投資信託や株式といった金融商品に対して投資をすることは、日本経済のみならず、世界経済の事情や大きな出来事によって、敏感に値動きがなされることになります。
たとえば、東日本大震災やリーマンショックといった出来事が世界経済に大きな影響を与えたことは言うまでもありませんが、私たち投資家が、これから先も金融商品に対して投資を続けていく中で、このような大きな出来事がいつ起こるのか誰にも予測することができません。
このように考えた時、保有している金融商品が暴落することで多額の損失を抱えてしまうリスクと懸念はどうしても避けられないと思われがちですが、積立投資であれば、万が一、保有している金融資産の価格が暴落した場合でも対応できる対策方法があることは確かです。
そこで本記事では、保有金融資産が暴落しても積立投資が安心の理由やその対策方法について分かりやすく解説を進めていきます。
1. 保有金融資産の価格が暴落しても積立投資が安心な理由
はじめに、積立投資とはどのような投資なのかについて大まかに確認していきましょう。
積立投資とは、毎月一定金額や一定数量の投資信託を購入して資産運用することを言いますが、その中でも、あらかじめ毎月購入する金額を決めて投資信託を購入し続ける投資方法を別に「ドルコスト平均法」と言います。
ドルコスト平均法で積立投資をすれば、大暴落が大チャンスになる!
では、どうしてドルコスト平均法で積立投資をしていれば、大暴落をしても大丈夫なのか? その理由について、具体的に以下の例を用いて解説を進めていきます。

スタート時 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | 7年目 | 8年目 | 9年目 | 10年目 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A | 10000 | 20000 | 40000 | 60000 | 80000 | 100000 | 80000 | 75000 | 70000 | 60000 | 50000 |
B | 10000 | 15000 | 20000 | 25000 | 30000 | 35000 | 37000 | 40000 | 42000 | 45000 | 50000 |
C | 10000 | 9000 | 8000 | 6000 | 4000 | 3000 | 7000 | 10000 | 20000 | 35000 | 50000 |
上記イメージ図は、積立投資で購入した投資信託の値動きを表しており、次のA~Cの3つの値動きをした場合、仮に、毎月10万円(年間120万円)ずつ積立投資をすると、最終的な結果としてどのようになるのか?といったことを検証していきます。
10年間という投資期間に1,200万円(120万円×10年間)を投資した結果、A~Cがどのような資産形成ができたのか?を以下へ、紹介していきます。
A:17,457,143円
B:26,197,812円
C:85,652,381円
という結果になります。
パッとグラフを見た印象では、Aが最も資産を増やしていそうに見えますが、結果として、Cが最も資産を増やしている結果になっていることがわかります。
これは、Cのように基準価額が減っている時に、購入できる投資信託の数(口数と言います)が増やせるからであり、実際の積立投資で保有している資産は「基準価額×口数」で表されることになるため、将来的に基準価額が増加し口数を多く保有できている方が、より多くの資産形成をすることができるのです。
このように、ドルコスト平均法では、購入した投資信託の基準価格が一度下がり、その後上がった場合の方がより資産を増やすことができるため、リーマンショックなどの暴落が仮に起こったとしても、保有している投資信託を売却せずに持ち続けておき、最終的に基準価額が持ち直せば、資産を大きく増やせることに繋がるのです。
2. 実際にリーマンショック後にはどうなったのか?
では、実際にあった大暴落の1つであるリーマンショックが起こったときには、投資信託の値動きはどうだったのでしょうか?
ここでは、一例として、ニッセイ日経225インデックスファンドの値動きで確認していきますが、ニッセイ日経225インデックスファンドの2004年1月28日から2017年6月1日までの値動きの流れは以下の通りです。

リーマンショックが起きたのは2008年9月15日(グラフの最低値)ですが、この日を境に、一時は16,969円まで上がった基準価額は6,898円まで下がりました。
仮に、リーマンショックという大暴落を受けたことによって、リーマンショック前から始めた積立投資をリーマンショックが発生したことを機に止めた場合、どのような資産形成になったのかを以下で確認してみます。
例1:2007年9月3日から毎月1日に5万円ずつ積立投資をし、2009年3月2日に積立投資を辞めた場合。基準価額の動きは次の通りです。

この場合、投資額は950,000円でしたが、積立投資を止めた時点での資産額は587,559円となってしまい、結果として362,441円の損をすることになってしまいました。
今度は、リーマンショック以後も積立投資を続けていた場合はどうなるのか?確認していきます。
例2:2007年9月3日から毎月1日に5万円ずつ積立投資をし、2013年2月1日以降まで積立投資を続けた場合。基準価額の動きは次の通りです。

