をさせていただきましたように、積立投資のように自分のお金を増やすといった「攻めの方法」と住宅ローンの繰り上げ返済のように自分のお金を減らすことを防ぐといった「守りの方法」では、お金の運用目的が相反しています。
通常、住宅ローンは何十年という長期に渡って返済し続けていかなくてはならない借入金でありますから、繰り上げ返済を交えながらすべての住宅ローンを完済した後に、十分な資産形成が出来ていない場合が少なくありません。
このような事情があることから、管理人としては、たとえば、老後の資金対策の一環として、できることなら積立投資もしたほうが良いと考えています。
この具体的な理由としては「時間をかけて無理なく資産を増やすことができる」「長期的な投資ができれば、少額でもまとまった資産を増やせる」「将来的な資産が残っているという安心感が得られる」という3つの理由があるためです。
以下、それぞれについて簡単に解説を進めていきます。
時間をかけて無理なく資産を増やすことができる
積立投資は、毎月一定金額や一定数量の投資信託を少しずつ購入しながら投資する方法になるため、住宅ローンの返済と同じように、長い時間をかけて無理のない金額を投資することが可能です。
積立投資で資産形成するためのポイントには、「長期間」「再投資」「複利効果」といった3つの要素を絶対に欠かすことはできませんが、逆を言えば、これら3つの要素をしっかりと活かすことができれば誰でも積立投資で資産形成をすることが可能であることを意味します。
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長期的な投資ができれば、少額でもまとまった資産を増やせる
インターネットを通じて口座を開設する、いわゆる「ネット証券」で積立投資を行う場合におきましては、月々500円から積立投資が始められることもあり、手頃で投資初心者にも気軽にはじめやすいメリットがあります。
「最終的にいくらのお金を貯めたいのか」といった投資目標を決めることが、積立投資を行う上でとても大切なことになりますが、長期的な投資と投資目標が決まっていれば、少額の投資金額でまとまった資産形成を無理のない範囲で実行することが可能です。
将来的な資産が残っているという安心感が得られる
仮に、貯蓄をしながら住宅ローンの返済をしているだけでは、手元からお金が無くなっていくだけで、将来的に資産を残せているという実感がどうしても湧きづらいと思います。
平成29年8月現在において65歳から支給される公的年金は、将来75歳からに引き上げられる議論も政府内で始まっているといった現実を踏まえますと、積立投資を行うことで将来的な資産が残っているという安心感を持てておけることが望ましいと考えることができます。
4. 理想はメインで住宅ローンの返済をして、一部のお金で積立投資をすること
これまでの解説から、積立投資のように自分のお金を増やすといった「攻めの方法」と住宅ローンの繰り上げ返済のように自分のお金を減らすことを防ぐといった「守りの方法」を並行して行うことが資産形成をする上で効果的であることがご理解できたと思います。
以下、一例として攻めと守りを並行して行う資産分配のイメージを表に示して紹介していきます。
管理人作成
たとえば、1ヶ月あたり30,000円が純粋に余るお金であるとした場合、貯蓄20,000円、繰り上げ返済のための貯蓄5,000円、積立投資5,000円という分配を円グラフに表したものが上記の図になります。
ポイントは、すべてを貯蓄に回すのではなく、攻めと守りの資産運用を並行して行うところにあります。
この資産分配の形から見て感じ取れることは、堅実で確実な資産形成をしたいといった考えを持っている方の組み合わせであると予測でき、攻めの割合が、約16.6%、守りの割合が、約83.4%であることが確認できます。
仮に、30歳から5000円ずつを積立投資で資産運用し、65歳までの35年間、利回り3%で運用したとしますと、65歳に受け取れると予測される金額は以下のようになります。
楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
「3.積立投資をしたほうが良い3つの理由」で述べた通り、仮に5000円という少額な金額を35年間という長い期間をかけて少しずつ積立投資を継続することで、最終的には、積み立てた元金(210万円)の約1.76倍に膨れ上がっていることが確認できます。(下記イメージ図参照、水色が元金210万円、青色が運用益約170万円)
楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
仮に、積立投資ではなく、1ヶ月5000円を35年間、積立預金したとしますと、実際に確実に受け取ることができる利息は、数万円程度に留まることになりますが、はたして皆さまは、どちらの方法を選択されるでしょうか?
