積立投資は、別に「投信積立」とも呼ばれ、投資信託を毎月一定金額もしくは一定数量購入して資産運用する方法のことを言います。
基本的に積立投資は、少額の投資金額を毎月積立するように資産運用する投資スタイルであることから、長期の時間をかけることでより大きな資産を確実に形成するための方法として利用されることが一般的です。
そのため、5年間といったどちらかと言えば短い期間で資産形成を築いていくためには、積立投資という投資方法は、あまり適切な方法とは言えません。
本記事では、積立投資を5年間続けたときの資産形成について解説を進め、併せて、積立投資を有効に活用するためのポイントについても紹介していきます。
1. 5年間積立投資をするとどれくらいの資産形成ができるか計算してみた
早速ではありますが、5年間、積立投資をした場合にどのくらいの資産形成ができるのかをシミュレーションし、以下、表にまとめてみました。
月々の投資額 | 総投資額 | 利回り1% | 利回り3% | 利回り5% | 利回り10% | 利回り15% |
---|---|---|---|---|---|---|
10,000円 | 600,000円 | 614,990円 | 646,467円 | 680,061円 | 774,371円 | 885,745円 |
30,000円 | 1,800,000円 | 1,844,971円 | 1,939,401円 | 2,040,182円 | 2,323,112円 | 2,657,235円 |
50,000円 | 3,000,000円 | 3,074,952円 | 3,232,336円 | 3,400,304円 | 3,871,854円 | 4,428,725円 |
100,000円 | 6,000,000円 | 6,149,905円 | 6,464,671円 | 6,800,608円 | 7,743,707円 | 8,857,451円 |
200,000円 | 12,000,000円 | 12,299,810円 | 12,929,343円 | 13,601,217円 | 15,487,414円 | 17,714,902円 |
300,000円 | 18,000,000円 | 18,449,715円 | 19,394,014円 | 20,401,825円 | 23,231,122円 | 26,572,352円 |
たとえば、1ヶ月あたり30,000円を積立投資に回し、利回り3%で資産運用したとすると、5年後に資産形成できると期待される金額は、1,939,401円といった表の見方になります。
仮に、このような資産運用の結果となった場合、5年間の運用益は、139,401円(1,939,401-1,800,000)といったことになり、5年間、毎月30,000円を銀行に預けるよりも多くの資産を殖やすことができます。
本項では、参考までに「非現実的」なものも併せて紹介させていただいておりますが、実際に5年間の積立投資において資産形成できる現実的な金額はいくらなのかといったことにつきましては、「3.5年間、積立投資をすることで資産形成できる現実的な金額とはいくらなのか?」で紹介していきます。
2. 5年間で豊かな老後生活をするのに必要な3,000万円を用意するには毎月いくら必要か?
参考までに、5年間で豊かな老後生活をするのに必要な3,000万円を資産形成するためには月々いくら積立投資をすれば良いのかを表にまとめてみました。
利回り | 1% | 3% | 5% | 10% | 15% |
---|---|---|---|---|---|
月々の投資額 | 487,812円 | 464,061円 | 441,137円 | 387,411円 | 338,698円 |
言うまでもなく、5年間という短い期間で3,000万円という大きな資産形成をするには、1ヶ月あたりの投資金額が大きくなってしまうことが必至であり、仮に、5年間と言えども、上記表の金額を継続して積立投資に回すことは非現実的であると考えることができます。
つまり、普通に仕事をしているサラリーマンなどが、積立投資で3,000万円という大きな資産を形成するためには、5年間といった短い期間ではなく、20年や30年といった長い期間を費やす必要があるということを意味します。
3. 5年間、積立投資をすることで資産形成できる現実的な金額とはいくらなのか?