投資額は3,250,000円で、資産は3,578,831円となり、328,831円のプラスに転じている結果となり、さらに、これ以降も基準価額が増加し続けたことで結果として大きなプラスになり続けているのです。
実のところ、ニッセイ日経225インデックスファンドは、リーマンショックの前から、ずっと基準価額がマイナスの傾向が続いたほか、それに加えて、リーマンショックを受けたことで大きな基準価額のマイナスになってしまいました。
しかし、それでも継続して積立投資を続けたことで、2013年12月以降から、2017年6月まではずっとプラスに転じています。(仮に2017年6月まで投資を続けていた場合は、投資額5,950,000円に対して、資産は10,524,706円となり、プラス4,574,706円となっています)
このように、暴落後、すぐにプラス収益にさせることは難しく、早急なプラスに転じさせるためには、大きなリスクを抱えて資産運用をしなければなりませんが、長期的にじっくりと時間をかけて積立投資(ドルコスト平均法で購入)を続けていくことによって、暴落時に大量に購入できた投資信託を活かすことができます。
結果として、最終的に大きく資産を増やすことができることになります。(これはニッセイ日経225インデックスファンドだけでなく、他の多くのファンドでも同じようにプラス収益にすることができています)
3. 暴落に恐れることなく資産を増やすためのポイントは「長期継続」と「資産分散」
これまでの解説から、リーマンショックなどの暴落があったとしても積立投資が安心な理由とは、「長期継続」と「資産分散」の2つが積立投資をすることによってできているためになります。
暴落してもすぐに止めない!長期継続することが大事!
保有している投資信託の基準価額が大きく下がると、今後もどんどん下がることが不安になってしまい、積立投資を継続して行うことを止めようと考える方が多いはずです。
当然、誰しもお金が減るのは嫌ですし、価値が下がっている投資信託に引き続き投資をすることでさらに損失を抱えてしまうといった考え方は普通な考え方でありとても合理的です。
しかし、先ほども説明したとおり、積立投資では基準価額が大幅に下がったときこそチャンスです!
基準価額が大幅に下がったときに、大量の投資信託を購入することで、その後、基準価額が回復し元に戻った場合や値上がりした場合に保有している投資信託を売却することで資産を大きく増やすことができます。
また、投資の世界には「リターンリバーサル」とか「平均回帰」といわれる現象があるのですが、これは金融商品の価値が一時的に暴落しても、長期的には必ずプラス圏に戻るという法則のことを言います。
特に投資信託は、1つの株式や債券だけに投資をしているわけではなく、様々な会社の株式や、債券に投資することになるため、投資しているすべての資産がずっと下がり続けるということはありえません。
仮に、保有している投資信託が、暴落してもすぐに止めない!長期継続することが大事!であり、ピンチはチャンスであることを積立投資ではポイントになることを再度理解しておきたいものです。
国内・海外への資産分散を徹底する
積立投資で購入する投資信託は、1つの投資信託という商品の中に様々な株式や債券がセットになっている幕の内弁当のようなものです。
そのため、1つの株式に投資する株式投資よりも投資信託に投資をする方が、はるかに資産分散がなされており、安定した資産運用をすることができます。
これに加えて、積立投資をするときには国内・海外の株式・債券・REITなどにバランスよく資産分散をすることも大事となり、どのような投資信託を購入するのかによって、運用損益が大きく変化することになります。
全世界で経済状況が悪化したとしても、必ずどこかの国の、どこかの企業はプラス収益を出しており、たとえば、日本の株式や債券が大きく下がったとしても、他の国の株式や債券に投資をしていれば、プラスとマイナスを相殺することができるため、安定した資産運用をすることができるのです。
長期の積立投資をするときに資産分散は欠かすことができないポイントです。
いつ、どこの市場で暴落が起こるかわからないからこそ、あらかじめ資産分散をすることで、暴落の影響を受けにくい積立投資をしていくようにしたいものです。
4. 止め時・止め方についても考えておこう!
積立投資は暴落の危険をチャンスに変えることができる投資方法ではありますが、仮に暴落の危機を乗り越えたとしても、辞めどきを間違えてしまうとマイナス収支になってしまう可能性があります。
ここでいう辞めどきというのは、購入した投資信託を売るタイミングです。
では、いつのタイミングで辞めるのがベストか?というと、当然、値下がり後に大きく値上がりをしたタイミングがベストです。
ただし、その値動きを予測するのはかなり難しいだけでなく、投資信託の基準価額の値動きを予測することはプロの専門家もできません。
そのため「目標金額を達成したら止める」「運用益が確定し、ある程度の資産を確実に確保しておきたい」などが1つの目安として考えておくのが良いでしょう。
もちろん、その後の値動きの結果、さらに資産を増やすことができるかもしれませんが、あくまでも積立投資を始めた時の原点にあたる投資目的や投資目標を再確認した上で、欲張らず、上手に資産運用することができた喜びに浸ることも必要だと思います。
保有している投資信託の一部を売却することで運用益を確定させ、その後、引き続き積立投資を継続していくことで、さらにプラスになった分を得ることもできますので、ケース・バイ・ケースで賢く運用と売却を行っていきたいものです。
5. まとめ ~投資信託の積立投資であれば、暴落は怖くない!?価値が暴落しても安心の対応方法を解説~
本記事の解説より、積立投資は、リーマンショックのような大暴落が起こったとしても「長期継続」と「分散投資」によって、ピンチがチャンスに変わる投資方法であることがご理解できたと思います。
積立投資の良いところは、時間をかけて投資信託を多く保有し、購入した金額よりもある程度価値が上がるまで長期の時間をかけてじっくりと待ち、確実に利益を得られるタイミングで売却することが可能といったところです。
つまり、確実に利益が出るタイミングをとにかく時間をかけてじっくりと待つことができるということは、逆に言えば、損をするといったタイミングでは投資信託を保有し続ければ良く、プラスになるタイミングで手離せば良いといった、単純かつ明快な仕組みを知ることでお金が増やせることになります。
純粋な利益を計算するには、投資信託にかかるコストや税金についてもしっかりと押さえておく必要がありますが、前述した仕組みをしっかりと把握し活かせる方は、積立投資で上手な資産運用ができるだけでなく、将来に渡って大きな資産形成ができる方であることは確かでしょう。
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