「時間はすべての人に平等」と言われますが、元に戻すことができない35年間という長期の時間を活用して、確実に得られる数万円の利息をよしとするのも本人次第です。
しかし、将来の資産形成をするといった目的では、多くのお金を守りの貯蓄に分配することは、残念ながら最適な選択肢とは言えません。
年代や状況に合わせて攻めと守りの資産配分を変えることがポイント
前述した資産配分は、メインで住宅ローンの返済をして、一部のお金で積立投資をすることを想定したものとなりますが、大切なポイントは、年代や状況に合わせて攻めと守りの資産配分を変えることになります。
たとえば、先の例のように、1ヶ月あたり30,000円が純粋に余るお金であると仮定し、この先、給料が毎年ベースアップすることを踏まえた上で、積立投資の割合を増やして資産形成しておきたいという考えを持った方がいたとします。
この時の資産配分を貯蓄10,000円、繰り上げ返済のための貯蓄5,000円、積立投資15,000円という分配を円グラフに表したものが下記の図になります。
管理人作成
攻めと守りの割合が50%ずつになりましたが、前述した例と同じように積立投資を行った場合の運用結果を見ていきましょう。
楽天証券 積立かんたんシミュレーションより管理人試算
前項でシミュレーションしたものと違う点は、1ヶ月の積立金額を変更したところのみとなりますが、住宅ローンを完済した65歳時において、公的年金の支給を受け続けながら、35年間の貯蓄と積立投資で運用した約1112万円が手元にあるということは、「3.積立投資をしたほうが良い3つの理由」の将来的な資産が残っているという安心感が得られる理由にあてはまるのではないでしょうか?
このように、年代や置かれている状況によって積立投資に投じることができる金額が異なることになりますが、手元にあるお金の活用の仕方1つで、数十年後の資産形成に大きな差が生じる結果となることがご理解できたと思います。
くどいようですが、「時間はすべての人に平等」であるのと同時に、過去に遡ってやり直すことができないものでありますから、今、皆さまが置かれている立場と状況をよく踏まえた上で資産配分を考えることが、将来に大きな差がつくポイントであると推測することができます。
5. まとめ ~積立投資と住宅ローンの繰り上げ返済なら、住宅ローンを優先すべき!?~
本記事では、「将来のお金を多く手元に残す」といった目的の下、積立投資と住宅ローンの繰り上げ返済なら、住宅ローンの繰り上げ返済を優先すべきなのかについて、シミュレーションを紹介しながら解説を進めさせていただきました。
改めまして、積立投資と住宅ローンの繰り上げ返済はどちらを優先すべきか?といったことを考えるのであれば、「どちらも並行して行う」のが最善策となります。
お金の1つの考え方として、確実性を求めるのならば、住宅ローンの繰り上げ返済をしていく方が良いという考え方も確かにあります。
ただし、シミュレーション結果などからも分かりますように、仮に、将来の老後のために資産形成をする必要があることを考えますと、手元に残っているお金の資産配分をしっかりと考えた上で積立投資も並行してやっていくのが、やはりベストな選択肢と言えます。
長期的に積立投資をすることで、無理をすることなく、少ないリスクでより確実に資産形成をすることができるため、たとえば、個人型確定拠出年金やつみたてNISAなどを賢く使いつつ、少額からでも積立投資をしていくのも一策です。
個人型確定拠出年金やつみたてNISAは、資産運用をしながら節税対策も図ることができるため、上手く制度を活用することは、資産運用と節税といった一石二鳥の効果が期待できることになりますが、大切な注意点があることも確かです。
そのため、実際にこれらを始める前は、専門家にあたるFPなどへ相談し、ロスが生じないような対策をできる限り事前にとっておくことを強くおすすめ致します。
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