積立投資は、いわゆる「投資」であり、大原則として、収入から支出を差し引いた余剰資金の範囲内で行うべきものです。
したがいまして、月々の投資額が10万円、20万円、30万円という金額を積立投資に回せる世帯は、一般常識的に考えますと決して多いとは言えません。
また、利回りが10%や15%といった運用商品につきましても、販売されていない場合や利回りが8%を超えた投資は行うべきではないといった事情を考慮しまして、最大で利回り8%までが積立投資をする上で現実的な利回りであるものとしております。
これら2つの事情を考慮して、5年間、積立投資をすることで資産形成できる現実的な金額を以下、表にまとめてみます。
月々の投資額 | 総投資額 | 利回り1% | 利回り3% | 利回り5% | 利回り8% |
---|---|---|---|---|---|
5,000円 | 300,000円 | 307,495円 | 323,234円 | 340,030円 | 367,384円 |
10,000円 | 600,000円 | 614,990円 | 646,467円 | 680,061円 | 734,769円 |
15,000円 | 900,000円 | 922,486円 | 969,701円 | 1,020,091円 | 1,102,153円 |
20,000円 | 1,200,000円 | 1,229,981円 | 1,292,934円 | 1,360,122円 | 1,469,537円 |
30,000円 | 1,800,000円 | 1,844,971円 | 1,939,401円 | 2,040,182円 | 2,204,306円 |
40,000円 | 2,400,000円 | 2,459,962円 | 2,585,869円 | 2,720,243円 | 2,939,074円 |
50,000円 | 3,000,000円 | 3,074,952円 | 3,232,336円 | 3,400,304円 | 3,673,843円 |
たとえば、1ヶ月に振り込まれる給料から生活費等や貯蓄などを差し引いて、50,000円が余剰資金として手元にある場合、その内の20,000円でも積立投資に回したとしますと、ローリスク・ローリターンと呼ばれる利回り3%程度で運用して、5年後には約92,934円儲けることができるといったイメージになります。
投資元金にあたる総投資額を差し引いた金額が、正味の運用益となり、仮に、利回りが8%といったハイリスク・ハイリターンの資産運用が成功したとしても、5年という短い期間では、なかなか大きな資産形成を図るのが難しいということが、上記表からご理解できるのではないでしょうか。
4. 仮に、5年間で運用成果を出すためには他の投資方法のほうが良い
通常、5年間で3,000万円などのように大きなお金をどうしても用意しなければならないといった状況に遭遇されている方はほとんどいないと思われますが、仮に、5年間でこのような大きな資産形成を成し遂げるためには、少なくともハイリスク・ハイリターンの株式投資のほか、FXなどといったレバレッジを効かせた投資を行っていく必要があります。
また、金額も金額であることから、それなりに大きな投資額を充てなければならず、正しい投資の行い方を考慮しますと、言うまでもなく相当なハイリスクであり、真っ当なすべての専門家がおすすめしないことは確かであると考えられます。
少なくとも5年間の積立投資は、大きな資産形成に不向きな投資方法であることは確かです。
5. 積立投資を有効に活用するためのポイントとは?
積立投資を有効に活用するためのポイントは、毎月自分の余力の範囲内で、かつ、長期間資産運用を続けるところにあります。
この理由は、時間をかけて積立投資をすることで、複利のパワーを活かすことができ、資産を増やすことができるといった仕組みが構築されているからです。
出典 SBI証券 積立という「仕組み」が、将来の資産形成をサポート!より引用
「複利のパワー=複利効果」は、積立投資を行ってから年数が浅い場合、大きな効果が期待できないものの、20年や30年といった長い年月をかけながら資産運用をすることで、利回りが大きければ大きい程、その効果が飛躍的に増加します。
上記のイメージ図を表にして金額を実際に見てみますと、複利効果が一目瞭然です。
利回り | 総額投資元金 | 概算資産形成金額 | 概算運用益 |
---|---|---|---|
0.011% | 1,080万円 | 約1,081万円 | 1万円 |
2.5% | 約1,600万円 | 520万円 | |
5.0% | 約2,500万円 | 1,420万円 |
利回り2.5%ですと、一般にローリスク・ローリターン、利回り5%ですと、一般にミドルリスク・ミドルリターンとされることから、大きなリスクを伴わずとも、長期的な時間をかけて資産運用することで、大きな資産形成に繋がることがご理解できるのではないでしょうか。
このような結果を踏まえますと、先に「4.仮に、5年間で運用成果を出すためには他の投資方法のほうが良い」といった理由につきましても納得できることと思います。
6. 積立投資をする際に気を付けるべき4つの注意点とは
本記事の最後に、積立投資をする際に気を付けるべき4つの注意点について解説をしていきます。
最終的な資産形成を成す上で、すべて欠かすことのできない注意点となりますので、しっかりと確認されることをおすすめ致します。
注意点その1 投資目的に応じて積立投資を行うか判断しましょう
積立投資に限ったことではありませんが、投資を始めるには、そもそもなぜ投資を始めるのか?といった投資目的を持っていることが重要です。
これまでの解説ですでにご理解されておりますように、積立投資は、長期の時間をかけて資産形成をするのに向いている投資手法であるため、5年後までに大きなお金を用意するといった投資目的には相応しい方法であるとは言えません。
逆に、老後の生活資金や子どもの大学のための教育資金、将来のマイホーム購入に必要な頭金の確保といった投資目的であれば、積立投資の投資目的としては相応しいと考えることができるでしょう。
注意点その2 投資目的に応じた投資信託選びを心掛けましょう
積立投資で購入する投資信託は、どれも同じではなく、自分が持っている投資目的に応じた投資信託選びをすることが重要です。
たとえば、とにかく安定した資産運用を継続したいのであれば、インデックスファンドと呼ばれる投資信託を購入してみるのが良いと思われる一方で、少しでも多くの資産形成をしたいというのであれば、アクティブファンドと呼ばれる投資信託の購入を検討してみましょう。
また、これらのファンドの違いのほか、日本国内や海外といった違いのほか、海外でも先進国や新興国といった違いによっても、リスクとリターンの関係が大きく変わるため、投資信託選びというものは、非常に重要な項目になります。
何だかよくわからないので、とにかくお試しでといったことであれば、積立投資で購入する金額を500円などの少額で始められるネット証券でバランス型ファンドを試してみるのも良いでしょう。
参考 積立投資に手間と時間を掛けたくないならバランス型ファンドを選択すべし
6-3 注意点その3 分配型ではなく再投資型を選びましょう
投資信託には、分配型と再投資型といった種類の違いがあり、毎月もしくは毎日決算を行い、お金が分配される分配型と発生した運用益を再度、投資元本として繰り入れする再投資型といった特徴の違いがあります。
投資信託で資産を殖やすためには、分配型ではなく再投資型を選ぶことが鉄則になりますが、現状としては、やはり都度、お金が入ってくる分配型の方が圧倒的に人気の高い傾向があります。
6-4 注意点その4 投資信託にかかる手数料を意識しましょう
投資信託には大きく「購入時手数料(販売手数料)」「信託報酬(運用管理費用)」「信託財産留保額(解約手数料)」という3つの手数料があります。
これらの手数料の内、「購入時手数料(販売手数料)」「信託報酬(運用管理費用)」は、二大コストと呼ばれることもあり、積立投資のように、毎月投資信託を購入して資産運用する投資の場合、これらの手数料が発生することや手数料率が高いことで、実際に得た投資信託の運用益を大きく目減りさせてしまう原因となります。
そのため、確実にロスとして発生するこれらの手数料は、できる限り抑えることが求められます。
たとえば、「購入時手数料(販売手数料)」が無料のノーロード投資信託を選ぶことや信託報酬が低い投資信託を選ぶことを意識するだけでも、将来の資産運用の結果に大きな差が生じるのは明らかです。
投資初心者、投資ベテランに関わらず、共通している注意点であるほか、誰でも簡単に改善できる注意点でありますので、欠かさないようにしたいものです。
7. まとめ ~積立投資を5年間続けたときの資産形成について解説。~
積立投資で資産形成をするためには、長期の時間、複利効果、継続した投資といった3つの要素がすべてかみ合って形成されるものになります。
そのため、どれか1つが欠けたとした場合、大きな資産形成をすることが難しく、たとえば、積立投資を5年間続けた場合は、「長期の時間」から外れることになると考えられます。
また、積立投資を始める際には、投資目的を持つことが重要である旨も解説させていただきましたが、たとえば、「5年後の住宅購入のため」「5年後の結婚資金のため」「5年後の教育資金のため」などのように、目標金額をベースにするのではなく、後々到来するライフイベントを目標に資産運用をするという考え方もあるでしょう。
当然、積立投資ですべてを賄うことができる資産形成が最も望ましいことは確かではありますが、実際に積立投資を始めて、必要なお金の一部について資産運用をしながら用意をする考え方は非常に合理的です。
仮に、投資初心者の方であれば、まずは、1つの目標として積立投資を5年間続けるといった投資目標を持って取り組んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに、積立投資の始め方は以下のページで詳しく解説しています。
これから老後の生活費など、将来のために資産形成を始めようと考えている方は、ぜひ読んでくださいね!
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